第二十一章 崩れゆく桜と絶望の雷
聖雷の猛攻が頂点を迎え、山道全体が雷光と血の海と化していた。
五人の体はすでに限界を大きく超え、動きが著しく鈍くなっていた。
零の右太ももから血が滴り落ち、左肩の傷も再び開き、黒い羽織は血と焦げでほとんど原型を留めていない。
それでも零は鬼哭丸を強く握りしめ、前を睨みつけた。
「——桜一閃!」
青白い光の刃が弧を描き、前方の重装騎士を四人同時に切り裂く。
「——桜影連華!」
残像を残しながら敵陣を駆け抜け、連続斬撃を浴びせる。
「——桜幻影斬!」
一瞬姿を消し、敵の死角から現れて斬りつける。
蓮は息を荒げながら二刀を振り回した。
「——双影旋風!」
二本の刀が風を巻き上げ、敵の側面を切り裂く。
「——双龍乱刃!」
二刀が龍のようにうねりながら敵を薙ぎ払う。
「——双龍踏影・改!」
地面を強く蹴り上げ、敵の懐に飛び込み、膝蹴りと肘打ちを連続で叩き込む。
シルフィアは杖を両手で握りしめ、声が震えながら魔法を展開した。
「癒しの緑風!」
淡い緑の風が五人を包むが、その光は先ほどより明らかに弱々しい。
シルヴァーナも必死に支援魔法を重ねた。
「聖樹の加護!」
緑の木の幻影が浮かび上がるが、すぐに揺らぎ始め、効果が持続しない。
ルリアは岩陰で体を縮こまらせ、涙を浮かべながら叫んだ。
「もう……みんな、逃げて……!
私のせいで……みんなが死んでしまう……!」
その瞬間、敵の総攻撃が始まった。
**エレナ・ソルティア**が杖を高く掲げ、冷たい声で叫んだ。
「——聖雷・浄化の槍!」
巨大な雷の槍が三本同時に空から降り注ぎ、シルヴァーナの結界を粉々に砕く。
**クロード・シルバン**は高所から冷静に矢を連射した。
「——聖弓・連雷射!」
雷を纏った矢が五本同時に飛来し、零と蓮を狙う。
零は鬼哭丸で三本を切り払ったが、残りの二本が零の左腕と蓮の肩を深く抉った。
「ぐあっ……!」
「零!」
**ガルド・ヴァルハラ**は大剣を高く掲げ、冷徹に言い放った。
「これで終わりだ。
魔王の落とし子とその侍ども……ここですべてを終わらせる!」
**バルド・クロムウェル**が巨大な戦斧を振り回し、咆哮を上げた。
「——雷斧崩撃!」
雷を纏った戦斧が地面を叩きつけ、巨大な衝撃波が五人に向かって広がる。
零は歯を食いしばり、最後の力を振り絞って叫んだ。
「——桜華散華!」
鬼哭丸が高速回転し、無数の桜の花びら状の斬撃を撒き散らす。
衝撃波を相殺しつつ、前衛の重装騎士を十数人切り裂いた。
しかし、その瞬間——
零の膝がガクンと折れた。
体中の傷が一気に噴き出し、視界が白く染まる。
蓮も右膝をつき、シルフィアとシルヴァーナは魔力を使い果たし、膝を着いた。
ルリアの紅い瞳に、絶望の色が広がった。
ガルド・ヴァルハラが大剣を構え、ゆっくりと近づいてくる。
「ようやく……跪いたな。」
雨と雷が激しく降りしきる戦場で、五人の戦いは、ついに決定的な危機を迎えようとしていた。
零は地面に片膝をついたまま、鬼哭丸を杖代わりにして体を支え、血に濡れた唇を動かした。
「……まだ……
まだ、終わっていない……」
その声は弱々しく、しかし確かに侍の意志を宿していた。




