ep.15
「ファルミーナさん、久しぶりぃ。また会えて嬉しいよぉ」
「……アカーチャさん、何でここに?」
「そりゃあ、ファルミーナさんに会いに来るためぇ!」
「アカーチャ・メーディウム医療班長……?」
久々にルミナスさまが時間が取れるから一緒にお茶しないかと誘ってくださり、体調も悪くないため是非と意気揚々に誘いを受けた。テラスで、ということで移動していた折に出会ったのはなぜこの場にいるのかわからないアカーチャ・メーディウム医療班長で。更には、なぜこのタイミングで此処に居るかわからないベルナルト・マジカ・ヴェルデットロ公爵次期当主様であった。
なんだ、この面子は。
「あ~、ヴェルデットロ公爵子息、お疲れさぁん。」
「お疲れ様です、アカーチャ班長。」
「い~のい~の、今日はただのお医者さんだからぁ。班長いらないよぉ。」
のんびりマイペースに自分の言いたいことだけ言ったアカーチャさんは、ロッソィーノ嬢のところに行こっかぁ、とやはりマイペースに言いたいことだけ言った。面食らった私とヴェルデットロ様は、思わず顔を見合わせしまった。しかし王国立魔術師団に居た頃の名残だろうか、上官の指示に従いルミナスさまの許に向ったのであった。
「わざわざご足労いただきありがとうございます、アカーチャ・メーディウム様。」
「かわいー子に他人行儀されるのは堪えるなぁ。アカーチャでいいよぉ、ロッソィーノ嬢。」
「では、わたくしをルミナスとお呼びくださいまし。」
「ベル、出ていってちょうだい。」
「わかった、ベルナルト・マジカ・ヴェルデットロは出ていこう。」
一通りの挨拶が終わり、ルミナスさまに出ていくよう言われたヴェルデットロ様は涼しい顔で席に着いているが、ともかくお茶会は始まった。
どうやらアカーチャさんは私のことを心配して下さり、妊娠の診察に来て下さったらしい。問診や魔術による診察、通称魔診を行い、大丈夫そうだねぇ、とだけ告げると王都に戻るらしく足早に立ち去って行った。またくるねぇ、と聞こえた気がするが気のせいだろうか。
***
「バカ鳥達、居るだろ。」
「はっ、此処に。」
「ちょ、酷くないスかセンパイ。」
「うるさい。それよりお師匠様に伝えてくれ、姫様と御子様は順調であると。ただ、医療班長としての言葉をいうなら、このままでは危うい、とな。」
「「御意。」」
「ホント、参っちゃうよねぇ。」
以前、お師匠様と話したときに確信したのだが、彼女は姫様だ。厄介なことに首を突っ込んでしまったと嘆きながらも、その明晰な頭脳は物凄い勢いで演算を繰り返していた。




