ep.10
次回、ep.11から毎週月・水・金曜日に更新となります。
なので、次は1月10日に投稿です。
投稿予約してあるので大丈夫です、たぶん。
書きためたモノが足りなくなったら、週2か週1更新に変えます。
ロッソィーノ領に着いてから数日。現地視察に出るから一緒に出かけないか、とルミナスさまに誘われて水上魔車で街をゆっくり進んでいた。
「あら、あんなところに水路があったかしら?」
「どちらでございますか?……ああ、あちらはイニーツィオの町に繋がる水路でございます。」
「イニーツィオ……?」
そんな町あったかしら、というルミナスさまの言葉に領地の屋敷の家令であるチェキオさんが言うには、閉ざされた町と呼ばれているとか。町から街まで水路すら途中までしか通っておらず、険しい山道を行く必要があるらしい。水路を通しきるのは困難なため移住を勧めているが、どうしてもその地から離れたくないのだといって話は難航しているとのことで。困惑するルミナスさまと苦笑気味のチェキオさんがどんどん難しい話をしていくため、私はそっとチェキオさんが指したイニーツィオの方面を見る。なぜか、どこか懐かしさを覚えた。そして胸元に隠している鈴がシャラン、と小さく小さく鳴ったような気がしたのだった。
しかしながら、イニーツィオへの道程は恐ろしく困難を極めるものであった。途中まででいいから確認したいとのルミナスさまの一言により、水路を進むことになっていた。しかし水路は細く、曲がりくねっており自然と走行はゆっくりなものとなる。しばらくは興味深く辺りを観察していたルミナスさまであったが、段々と苛立つ様子が見えた。かくいう私も、同じ風景に飽き飽きし始めていた。
「可笑しいわ、こんなの可笑しいわ……!」
「お嬢様が言いだしたことですよ。」
「ここまで来れば十分よ、帰りましょう!」
「帰るんやったら、どいとぉくれやす。後ろがつっかえてるんどす。」
ルミナスさまとチェキオさんが言い合っていると、後ろから声が掛かった。振り返ると、小さな手動水上魔車に乗った2人の男女が居た。きょうだいであろうか、良く似た透き通るような薄い茶髪で薄い銀に見紛うような白に近い瞳を持った細身の青年と少女であった。彼らと顔を合わせた瞬間、胸元の鈴が震えた。今日はやたら鈴が反応するなぁと思うと、彼らは驚愕した様な表情を一瞬していたように見えた。
ともかく、謝りながら彼らの邪魔にならないように道を譲り、私達はロッソィーノ領の市街地へと向かったのであった。
***
「ににさま……。」
「わかってる。案ずりな。」
「やけど、御鈴が……。」
精悍な顔を険しい表情にゆがめながら、青年は自分に言い聞かせるように少女に応えていた。しかし、少女の表情は晴れない。不安そうに青年を見つめていた。
「ともかく、長老に伝えよう。こら由々しき事態やさかいね。」
「うち、怖いの。もしほんまにあの方……。」
「構わへん。今は関係あらへん。」
青年は強く言いきると、手動水上魔車を再び動かし始めた。心なしか、進むスピードは早くなっていた。口ではどうとでも言えるが、彼らにとって非常事態に変わりは無いのだから。
方言が分からないので、変換サイトを使っています。
もしよければ、可笑しいところは訂正していただけると嬉しいです。




