紅
(ここは……? わたしは一体!?)
「人質ゲット、てか」
「お前!」
「お、ようやくお目覚めかい? 仔猫ちゃん」
「目隠しなんて汚いことせずに堂々と姿を見せろ」
「良いね、その威勢のよさ! いいだろう、取ってやる。感謝しろよ?」
視界が拓けた。
「ほう。さっきは人質を捕るのに集中していたから気にしてなかったが、結構可愛いじゃない仔猫ちゃん」
男が破耶の頬に触れる。
「触るな! 気安く、わたしに近づくな!」
破耶が男の手を払いのけた。
「釣れないね~。わりと本気なんだけど」
「お前とは来世では顔も見たくない」
「まったく、釣れないな。容姿はスゲー美少女なのに性格は最悪だな」
「その言葉、誉め言葉と受け取っておこう」
「仔猫ちゃんさ、自分の状況わかってる?」
男がナイフを突きつける。
「仔猫ちゃんの手足を縄で拘束してるんだ。その気になれば仔猫ちゃんを好きなように出来るんだ」
「そんな脅しに、わたしが怯えるとも?」
「脅しじゃ、ない!」
男がナイフを振った。
「なに!?」
破耶は手の縄をほどいていた。
「わたしは縄脱けを会得している」
破耶が男の手首を捻り、ナイフを落とさせる。
「悪いが護身術も身につけていてな。多少のことなら対処できる」
ナイフを拾うと足の縄を切った。
「この!」
「隙がデカイぞ!」
破耶は、男の右脇に入り込み、ベルトを後ろから掴んで自分の全体重をかけた。
「女の子に背中からとはいえ、押し倒されるのは悪くないな」
「減らず口が……今の状況ならお前の腕を折るのも造作でもないぞ!」
「甘いな、仔猫ちゃん」
男が腕に力を込めて、破耶を背中から無理矢理振り落とした。
「クッ!」
「悪いな仔猫ちゃん、いくら仔猫ちゃんが武術に長けていても俺と仔猫ちゃんとは力の差がある」
「何を!?」
「目の前に可愛い娘ちゃんがいれば、する事っていったらアレだろよ?」
男は破耶の制服をナイフで斬っていく。
「まずは上着。シャツなんかいらねえよな?」
「やめろ! 只じゃ許さんぞ!」
「下着は最後で。次はスカートだ」
「やめろ……やめろ……やめてくれェェェ!!」
破耶は下着以外の着衣を斬られ、脱がされてしまった。
「さあて、下着は手で外すか」
男は下着に手を伸ばす。
「済まぬ……夏郷……」
破耶は大粒の涙を流す。
「カザト? 仔猫ちゃんの……何だ?」
「わたしが、全てを捧げても良いと思っている、わたしの大好きな男だ!!」
「なんだいたのか、男が。残念だよ……」
男が下着を外した。
「安心しろ。オレが、黒田 尽が! 仔猫ちゃんの全てを受け止めてあげるよ」
「……最低だ。お前は……」
「下の下着も脱がすかぁぁ」
(すまない、夏郷。わたしは、こんな野郎に強姦……夏郷は、わたしを嫌うかな? 大好きだ、夏郷。それと……)
「ごめん」
「!?」
破耶は、男からナイフを奪って自分を刺した。
「……破耶……!?」
夏郷は理解出来なかった。何故、裸にされてるのか。何故、知らない男が覆い被さっているのか。何故、破耶が涙と血を流しているのかを。




