ダイス・マッチ“ビギニング”
「〈ダイス・マッチ〉に使う物は、このサイコロと校長先生が開発された端末です」
「端末っていっても簡単なものさ」
校長が端末を腰に着けた。
「電源をいれて赤いボタンを押すと、対戦待機中になり、黄色いボタンを押すと、相手の端末番号が液晶に表示される」
千景先輩も端末を腰に着ける。
「対戦したい相手の端末番号が表示されたら青いボタンを押す。これで準備完了だよ」
校長と千景先輩が箱を持つ。
「箱から取り出せるだけのサイコロをだして床に全て振る」
千景先輩がサイコロを五個振った。
「振ったあとに自分の端末にサイコロの目の合計数を入力し青いボタンを押すと、相手の端末に表示されてるポイントから自分の合計数が引かれる」
千景先輩がサイコロの目の合計十一を端末に入力して青いボタンを押すと、校長の端末のポイントから百十が引かれる。
「私も振るか」
校長も千景先輩と同様の事をした。
「両者が今説明したことを行い、先に相手のポイントを0にした方の勝ちになります」
千景先輩が説明を終えて壇上から下りてきた。
「千景、わたしが機械が苦手なのは知っているだろう!? なぜだ、なぜなのだ!」
「今の説明を聞けば理解できる筈よ? 流石の破耶も……」
「俺も得意じゃないが大体解ったぞ?」
「……きっ……貴様らあああ!」
破耶が大声を出して騒ぎだした。
「ウルサイ! 分かったから」
「千景先輩、構ってたらキリがないですよ」
「ダイタイダイタイィィィィィ……夏郷は生徒会長の護衛だろうがァァァァァ!! なのに……なのに……何故わたしの傍に居てくれないのだ!!」
破耶が溜め込んだ不満を流すように、涙を流していた。
「夏郷くん、悪いけれど破耶と暫く一緒にいてあげて。彼氏なんでしょ?」
「知ってたんですか!?」
「新入生以外は全員知ってるんじゃない? 破耶、凄い嬉しそうに言いふらしていたから」
「当事者の俺が知らないのに」
「〈ダイス・マッチ〉の時間になりましたら呼びますから、ごゆっくり新祝祭を楽しんで下さい」
羽舞さんにまで言われるなんて。
「……グスン」
「いじけてんじゃない。約束だから買ってやるよ、アメリカンドッグ」
「本当か!」
破耶が一瞬で機嫌を直した。
「ほら行くよ」
俺は破耶と模擬店に向かった。
「世話が焼けるわね」
「いえ、素敵な二人ですよ。本音を言っても許してくれる夏郷さんも、本音を言っても許してもらえる破耶さんも」
「あら、まいっち……恋にこがれているな?」
「もー、千景ちゃん! からかわないでよ!」
※ ※ ※
「ルールブック作ってあるではないか!」
破耶がアメリカンドッグを食べながら、ルールブックに目を通していた。
「前半九十分、後半九十分で場所は問わない、か」
「前半の個人戦で負けても、後半のチーム戦で復活できる。ポイントはチーム戦のときは合算」
「おお! 夏郷、男子は一戦につき一度だけ、ポイントを半分に減らせば、サイコロの目の合計数を二倍に出来るらしいぞ!」
「……女子はサイコロを取るときに数を宣言して引けば、一ターンに二回サイコロを振れるみたいだ」
俺と破耶は〈ダイス・マッチ〉のルールブックを食い入るように見ていた。




