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新祝祭

「新入祝学祭……通称、新祝祭!」


 三年の千景《ちかげ》先輩が、いつもの冷静な姿からは想像できないくらい気合いをいれていた。


「千景先輩。今日はいつになく元気ですね」


「当然よ。三年生には最後の新祝祭なんだから」


「来年には千景先輩、居ないんですよね」


「もう! せっかくの新祝祭(お祭り)のときに、しんみりしないでよ!」


「すみません」


「……でも悲しんでくれるのも案外いいかも」


「からかわないでください」


 隣で笑う千景先輩が凄く素敵に見えた。


「おい護衛《ボディーガード》! そんな所で油を売ってないで、わたしを護れ!」


「あらら、もしかしてヤキモチ妬いてる?」


「やっ、妬いてなんかいないのだ!」


「俺も生徒会のメンバーなんだから、やることがあるんだ」


 俺の同級生で生徒会長の紅《くれない》 破耶《はや》が急かしてくる。


「……もう」


「拗ねないの」


「新祝祭の事で男手が要るから作業を手伝ってくれてるのはいいが、夏郷の生徒会での役割はわたしの護衛だろう」


 破耶が頬を膨らませ、子どもの様にいじけており、千景先輩が横に居ることよって更にそれが引き立っていた。


「あとで模擬店で何か買ってやるから」


「アメリカンドッグ、だぞ!」


「分かったよ」


 俺は準備の手伝いに行った。


「あと二時間で始められる?」


 千景が破耶に確認する。


「それは問題ない、それよりも〈ダイス・マッチ〉の準備は大丈夫か?」


「ええ、会計が上手いこと予算を遣り繰りしてたから道具は揃ってるし、段取りはゲームの提案者と話し合ったしね」


「流石は我が生徒会書記だな、千景」


※ ※ ※


 二間後、校長の挨拶が始まった。


「今年も無事に皆さんの協力で、新入生を祝うことを目的とした親睦の会、新祝祭を行なうことが出来ます。各々、自由に楽しんでくれたまえ!」


「破耶、平気か?」


「案ずるな、あの方は我が校の自慢の校長だ」


「そうだな」


「……話が長くなって済まない、歳をとると色々話したくてな。なにせ若い女子が大勢いるのでな」


「そう……だな……」


 体育館が静かになった。


「ハハハ、許してほしい。私の軽いジョークだよ。生徒会諸君、あとは任せた」


「じゃあいくのだ、生徒会のステージに」


 破耶の号令で生徒会のメンバー八人が壇上に上がる。


「先徒会の会計を担当してます、羽舞《はねまい》 恵《めぐみ》です。今回の新祝祭の予算の件で質問が有ればワタシ迄、お知らせください」


 生徒会でも控えめな恵さんが、大勢の前で喋るのは滅多に無いらしい。


「めぐっちは結構、男子ファンが多いの」


 千景先輩がボソッと教えてくれた。そして破耶の順番がきた。


「生徒会長の紅 破耶だ。早速だが、先日発表した催しについて説明する」


 破耶の隣に千景先輩が並ぶ。


「生徒会書記の侍頼《じらい》 千景です。催しの名は〈ダイス・マッチ〉と言います。これから具体的な内容を私から説明します」

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