米本土挟撃
米本土挟撃
大西洋派遣艦隊は北大西洋で暴れ周り、独潜水艦の天敵である小型空母や駆逐艦などを執拗に掃討し、米英機動部隊も撃退した。
ドイツの反攻作戦に合わせ英本土を攻撃し、遂にイギリスを講和交渉の椅子に着かせ、休戦に至った。
日本にとって戦争は、残すところアメリカだけとなったのである。
1944年10月、日本機動部隊は米東海岸への攻撃を開始するため、輸送船から艦上戦闘機烈風の改修部品や交代要員の補充を受けた後、米本土を目指した。
これに合わせ、太平洋の機動部隊も米西海岸を目指した。
アメリカ軍の航空戦力は主力が対独戦に投入されていたため、米本土に未だ戻れていなかった。
また、日本機動部隊や独海軍の通商破壊により、輸送中だった航空戦力も撃破していると見積もられ、米本土の航空戦力は万全ではないと考えられていた。
ところが、機動部隊の前に立ちはだかったのは、B-17や新型重爆撃機の大群であった。
第一波は、高度9000m以上の高高度から爆撃を行ってきた。
「敵機、大編隊、接近!」
「高度は9000m以上です!」
「そんな高高度から爆撃しても当たらんぞ?何を考えている?」
「ドイツの無線誘導弾のような物があるかもしれません。または我が軍でも開発中の赤外線誘導弾やも」
「B-17やそれ以上の重爆撃機を確認!重爆の大編隊です!」
「意見具申!無線誘導弾であれば迎撃に努めるしかありませんが、赤外線誘導弾なら三式弾の爆発で誘引できるはずです!」
「うむ!それでいくぞ!」
赤外線誘導爆弾を警戒し、三式弾で熱源を作り対策を講じたが、投下されたのは無誘導の通常の爆弾であり、当然命中するはずもなく回避できた。
しかし、烈風や高角砲による迎撃がろくにできず、被弾はしなかったものの、大編隊に一方的に攻撃を受けたことで機動部隊は大いに脅威を感じた。
「よほど照準器に自信があったのかもしれませんね」
「うむ。しかし常識的に考えて、航行中の艦艇への高高度からの精密爆撃など、まず当たらんだろう」
「そこを数で補うつもりだったのかもしれません」
米本土攻撃に臨む機動部隊の艦載機は、現時点では烈風と艦上偵察機彩雲のみで構成されていたが、新たに烈風を補充改修ししていき、飛行甲板上に露天繋止を行い次に備えていったのだった。
9000m以上からの爆撃で効果がないと見た米軍は、第二波は6000m程の高度で飛来した。
今度は迎撃が行え、機動部隊への爆撃は許してしまうも回避運動も成功し、損害は至近弾によるものだけだった。
米重爆撃機の大編隊に損害は与えたが、多数の撃破は確認できたものの、撃墜が確認できたのは極僅かであった。
迎撃に上がった烈風にも損害が出たが、損傷が激しい機体は投棄し、ただちに烈風の追加補充を行い改修されていき、予備の機体を確保していった。そのため機動部隊は米本土から距離をとり、一旦仕切り直すことにした。
「敵の新型重爆撃機はB-17以上の速度があり、烈風でも同じ機体に2度攻撃することはできませんでした」
「しかも頑丈で、防護機銃も強力なわけだな」
「はい。単体の烈風の機銃だけでは撃墜は困難です」
「だが、こちらの迎撃は数で圧倒できる。訓練も燃料を気にしなくて良くなってからは充分に行ってきた。彼らならやってくれるはずだ」
夜半までに陣容を整え、機動部隊は再び米本土を目指した。
翌日、機動部隊は米本土へ最接近し、とうとう米軍は業を煮やしたのか、3000m程の高度で飛来した。
確かに水平爆撃の命中率は上がるであろうが、米戦爆連合は機動部隊の全力の迎撃を受けることになったのである。
とはいえ米本土との距離も縮まっており、四発爆撃機だけでなく双発爆撃機や護衛戦闘機の随伴、残存の米機動部隊戦力も投入されてきた。
対する烈風は数を減らしておらず、大半の機体が空対空爆弾である三号爆弾や噴進弾を装備し、米爆撃機に備えていた。
交戦が始まり、身軽な征空担当の烈風は米護衛戦闘機を拘束し、三号爆弾や噴進弾装備の烈風が米爆撃機の大編隊に初撃を加えたのであった。投弾した烈風も引き続き迎撃戦闘を続け、数に物を言わせて米重爆撃機などに攻撃を加えていった。
米爆撃機の大編隊は、大損害を受けながらも日本機動部隊へ接近していったが、大和型戦艦8隻の主砲による対空砲弾の攻撃を受け、さらに数を減らしていった。
そして米爆撃機は高度3000mからの水平爆撃を行うが、機動部隊も全力で回避運動を行い、空母への被弾は装甲部のみで免れたのであった。
その後も米軍機の攻撃は続き、対潜哨戒に当たっていた水上偵察機瑞雲までもが迎撃に参加し、米陸海軍機による攻撃を空母の離着艦能力を失うことなく凌いでいった。
烈風は補充改修され続け、控えの搭乗員と交代しながら常に米軍機を物量で上回っていった。
やがて、さしもの米軍も操縦士の練度や戦力が低下し、日本機動部隊は危なげなく迎撃を行えるようになっていった。
日が暮れ航空機の活動が低調になる頃、この航空戦に密かに潜り込んでいた多数の独潜水艦部隊が、米機動部隊への襲撃を開始した。
日本機動部隊が大西洋に入ってから行ってきた米英艦艇への執拗な攻撃により、米海軍の対潜戦力は低下し、独潜水艦の活動は活発になっていた。
そして、独潜水艦部隊は北大西洋海戦で敗れ撤退した米機動部隊を、虎視眈々と狙っていたのである。
米東海岸沖で行われた航空戦の混乱に乗じ、米機動部隊の予想進路で待ち伏せていた独潜水艦部隊は、一部が夜襲に成功し、米機動部隊に少なくない損害を与えたのであった。
翌日も米航空機は無尽蔵とも思えるほど投入され続けていたが、熟練搭乗員の数が減ってきているのか米航空機全体の練度が下がっていき、東海岸の制空権は日本機動部隊に傾きつつあった。
米西海岸に展開した日本機動部隊は、東海岸以上の物量が投じられていた。
空母を始めとする艦艇すらも補充され続け、その圧倒的な物量を持って西海岸上陸作戦が行われようとしていた。
アメリカは人口の多い東海岸を重要視したため、陸軍の重爆撃機や海軍の機動部隊を東に回し、西には主に海兵隊が対応していた。
この米海兵隊の猛攻により、西海岸の日本機動部隊の空母は多数損傷し、型録による補充を行い続けたのだった。
「捕虜からの聴取によりますと、現在攻撃してきている米海軍機は海兵隊のもののようです」
「ガダルカナル島で精強さを見せた奴等か!どうりで勇猛果敢なはずだ」
「米機動部隊の攻撃と違い、肉迫攻撃を行ってきますからね」
「案の定、翔鶴が真っ先にやられたな」
「被害担当艦ですからね。それに対してこの瑞鶴は未だ無傷です」
「!またグラマン艦爆に1隻食われたぞ。替えが利くとはいえ、とんでもない損害だな」
「練度が低いとはいえ、こうもやられるとは思いもよりませんでした。型録の力がなければ撃退されていたところです」
主な空母は翔鶴型空母であり、そのため急降下爆撃に弱く、離着艦不能となる艦が続出した。
しかし、後方で中小型空母に護衛された補充艦隊が展開しており、翔鶴型空母とその艦載機が、人員さえ乗艦すればいい状態で待機していた。さらに補充人員の控えも準備されていた。
西海岸を攻撃している日本機動部隊は、新たに編成された部隊であり練度は高くなかった。そのため、機体性能と数頼りの戦いとなっていた。
米西海岸は、型録のおかげで練度不足を補って余りある物量を投じ、米海兵隊を押し切っていったのであった。
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