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無位の編集者  作者: ぎる
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05 喰らう者と喰われる者

魔法


魔法とは、身に宿した魔力を術式によって編み上げ、現象として世界に顕現させる力である。

術式の精度、魔力量、制御能力、魔力出力、そして経験によって、その威力と格は大きく変化する。


初級


魔法・剣術を学んだ者であれば、十歳頃に到達するのが一般的。

生活魔法や基礎戦闘術を扱う段階であり、冒険者見習いや兵士候補が身につける最低限の領域。


中級


魔法・剣術を幼い頃から学んだ者が、十四歳頃に到達するのが一般的。

対魔獣・対恐害獣戦闘が可能となり、一人前として認められる実力。


上級


才能ある者でも十八歳頃に到達するのが一般的。

高度な術式や戦闘技術を扱うことができ、宮廷魔術師・近衛騎士に任命される水準。


彗星級


国に仕える宮廷魔術師・近衛騎士の中でも上位に位置する実力者。

戦場一つの流れを変えるほどの力を持ち、その名は各地に知れ渡る。


聖級


国家最高戦力の一角。

軍勢を単独で相手取れるほどの力を持ち、一騎で都市防衛を担うことすら可能。

「人の到達点」と称される領域。


王級


一国に一人存在するかどうかとされる存在。

その存在だけで周辺諸国への抑止力となり、厄災獣とも単独で渡り合える。


帝級


国そのものを支配し得るほどの力を持つ存在。

一撃で地形を書き換え、歴史すら塗り替える。

“個人”ではなく、“国家級戦力”として扱われる。


皇級


伝説として語られる領域。

複数の王級を同時に相手取ることが可能とされ、その魔力は天災に等しい。

歴史上でも到達者は極めて少ない。


天級


人の理を半ば超越した存在。

空間・天候・生命活動すら干渉可能とされ、現界するだけで周囲の法則を歪める。

この領域に至った者は「最強」と呼ばれる程。


神級


神話に記される存在。

大陸規模の現象を引き起こし、国家や文明を滅ぼし得る絶対者。

古代では“神の代行者”として崇拝されたとも伝えられる。


原初級


世界が生まれた時代に存在したとされる始源の力。

通常の魔法体系とは根本から異なり、術式そのものを不要とする。

理すら捻じ曲げる、万象の根源に触れた者だけが至る領域。


創世級


世界創造に等しい権能を持つ、到達不能の領域。

生命、法則、時間、空間—その全てを創造し、破壊することが可能とされる。

もはや“魔法”ではなく、“世界そのもの”を操る力である。

私は服を着替えることもなく、乱暴にベットに横たわる。

しばらくして、ベッドに押し付けた顔を窓に向ける。

神は本当に居るのだろうか。

今日は満月なのに、厚い黒い雲がかかり、空は黒く塗り潰されている。


—私はあの日の事を今でも夢に見る。


貴方はもう忘れてしまった様だけれど。


もっと強ければ。


もっと賢ければ。


あの時何か変わっていたのだろうか。


貴方の見ている景色を見てみたかった。


貴方に、私を見て欲しかった。


—ただ、それだけだった。





助かると思った。

助かるはずだった。

なのに。

あの子は目の前で死んだ。

分かっている。

助けられない命なんて、この世にはいくらでもある。

弱い者に、選択肢なんてない。

そんなこと、痛いほど知っていた。

それでも‥。

叫ばずにはいられなかった。


「なんで‥助けに行かなかったんですか!」


気づけば、私は彼女の服に縋りついていた。

すると、彼女はこちらを一瞥し呟いた。


「‥もう終わった」


「じゃぁ、なんで」


喉が震える。


「助けられたでしょう‥!」


掴んでいた両手から、力が抜け落ちる。


「‥何の話?」


「‥え?」


彼女はそれ以上何も言わず、静かに空を見上げる。

その先に居たのは—。


死んだはずの少年。


空中で、時間ごと切り取られたかの様に止まっていた。


声が、震える。


「なんで‥あの子が‥‥?」





話の通りだった。

欲望のまま、人を貪る怪物。

その油断が、お前の敗因だ。


勝利を確信していた黒鰐(ハイイエリコ)はこちらを振り返り—そして動きを止めた。

殺した筈の人間が、目の前に立っている。

困惑しているのだろう。

赤い瞳が揺れる。


瞬間。

抑えていた魔力を解放する。


その波が、水面を揺らす。


黒鰐(ハイイエリコ)はその巨体がびくりと震える。

気づいたようだ。

腹の中に異物が混じっていることに。


空気が変わる。


冷気が広がり、水面が薄く凍りついていく。


「—お前(ハイイエリコ)の敗因は、人間をみくびったことだ」


奴は本能的に危険を感じたのか、ジリジリと後退を始めた。

だが、もう遅い。


準備は終わっている。

分身が放った魔法を、大きな口で喰らってくれた時点で。


僕は片手を揚げる。


“—氷系統上級魔術—”


氷塊の柱陣(フロストピーリンス)


その瞬間。


黒鰐(ハイイエリコ)の内側から、無数の氷柱が突き出した。


肉を裂き、骨を裂き、その漆黒の鱗ごと貫いていく。


轟音。


数十メートル級の氷柱は、大地を割るように天へ伸びた。


断末魔さえあげることも出来ず、巨体が動きを止める。


赤黒い血が、白い氷をゆっくり染めていった。

何げに前書きに時間がかかってますが、今後の為にもかなり頑張りました。

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