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55.ハッピー・ニュー・リレーション

前回のあらすじ。

ついに明音と黄河が親友から、

付き合った彼氏になった。

テレビからおめでたそうな、琵琶の音が聞こえる。

朝から元気にはしゃいでいる芸能人をみながら、熱いお餅をふーふー冷ます。


「こーーんにちはぁぁぁぁ!」


「あけおめー、おじいちゃん!」


「おお、きたきた」


同じように酒を片手にテレビを見ていた父が、嬉しそうに腰を上げる。

テレビに負けないくらい大きな足音が近づいてきたかと思うと、次の瞬間僕の体にどんっとそれは乗ってきてー


「わー、明音ちゃんがいるー!! レア!」


「ぐえっ」


「明音ちゃん、久しぶり〜!! 明けましておめでとう〜!」


「ふ、二人とも重い……あけましておめでとう……」


二人分の重さに耐えながら、頑張って体を起こす。

クリスマスが終われば、あっという間にお正月だ。

今日は姉と姪っ子が遊びに来るから、予定のない僕は家でのんびり担当……とは、いかないようだ。


「なんだ明音、仕事休みなの? 家にいるくらいなら、お友達と初詣くらいいったらいいのに」


「さ、さすがに年末年始は誘いづらいよ……」


「あら、誘うだけ誘えばいいじゃない。明音、すごく仲がいいお友達がいたわよね。こうが君、だったかしら」


そう言われると、どう反応していいかわからない。

クリスマス以降、僕とこうは付き合う彼氏となった。

そこからなんとなく、本当になんとなくだけど、連絡が取りづらい。

関係が変わった途端、なんて送ればいいのか分からなくなった。

あんなに普通にやり取りしてたのに、不思議なものだ。


「こうが……こうが……あ、あったこれか。送信っと」


いつのまにか、自分の携帯がなくなっていることに気がつく。

驚くのも束の間、気がついたらメッセージが送信されていてー


「ちょ! 勝手に送らないでよ!!」


「いいじゃん、減るもんじゃないし。そのこーがって子、私も見たいんだよねー連れてきて」


「なんでそうなるの!?」


「あの子、いい子よねぇ。怖そうな見た目してるのに、明音を送ってくれたり、律儀に挨拶してくれたり。また会いたいわぁ」


母は、一度こうに会ったことがある。

大学時代、帰りが遅くなった時にバイクで送ってくれたことがきっかけだ。

そんな彼と同じ職場であることは告げたけど、恋人になったことは言っていない。

まだちゃんと付き合ってないし、親になんていえばいいかわからないんだよなぁ……


そんな時、ふと着信が入る。

びっくりして目を向けると、それはこうからの着信でー


「はいっ!! 聖ですっ!!」


『聖ですってお前……家電じゃねーんだから普通に出ろよ。このメッセージ、お前じゃねーよな? お姉さんか?』


「ああ、ごめん。勝手に送られて……忙しくなかった?」


『全然。むしろ暇すぎて死んでた』


いつものこうの声が、聞こえる。

それだけで、どこか安心してしまう。

たった数日会ってないだけなのに、なんでこんなにホッとするのだろう……


「あ、あの、さ。よかったら、なんだけど。初詣、いかない? その……二人、で」


『おー、いいな。お袋がよー、正月くらいは顔見せろって鬼電してくるんだよ。断る理由できてちょーどいいわ』


「それはちゃんと顔出そうよ……えっと、神社はいつものとこでいいよね? 駅でいい?」


『ああ、迎えに行く』


電話が切られる。

迎えに行く、かぁ。いつもなら当たり前のことだったのに。

彼氏になると、こうも感じ方変わるんだなぁ……


「ママーー、明音ちゃんにやにやしてるぅ」


その声に、はっとする。

しまったと思った矢先、みんなの視線は僕に向いていてー


「ねーねー明音ちゃん、今のだぁれ? 恋人?」


「ち、ちがっ!! 友達だよ!!」


「………えっ、その反応どう考えても黒じゃん。そゆこと?? ねえそうなの明音?」


「違うってば!!」


「あらあらぁ、明音が選ぶ人なら、お母さん、誰でも大歓迎よぉ〜」


「ほら、早く支度しなさい。その人を待たせるわけには行かないからね。いつか、父さん達に紹介するんだぞ」


優しい言葉が、僕の心に染み渡る。

家族に見送られながら僕は、うんと頷いた。



「うわぁ……すごい人……」


見渡す限りの人まみれに、思わず呟いてしまう。

動くのもやっとな状態に、ぶつかっただけでバランスを崩してしまいそうになる。


上寿神社は、大学時代からずっと二人で来ている馴染みの場所だ。

大学時代も、それぞれ就職してからも近いからという理由でここにきていたけど……


「正月なだけあって、やっぱ混んでるな。はぐれないよーに気をつけろよ、明音」


こうの声がする。

ぐいっと寄せてくれた体に、思わずびっくりしてしまう。

ど、どうしよう。いつもとやってることは変わらないはずなのに、こうが余計にかっこよくみえるような……


「とりあえずお参りするか……なんだよ、人の顔ジロジロ見て」


「い、いや……こうって、自然にこういうことするのうまいなぁって」


「お前が危なっかしいからだろ。目を離すとどっか行くし」


「そう、なんだけど……いざされると、こっちが緊張するっていうか……姉さんがいなきゃ、こうして誘ってもなかったし……」


「だろうな、俺も同じだし」


その言葉に、思わず顔を上げる。

そんな僕の視線に、彼は恥ずかしそうに頬を掻いていてー


「こうも、恥ずかしかったの? だからクリスマス以降、何も送ってこなかったの?」


「いちいち言うなよ。なん、ていうか、小っ恥ずかしいんだよ。こういうの、やったことねぇし……」


「……こうってもしかして、意外と奥手?」


「言うじゃねぇか。なんなら繋いでってもいいんだぜ? 迷子防止で」


にやりと、こうが笑う。

してやられた、とも思ったけど断る理由もない。

だから僕は、その手を掴み、


「じゃあ、お願いしようかな」


と、笑った。

こうは少し、意外そうな顔をしていたけど。

大きくて、少しゴツゴツした手だ。とても温かい。


手を繋いだまま、僕らはお参り、屋台と見回った。

ついでにおみくじもして、結果を言い合って。

いつもと変わらない、彼との日々。

ただ違うのは、親友ではなく彼氏、という関係性だけでー


「よし、こんなもんだろ。家まで送ってく」


「あ、あのさこう……こうって、お母さんたちに、僕のこと言ってる? 実は家を出る前、親に勘づかれちゃったかもしれなくて……」


「言ってるも何も、俺は端からお前にしか興味なかったからな。むしろ急かされたよ。うちの親、好きなことに関してはしつこいほどうぜーから」


「素敵なご両親だよね、ほんと」


「好きなものに文句言わせない。お前だって、そうだろ?」


彼の言葉が、すごく心強い。

いつか、この関係をいえる時が来るのだろうか。

仮に言えたとして、あの両親なら、大丈夫な気がする。

彼がいれば、彼といれば、どんなことも乗り越えられそうな気がするから。


「あ、土産に食いもん買っていいか? なんかたべよーぜ、せっかくだしよ」


「いいね、それ。僕も家に何か買って帰ろうと思ってたんだ」


繋がれた手の温もりが、とても暖かい。

彼のぬくもりが、ずっと、いつまでも残っていたー


(つづく!!)

おまけの小ネタ

明音「えーっと、というわけで。彼氏兼親友の、こうです……(,,> <,,)」


黄河「天宮黄河です。……ご挨拶遅れてすんません」


母「まあまあまあ、黄河君って彼氏だったのぉ? そう〜お似合いねぇ(っ’ヮ’c)」


姉「話に聞いてたのより、イケメンじゃん! 私の旦那と取り替えてほしいわぁ(´☆ε☆`)」


父「いつも明音がお世話になってるよ。おせちの余りがあるから、もらっていかないかい?(^^)」


黄河「あ、あざっす……(,,. .,, ) お前んち、ほんと賑やかだよな……」


明音「なんかごめん……(^^;)それよりこう、さっきから電話鳴ってない? でなくていいの?」


黄河「……ちっ……んだよババアε=(・д・`*)」


黄河母『あーやっとでた。人が電話してるのにでなさいよねバカ息子』


黄河「今彼氏といるから忙しいっつったろ( ・᷄-・᷅ )」


黄河母『は? 彼氏?? あー、例の好きだったって子と付き合ったってガチだったんだ。よかったじゃん、おめっとー( ˙ᒡ̱˙ ) ……で、いつ紹介してくれるん? 明日? 明後日??』


黄河「誰が紹介するか。そもそも帰る気ねーつってんだろ」


黄河父『口が悪いな、相変わらず。せっかくいい日本酒があるのだが……残念だ。父さんがすべてもらおう( • ̀ω•́ )✧』


黄河「だーもー! ちゃんと帰るから食わずに残しとけ!! 明音はつれていかねぇからな!ヽ(`Д´)ノ」


明音(仲良いなぁ……(*^^*))


双方無事に紹介しました。


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