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茶道 探偵部(仮)の愛と冒険~異世界物語がエタったのでヒロインが学園物語に転生しました~  作者: るきのるき
2・春休み中の異世界のみなさん

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2-7・3人は勉強をやりすぎる

 うちの高校は、基本的に自由度が高い。


 それはもう、あやかしとか異世界人とか、学校の入学基準を満たせるだけの成績があれば、入学許可しちゃうぐらいなので、制服とか授業の開始時間・終了時間も決まっていない。


 こんな学校が文部科学省に認可されているのが不思議とはいえ、ダイバーシティ(多様性)ということで多分許されているんだろう。


 入学希望者がタコとかでも大丈夫なんじゃないかな。


 普通のタコは卒業する前に産卵して死んちゃうけど。


 そんなわけで、定期試験も、春・夏の休みも、文化祭その他の公式行事もない。勝手に生徒が休んだり、イベント主催しているだけである。


 ただ、進級するためには文部科学省が決めた基準があるので、それが満たされない限りは先に進めない。


 おれが今日怒っていたのは、3人の英語学習の進展が、ヒトと比較して進みすぎていたせいである。


 どこの学校でも、そのようなものは全校生徒を対象に公開しない。


 上位10名ぐらいを、それもスクールネームだけで、学校内の人間に限定して公開する程度だ。


 おれが見た感じでは、まだ正式に学校がはじまっていないのに、異世界人の英語における学習進展度合いはこんな感じ。


 1位はミドリで、2位がその半分ぐらいのところに、クルミ。さらにその半分ぐらいなのがワタル。


 多分ヒトと思われる4位の者は、ワタルの半分ぐらい。


 つまり、ミドリはヒトの8倍ぐらいの早さで学業を進めている。


 だとすると、高校一年のクリスマス前までに、もう勉強に関してはやることがなくなるから、同じもの3回ぐらい復習しながら、各種資格とか取る、って感じなのかな。


「大丈夫なんよ、数学はそこまで進められなかったから」と、ミドリは言うけど、今のおれが学習しているよりちょっと先のレベルではある。


「やはり気になるのは、英単語とか助詞の空欄埋めみたいな、暗記系のほうだな。クルミ、普通の高校生は英単語ってどのくらい覚えてるかわかる?」


「え………ええと……10万語?」


 それは英和中辞典のレベルである。


 リアル辞典だと、筋力をつけるために使われるぐらいの分厚さ。


「一般に、英検1級で、英単語に関しては1万語ぐらいの知識があれば十分だと言われています」と、ミナセは補足した。


「だってしょうがないじゃないですか! リアルなこの世界に友だちがいるわけじゃないし、することもないので」と、クルミはぶちぶち言っていた。


「なおわたしは、在学中に英検初段を目指しています!」と、クルミはサムアップしたけど、英検に初段とか黒帯は、たぶんないと思う。


「参考までに、みなさんはどんな学習アプリ使ってたの?」


「ミドリが魔改造した、単じぇりん・ドリームという音ゲーソフトです」


 そう言ってクルミは、携帯端末のアプリを開いて、おれに見せた。


 ガールズバンドっぽい5人のちびキャラが、ふわー、ふわーっ、とか、いう音ゲーっぽい音楽を流して、それにあわせて、4つの指を使って、英単語の日本語訳として適切なものを選ぶ。


 助詞の場合は、みじかい文が上から落ちて来て、タイミングを合わせて4つの中からひとつを選ぶ。


 inとかforとかwithinとか、けっこう知ってるつもりでも難しいな。


「ちなみに、ウルフがやってるのはスーパーイージーモードなのね。だめやん、こんなレベルでexcellent出せないようだと」と、ミドリは言って、自分のスーパーウルトラハードモードの画面をおれに見せてくれた。


 音楽はデスメタル調で、黒っぽい服を着たおしゃれゴスロリ系ガールズバンドが、ときどき火を吹きながら、ハロウィン(という名前のロックバンド)みたいな速弾きをする。


 見てるだけで頭がくらくらしてきた。


「とにかく、英語はリスニングとライティング以外の学習禁止! 数学は応用問題! 国語は志賀直哉!」とおれは言ったので、異世界女子はぶつぶつ言った。


 えー、藤村とか独歩のほうがイケメンだし、安吾のほうがかっこいいじゃないですか。


「そうだね、安吾は許そう。ミステリーも書いてるし」


 わーい、と3人は喜んだ。


     *


 ちゃんと、茶道 探偵部(仮)っぽい、事件っぽいことが起きたのは、新入生の入学式(仮)がある前日のことだった。

本当はアプリの名前は「単ドリ(タンドリ)」にしたかったんだけど、すでに商標登録されてました。

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