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ゴミ屋敷の前で呆然と立ち尽くしていると、中から声が聞こえて来た。
「隼人、待ってくれよ~!」
しばらくすると、ゴミ屋敷の中から、男の子と黒いスーツの男が出て来た。
「あ、おばさん、僕帰ります。色々ありがとうございました。」
男の子は丁寧に私に頭を下げた。
その後ろから、凜が出て来た。
「凜!」
「お母さん……。」
凜はこっちを見ると、私から目をそらした。
その目は男の子へ向いた。
「少年、私を誘拐して。」
「それ、誘拐って言わないよ。」
凜、何を言い出すの?
「何言ってるの?凜、これ以上遅くなったらご家族にご迷惑でしょ?」
「それ、自分の事しか考えてないって言いたいの?」
凜の怒りに火がついてしまった。
「そんな事一言も言ってないでしょ?」
こうゆう時の凜は、何を言っても耳に入らない。なるべく、冷静に。冷静に話をしよう。
「言ってるよ!そうだよね、私と違ってお母さんはいつもいつも、他人の事ばっかりだもんね!
自分の事は後回しで、いい顔して何でもかんでも押しつけられて…………」
「押しつけられてるなんて思ってないよ!」
「私はそんなの嫌。私はお母さんとは違う!お母さんみたいに、畑でひとりぼっちで、老人達の世話で一生を終えたくない!!私はお母さんみたいにはなりたくない!!」
「…………。」
思わず…………絶句してしまった。
ショックだった。凜が…………そんな風に思ってたなんて……。
「あ、リン!!」
リンが走り去って行った。その後ろを、男がリンを追って行った。
男の子もついて行こうとしたから、男の子だけ止めた。
「待って!君、ご両親に連絡しよう。きっと、今頃ご家族が心配してるよ?」
男の子は凜と男の方を見たまま、足を止めた。
「でも…………シェロが……。」
「シェロ……?あの、男の人?」
「シェロは元々犬だったんだ。」
犬…………?だった?
「おばさん、この番号に連絡お願いします。僕、シェロを探さないと!」
「願いを叶えてくれる龍?」
まだそんな事言ってるんだ……。
「うんん。本物のシェロだよ。」
「本物って?」
「ずっと一緒にいるって約束したんだ。約束した方が本物。」
すると、男の子は何かを思い出した。
「約束……!約束した!僕、お母さんと約束した。龍が帰って来た時に、幸せだねって言えるようにしようねって。」
それって…………どうゆう約束なの?願いの叶えてくれる龍が帰って来たら、幸せだねって……?自分の力で幸せになろうって事なのかな?
約束…………。そういえば、私もヒロと約束したっけ。必ず、凜を連れて帰るって……。ヘコんでる場合じゃない。凜を追わなきゃ!




