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サイバーパンク2.0.2.5──だから中卒無職の寛太は〝チートスレイヤー〟と呼ばれる  作者: 東山統星
シーズン0 さぁ、馬鹿騒ぎの時間だ

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006 戦闘狂

 きのう少女になったばかりなので、そう言われたことはないが、適当に話を合わせておく。


「だけど、どんな異能なんだ?」

「無効化」

「へ?」

「あらゆる異能を無効化する……らしい」

「断言できねェんかよ」

「野暮なツッコミだよ、それは。だからカテゴリー・エラーなのさ」

「うーむ。いよいよ摩訶不思議だぞ」

「お、私も不思議には思ってるさ」


 つかみどころが無さすぎる寛太に、宮下も首をかしげるばかりだった。


 *


 中学生カリキュラムは、あくびが出るくらい簡単だった。中卒止まりとはいえ、さすがに中学1年の授業ができないほどではない。


 授業が終わり、寛太は帰宅しようと荷物をまとめる。

 そのとき、


「貴方がカテゴリー・エラー?」


 後ろから、女子に声をかけられる。寛太は気だるそうに振り向く。


「そうだけど」

「あの主席・西野霞の妹にして、カテゴリー・エラー……喧嘩を売らない理由がないよね」

「はぁ」


 とにかく、壮麗学園の生徒は血気盛んだ。ましてや、寛太は非常に珍しいカテゴリー・エラー。悪目立ちしている感は否めない。


「模擬室で、ちょっと手合わせ願える?」

「嫌だと言ったら?」

「ここで闘うまでよ」


 茶髪のセミロングヘアで、顔立ちの整った低身長の少女は、アドレナリンにあふれた目でそう言った。

 せっかく平穏に一日が過ぎると思っていたのに、このザマだ。どうも、彼女は闘うことでしか快楽を得られない、悲しき血族らしい。


「分かったよ。ただ、後悔しても知らないからね」


 中学生活の1日目の終わりは、名前も知らない女子中学生と闘うことで終わる。


 *


 壮麗の異能開発は、副作用として戦闘狂になってしまう。〝サイバー・ギア〟という外部装置を使えば、その副作用は(ある程度)避けられるが、主流──そして、壮麗学園で用いられる異能開発だと、その副作用は現れることも多い。

 だからきっと、名前も知らない女子生徒は、能力開発の所為で凶悪になっているのだろう。困ったものだ、と寛太は手を広げる。


 核兵器が降ってきても大丈夫、という白いブロックの模擬室で、寛太と女子生徒が向き合う。寛太は一応身体を伸ばしておき、


「いつでも良いよ~」


 と間の抜けた声で言う。


「言われなくても⋯⋯!!」


 どうやら速攻で終わらせるつもりらしく、彼女は即座に寛太との間合いを狭めた。対する寛太は、突き指したいのか? と言わんばかりに両指を突き刺す。


「なにを⋯⋯ッ」


 すると、

 少女の攻撃は、その両指に吸い取られた。


「……ッッッ!!」


 かなりの高速移動で鎮めるはずだったのに、その勢いはすべて、銀髪少女に打ち消される。少女は地面を蹴り、今度は両指に触れないように斜め上から攻撃を仕掛けるも、


「残念」


 寛太は、それすらも見越していたかのように、右の全指を動かす。

 そうすれば、

 見えない斬撃を喰らったかのごとく、少女の身体から力が抜けていく。


(ぶっつけ本番なのに、こんなうまくいくとはな⋯⋯)


 当然ながら、寛太はこれが本番だ。

 しかし、異能を計る際、自分の能力の詳細を知っていたのも事実。

 とにかく、指の動きが大事。指がうまく動けば、相手はなにもできない。寛太の指には、微弱な膜が張られており、それを元に相手の異能を無効化できるらしい。


「クソッ!!」


 女の子らしい言葉も投げ捨て、相手が焦り始める。

 一方、寛太からしても、決定打がないのも事実。男性時代ならともかく、今の寛太は160センチで体重も60キロに満たない細身。だから、無効化系にありがちな殴り勝つことができない。それに、いくらこちらが女子とはいえ、女の子を殴って良いのか、という論理的な話にもなる。


 さて、困った。


 ⋯⋯いや、よくよく考えれば勝ちにこだわる必要もないのでは? 命をとられるわけじゃないし。


「あー、参りました」


 寛太は両手を上げ、降参するのだった。


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