ドラゴン怒りの鉄拳。1
優しさ。
優しさだけでは解決しない事柄が、
この世にはどうしても存在する。
理不尽な暴力や侵略で、
大切な人や、その生命が脅かされたとき…
怒りを力に変えて、
拳を握りしめて、
人は戦わねばならない!
——
『靴下って…』
洗濯物をたたむお手伝いをしていた、
夢ちゃんがポツリとつぶやいた。
『どうかしましたか?』
歌ちゃんも洗濯物をたたむ手を止め、
夢ちゃんを見た。
『靴下って、片っぽ無くなっちゃうよね』
『そういえば…そういう事ありますよね。』
『これ、お気に入りだったのに、
片っぽ無くなっちゃった……』
夢ちゃんお気に入りの、
もこもこほわほわの限りなく淡い、わたあめ。
ピンクと水色の靴下。
『不思議ですよねー。そうなると、
どこを探しても見つからないんですから』
『かくれんぼしてるのかな?』
『……夢ちゃん先輩の…』
『んー?』
『夢ちゃん先輩の…何気ないひとことって、
たまに “答え” だったりしますからね』
歌ちゃんは、クスッと笑った。
——瞬間、画面が真っ暗になった。
パッと再び画面が明るくなった時、
夢ちゃんと歌ちゃんは、荒れ果てた荒野にいた。
洗濯物を手にしたまま歌ちゃんがつぶやく。
『夢ちゃん先輩、これって…』
『うん。なんか知らない場所だね。』
歌ちゃんがそっとオートナインに触れた。
ひんやりとした鉄の感触が指先に触れる。
『誰かが、僕らをここに呼んだのかな?』
『…誰かって…?』
『わたあめです。』
そこに靴下が立っていた。
『私は、靴下。名前はわたあめ。』
『あ!僕のお気に入りの靴下だ』
『夢ちゃん、歌ちゃん、
いきなりこんな場所に連れてきてごめんなさい。だけど……』
わたあめは拳を握りしめる。
『どうしても…どうしても許せない奴らがいるんです!』
握りしめた拳は怒りにふるえていた。




