ハッピーエンドの外側。4
涙で全部がぼやけて、照準が定まらない。
『ウタ……。
苦しみから救うことを。
人の魂の救済を。
あなたは否定するのですか?』
『……』
両手で握りしめた
オートナインの銃口が震える。
『慈しみを…破壊してしまうのですか?』
『……わかりません』
迷いながらも、
それでも歌ちゃんは、真宵を真正面から見つめる。
『わからない?』
『落陽のしていることが…優しい想いが…
苦しみの中にいる人にとって、
もしかしたら本当の救いなのかもしれません…』
『……』
『でも…!』
『……』
『でも…!
それを決めるのは……生きている人自身です!』
『……ウタ』
『……本人の選ぶ自由を。
生きる意思を。
踏みにじってしまっているのなら……
私は、
それを優しさだとは思えません!』
——
海はとても静かで、
そこには優しさだけがあった。
『……わかりました。』
しばらく沈黙していた、真宵が静かに言う。
『ウタ。それがあなたの出した答えなら、
私を……』
真宵が初めて悲しい表情をした。
『—私達、落陽の優しさを破壊しなさい。』
『!…』
——
オートナインを握る歌ちゃんの手が、
小さく震えている。
涙で、
真宵の姿はもう滲んで見えない。
『……っ』
引き金にかかった指に、
力が入らない。
…苦しい。
……わからない。
何が正しいのか、
歌ちゃんにはもう、
わからなかった。
『……ウタ』
真宵が微笑みながら、目を閉じる。
『……っ』
その時だった。
ぎゅっ。
『……もういいよ』
毛布を引きずった夢ちゃんが、
後ろから歌ちゃんに抱きついていた。
『夢ちゃん……先輩…』
『歌ちゃん、
もう泣かなくていいよ……』
夢ちゃんの小さな手が、
ふるえる歌ちゃんの手を、
そっと包む。
『……おなかすいたね。』




