打ち上げ花火、下から見たい。2
『花火研究の進捗は、どんな感じなんですか?』
歌ちゃん。
『今んとこ全然ダメです。ドーン…だけ。』
ナズナちゃんは、研究ノートを見ながらため息。
気まぐれ重力の影響で、打ち上げ花火は、
ドーンと打ち上がって、そのまま大気圏を突破。
パチーンには、まだ一度も成功していなかった。
『本当に難しいものなんですね、
打ち上げるための火薬の調整って』
『そうなんですよね。
まわりの花火作りのお友達も、否定的で…』
『きのこの山食べる?』
『あ。 はい。ありがとう夢さん。』
ナズナちゃんは、きのこの山をもぐもぐしながら、
『私、あきらめません。絶対に!』
と、レインボーをチェイスすることを、
再び断言した。
『はい。 ナズナちゃんが、夢を追いかけ続ける限り、私たちも、できることは協力します』
『ありがとう、歌さん。』
ー
《打ち上げ花火、下から見たいプロジェクト》
が動き出した。
ナズナちゃんは、火薬のチューニング。
歌ちゃんは、プロジェクトの広報を担当、
有識者や技術者から、火薬チューニングのアイデアを募集した。
夢ちゃんは、そんな2人をきのこの山や、
いちごジャムパンなどで支え、
研究ノートに向かいながら、
寝落ちしたナズナちゃんに、
そっとブランケットをかけてあげたりした。
ーそれでも。
相変わらず花火は、ドーンだけ。
アイデアもなかなか集まらず、
それどころか、
『どうせダメだよ』とか
『無駄な事だよ』とか
『ケガする前にやめたほうがいい』とか
否定的な意見ばかり。
プロジェクトは、暗礁に乗り上げた……
——かに見えたが、
ここで形勢を逆転させる出来事が起こる。
プロジェクトの存在を知り、
また、その反応が否定的な意見ばかりである事を知った、
《モエソデお姉様》が、
『打ち上げ花火を、下から見たい。
だなんて、とてもとても素敵な事よ。』
さらに、
『戦うナズナちゃんの唄を、
戦わない人達が笑うのだわ。』
と、神話的な影響力をもつモエソデお姉様が、
メディアでそう発言したものだから、
一晩で、世論はひっくり返った。
火薬チューニングに関する情報。
打ち上げ花火の歴史的文献からの調査報告。
研究をサポートしたいと名乗りを上げる、
ハイテクノロジー分野のエキスパート。
火薬チューニング演算のための高性能電子計算機。
きのこの山。いちごジャムパン。など。
力強く、あたたかい応援の声が、世界中から
プロジェクト研究チームに寄せられた。
みんながナズナちゃんと一緒に、
レインボーをチェイスし始めた。
——そして
ついに、新型の打ち上げ花火が完成した。
その花火の名前は、
《ダイヤモンド》。




