打ち上げ花火、下から見たい。1
『ドンパチしたいです』
《レインボー・チェイサーの女の子》
が来店した。
『ドンパチですか?』
なんだか物騒な言葉に、思わず身構える歌ちゃん。
『ナワバリ争いするの?』
夢ちゃんは、きのこの山を食べながら
金魚鉢のお魚さんを見てる。
『違います。ドーン。パチーンです。
打ち上げ花火を、打ち上げたいんです!』
『打ち上げ花火を?』
『はい! 空高く!』
『そんな事ができるのー?』
ー
この世界において、なんだかいろいろな物や、
事柄が《ふわふわ。ゆるゆる。》しているのは、
決して比喩だけでは無い。
実際に、ふわふわ。 ゆるゆる。 している。
まるで絵本のように、
わたあめはふわふわだし。
焼きたてのパンもふわふわ。
お布団もふわふわしていて、
そよ風もふわふわ。
難しい漢字もあまり出てこないし、
ひらがな多め。ゆるゆる。
全体的に
《ふわふわ》であって、《ゆるゆる》なので、
それは、そのまま物理的にも作用している。
重力が微妙に、ゆるふわい。
折り紙は折り紙よりも、少しふわふわで、
子犬はスキップしながら、お散歩をする。
重力は日によって変わるので、
ゆるふわ。の一日もあれば、
ゆるゆるふわふわ、な一日もあって、
お魚さんは♾️の形で泳ぐ。
そんな重力の気まぐれみたいな、
世界において、打ち上げ花火は、
打ち上げ用の火薬の計算が全くあてにならず、
デタラメの数式でテキトー。危ない。危ない。
ダメー。ってな感じになり、
打ち上げ花火は、実力を発揮できず、
ドーンの後は50センチくらいの高さで
パチーンとなるため、
空高くパチーンする花火を誰も見たことがない。
″打ち上げ花火、下から見たい″
それは不可能とされていた。
『みんな、そんなの無理だよって、言うんですけど、私、絶対にあきらめたくないです!』
打ち上げ花火を研究している女の子。
名前は、ナズナちゃん。




