ブルーブラッドの女の子。3
違和感。
ルーナちゃんの視界の端、
じっとこちらを見ているような、
誰かの視線を感じる。
顔を向けてその方向を見ても、誰もいない。
いつもと同じ…。
しばらくぼんやりしていると、再び違和感。
さっきとは違う方向からの視線を感じる。
やっぱり誰もいない…。
『ホント、なんだろうな、これ…』
ルーナちゃんが困り困りしていると、
歌ちゃんと夢ちゃんが戻ってきた。
夢ちゃんは、バニラバーを食べてる。
『ルーナちゃん、どうでした?
誰かの視線を感じましたか?』
歌ちゃんが眼鏡で聞く。
『はい。この短い時間だけでも、2回。』
『やっぱり、そうですか。』
『やっぱり?』
『はい。その“2回の見られている感じ“ は、
どこからのものだったか、
教えてもらってもいいですか?』
『えっとー、』
ルーナちゃんが視線を感じた方向を指差す。
『ここと、あそこ、奥の方です。』
『はい。ありがとうございます。
…視線の正体がわかりました。』
『え?ホントですか?』
『はい。』
歌ちゃんが眼鏡をクッとした。
ー
『実は、ルーナちゃんがここを訪れる前に、
私、謎の視線を準備していたんです。2つ。』
『視線を?2つ準備?』
『はい。もしかして…とは思っていたんですが、
それが今、確証に変わりました。』
『歌さん、それは一体、何ですか?』
『これです』
歌ちゃんが、示したもの。
それは壁に書かれた小さな
《・》だった。
『?なんか小さな点ですね?
それがオバケの正体?』
『オバケじゃなかったんですよ。
ただの《・》です。それが3つ、こんなふうに…』
・ ・
・
『あ!』
『顔です。』
ー
『シミュラクラ現象(類像現象)」とは。
3つの点(特に逆三角形)が人の顔に見える現象。人間の脳が危機管理や生存本能のために「顔」を優先的に認識しようとする心理的な錯覚。
仕組み:2つの点(目)と1つの点(口)が逆三角形に並ぶと、脳が自動的に「顔」と認識します
…なんですよ。』
『…じゃあ、私の感じていた視線って…』
『はい。日常の中にある、《・》が、
偶然その形に並んでいて、
それが顔に見えていたんですね。』
『オバケじゃなくて、よかったー。』
夢ちゃんは、今回もあまり活躍してないので
クレヨンでお絵描きをしていた。
『ルーナちゃんの場合、その《・》を、
認識する感覚が人よりも強かったんですね。
自分でも無意識のうちに、顔だって、
認識していたんだと思います。』
『なあんだ…良かった…』
ルーナちゃんは、安心した…
…ちょっとまって?
《・》が謎の視線の正体だった。
それは判明したし、何よりもオバケじゃなかったのはすごい良かったのだけれど、
《無意識》、《脳が自動的》って、
言ってなかった?
そうであるなら、
ルーナちゃんには、コントロール不能。
ただの《・》とはわかっていても、
どうしても顔に見えてしまう。
じっと見られているような感覚からは抜け出せない。
ダメじゃん?
『そうなんですよね…自動的、
そこが難しいところなんです』
『うーん…私の、無意識…脳のオートマチック』
歌ちゃんと、ルーナちゃんが困っていると、
夢ちゃんがニコニコ近づいて来て言った。
『次の回で解決するよ!』




