未来予想図。Ⅲ
『シーナ博士。準備ができました。』
助手役の歌君が言う。
『うむ。ごくろう、歌君。』
シーナ博士は、
千里眼能力者、ミワ君の頭や腕や指先に、
それっぽい感じで取り付けられた、
様々な計測機器を確認して…
『これより。ミワ君の千里眼実験を始める』
と、カッコよく言った。
レトロなテープレコーダーの、
録音のボタンも忘れずに押した。
上手に形から入る事ができたので、
もはやただ邪魔にしかならない
それっぽい計測機器を全て取り外し、
シーナ博士はミワ君に語りかける。
『さあ。ミワ君、リラックスしたまえ。
心の奥底までダイブするんだ…ダイブ…
ダイブ・トゥー・ブルーだよ。』
『…はい…』
『…シーナちゃん、上手だね。』
『博士と呼びたまえ。夢君。』
目を閉じて、ゆっくりと呼吸をしながら、
どこまでも果てしなく…
ダイブ・トゥー・ブルーしていた、ミワ君は…
『あ、シーナ博士、
何か…ぼんやりと見えてきました…』
『やった!落ち着きたまえよ、ミワ君。』
『…はい』
『…それは、どんなビジョンなのかね?』
『…黒い…小さな、丸い形が見えます…』
『…チョコボールかな?』
『シッ。静かに、夢君。』
『…あと、ぼんやりと…これは…山?』
『…きのこの山かも。』
『夢ちゃん先輩、怒られちゃいますよ、
シーッですよ。』
『その調子だ、ミワ君、
見えているビジョンを教えてくれたまえ。』
『はい。…あ! 色はグリーンです!』
『歌君! 証言を記録しているかね?』
『はい。シーナ博士。』
『あ!…さっきの緑よりも、
とっても鮮烈なビジョンが…これは…』
『それは、なんだね?ミワ君!』
『…赤です!』
ーーーー。
ミワ君の、体力や気力を考慮して、
千里眼実験はここで終了した。
『素晴らしい、実験結果だったよ。ミワ君。』
『はい。ありがとうございます…』
『きっと、ミワ君の謎の頭痛の原因も、
これで判明することだろう。
オカルトサイエンスの夜明けだよ。』
『…シーナ博士…これは…』
ミワ君の千里眼ビジョンの証言を、
記録していた歌君が、険しい顔になる…
『…まさか…そんな…』
歌君は困惑する…
『どうしたんだね?歌君。
うろたえるなんて珍しい。
その証言メモを見せたまえ。』
歌君からメモを受け取り、
シーナ博士が、その目で見たもの。
それは…どう見ても、
《スイカバー》 だった。




