月を盗んだ女の子。4
『じゃあ、その邪悪のマメのせいで、
こたつが息をしなくなったの?』
ベランダでタバコを吸っていた
あくびちゃんが戻ってきた。
『堕ちたマメは呪いをふりまくんだよ。
無差別にね。
こたつは偶然にそこにいただけ。
巻き込まれてしまったんだね。』
『こたつ…。』
あくびちゃんは力なくその場に座り込む。
『そんなの…
そんなの、こたつちゃんがかわいそうです!
なんとかしてあげられないんですか?』
まるでエンジェルのようなハートの歌ちゃんが
あくびちゃんに寄り添って夢ちゃんを見上げる。
『…呪いはなんとかなるかもしれない。
だけど、…』
『…だけどなんですか?
こたつを救える可能性が少しでもあるなら、
私なんでもやります!』
そう言ったあくびちゃんの髪の毛は
少しだけタバコの匂いがした。
『呪いのエナジーに
長い間さらされていたから、
こたつの魂HPが残っているか
わからないんだよ。』
呪いは解ける…
けれどもこたつは息を吹き返さないつーか、
たぶん死んでるつーか、
おそらく死んでるつーか。
かなり死んでるかもしれないのだ。
どうするのだ、あくびちゃん。
人生においてたまーにやってくる
選び難き悩みの選択肢。
だが…それでも…
選ばなければいけないのだ!
物語的に。
ーーー
しばらくの沈黙の後、
うなだれていたあくびちゃんは、
ゆっくりと顔をあげた。
『こたつの呪いを…
解いてあげてください…』
マメをもっている方の手では
うまくピースサインができなかったので、
反対側の手でピースサインをして夢ちゃんは
『うん…わかったー!』
とプカプカ言った。
夢ちゃんが
アホみたいな軽いプカプカなお返事をしたのには理由がある。
呪いの解除儀式。
それは簡単なものでは無いのだ。
呪いはその性質上ゼリー。
裏と思えば表。
表と思えばメビウスなどと反転したり跳ね返ったり、うたた寝をしたりする。
つまり下手をするとより悪化、凶悪化したり、
最悪の場合は解除儀式に挑む者を、
殺したりするのだ。
キャッ。怖い。
そんな命懸けの儀式を行う夢ちゃんは、
あくびちゃんや歌ちゃんに、
心配をかけたくなかったんだね、
だからあえて余裕ぶっこいて見せたんだね。
本当は優しい子。
夢ちゃんのキャラ設定に追加しておこう。
『じゃあ…やるね! 鬼は外!』
トコトコポイ。
『終わり!』
決死の儀式が始まっ、、、終わった。
『ん?』
『…アレ?』
『今、終わりって言いました?』
固唾を飲んで見届けようとしていた
あくびちゃん、歌ちゃんの2人は
固唾を飲む暇も無かった。
夢ちゃんはトコトコとベランダに歩いてって、
開け放した窓に向けてマメをポイしたのだ。
『…』
『…えっと。』
こんな時には果たしてどういう顔をしていたら良いんだろう?
ごめんなさい、わからないの…
的に戸惑っている2人に
笑顔を見せて夢ちゃんが言った。
『おなかすいたね!』




