ジェヴォーダンの獣。8
青空色のテーブル。
その真ん中には、金魚鉢が置いてあって、
お魚さんは、青空を飛んでいるみたい。
それはルマたんからお土産としてもらったもの。
夢ちゃん、歌ちゃんは金魚鉢を見つめて、
『♪』
夢ちゃんは夢中になってお魚を見つめ、
ニコニコしている。
『かわいいですねー』
歌ちゃんもニコニコしながら、
日記を書いている
ジェヴォーダンの街での出来事を終えて、
いつもの平和な日常がそこにある。
『…夢ちゃん先輩』
『なにー?♪』
『私、今回のルマちゃん、ニュイちゃんの事で、
いろいろ考えていたんですけど…』
『うん♪』
『無くなってしまっても…
…残るものってあるんですね。』
『うんうん ♪』
『ニュイちゃんが残してくれたもの…』
『うん♪』
『…って、ちゃんと聞いてます?』
『…あ、ごめん。あんま聞いてなかった♪』
『もー…』
歌ちゃんは ぷんすこ。
夢ちゃんはニコニコ♪
『あ…そういや忘れてた。』
『何ですか?』
『歌ちゃん、ちょっとだけむこう向いてて?』
『いいですけど…』
なんだろ?と思いながら歌ちゃんが
背中を向けると
夢ちゃんは…
中指と薬指をふわりと空に向けて、
クルリと かろやかにひと回り。
そのまま手をおろして、
胸の前で両手をぎゅっと結び、目を閉じた
その様子は窓ガラスに反射して、
歌ちゃんには丸見えだったけれど、
かわいいから何も言わないようにした。
『もーいいよ。』
『はい。』(クスクス)
再び、手元の日記に視線を落としながらも
『…全部ハッピーになった…んですよね』
月が青白黄赤に輝いていた。ーーー。
同じ月の空の下。
どこか知らない街。
夜を歩く獣。
お散歩の途中、
獣はお花屋さんの外に飾られた植木鉢を見つけ、
思わず駆け寄って、
それに手を伸ばし本能的に
落とそうとしたが、
ピタっと、その手を止めた。
獣は思う。
『ワタシはもう獣では、ないのだもの…』
かつて獣だったもの。
それは
ーーー 猫。
猫は誇り高く夜を歩く。
夜の闇にとける真っ黒。
その指先の部分だけは白く。
まるで萌え袖のようだった。
『モエソデ。』
あの子がくれた名前。




