ジェヴォーダンの獣。3
初めて来たけれど、初めてでは無い街。
お魚さんの悲しい事件があった湖、
それより少し登った場所に慰霊碑が建っていて、
さらにそれより少し登った場所には
陽の当たる丘があって、
さらにそれより少し登った場所に、
ルマたんの住んでいる小さなお家があった。
つまり、ルマたんのお家は、
湖の見える慰霊碑の見える陽の当たる丘の見える
小さなお家なのだ。
覚えた?
見知らぬ街だけど、知っている街。
夢ちゃんはひとり、この街に来ていた。
『あ、いらっしゃいです。夢さん』
ルマたんが、夢ちゃんを家の中へと迎えいれる。
『…こんな遠くの街まで、
わざわざありがとうございます。』
『うん。約束したからね。』
ショップでの約束の日、夢ちゃんは、
『とりあえず今は…これ以上の怖い事は
もう起きないからね。怖がらなくていいからね』
と、言ってまだ不安そうな
ルマたんをいったんお家に帰した。
『大丈夫だった?』
『はい。』
『夢さんの言ってたとおり、
あれから街での獣の事件は、嘘みたいに
ピタリと無くなりました。』
『よかった。もう怖くないね。』
『はい…でも。』
『…実はこの街には、ずっとずっと前にも
同じように、獣の事件の伝説があって…』
ルマたんは不安げに言う。
『みんなも、今は事件はちょっとだけ
落ち着いたように見えるけれど、
またすぐに獣がやってくるんじゃないかって…』
街の人達の不安も理解できる。
獣はまだ退治されていないのだ。
警戒を解くのにはまだ早い。
ましてや、
以前にも似たような事件があったのなら、
警戒しすぎるということはない。
それでも。
『大丈夫。ぜったいに。』
夢ちゃんは言う。
夢ちゃんのこの絶対的な自信は、
どこからくるものなのだろうか?
街に混乱を呼び、人々を恐怖で支配する。
凄惨な事件の犯人…
果たしてその正体とは。
エピソード
ジェヴォーダンの獣。3。
…まだ物語は動かない。
夢ちゃんは、また来るからね、
とルマたんに再び約束をして、
一度ショップに戻る事にした。
そろそろ《獣》が来るはずだ…。
夢ちゃんは静かに
その時を待つ…。




