愛され くるピョコ
『おあよー……』
みたいに夢ちゃんが起きてきたけれど、
だいたいいつも、おそようで、
だいたいいつも、ねぐせ。
『おはようございます。夢ちゃん先輩』
歌ちゃんは、いつも早起きしていて
ミルクティー飲みながら、そんな夢ちゃんに微笑む。
平和な朝のいつもの感じ。
ん?
ショップの外に、なんか女の子達がいて、
きゃあきゃあ、してる。
なんだろ?
『……なんだろ?』
って、窓から女の子達のきゃあが目に入った
夢ちゃん。外にでてみた。
『わあ。かわいい!』
『本物だあ!』
『かわいいかわいい!ねぐせ!』
って、女の子達は、夢ちゃんを見て、
きゃあきゃあを強火にした。
『……?。あ、ありがと。? 』
なんだかわかんないけど、かわいい言われて
夢ちゃんはてれてれした。
『歌ちゃーん。僕かわいいされたー。』
リビングに戻ると、
歌ちゃんは、? って表情をしたけれど、
すぐに笑顔になって胸きゅんした。
『夢ちゃん先輩かわいいですよ』
『ちがくてね。ねぐせだって。』
『?』
『ねぐせ、かわいいー。された。』
そん時、ラジオから聞こえてきたのは、
作者都合の報道特別番組。
ラジオ:
『今、世界中でねぐせブームが熱いですます。
なんつっても、可愛いから。それは疑う余地もない本当です。試しに、女の子のイラストを書いてみてください。どうですか? まあ、可愛いですよね。そこに、寝癖をピョコっと……
きゃあ! かわいい! ほらね。』
……ラジオはだいたいいつも本当の事を言うので、ねぐせブームは本当みたいで、なるほどそれならば、先程の女の子達が、きゃあきゃあしていたのも理解できる。
だけれども、なぜ夢ちゃんなの?
ラジオ教えて?
ラジオ:
『教えるね。ねぐせ。大きくわけてふたつ。
天然か養殖か。 流行りだからって意図的にねぐせるのは、養殖なので、みんな天然のねぐせに憧れるのですます。本当に。』
なるほどねえ。
『ふーん。』
夢ちゃんは、
髪の毛のくるくるピョコを指先でいじいじした。
スイートポテト食べた。
———それから。
世界はねぐせに夢中。
みんな、ねぐせるために髪を乾かさないで眠ったり、駅前にはねぐせを上手にするための塾ができた。わんもにゃんもねぐせ。
あちこちねぐせ。
信号機もねぐせり、かわいいかわいいしているので、その機能を果たさない。
真っ直ぐに建つはずの電波のタワーにも、ねぐせが施され、ねねね。て感じに少し曲がる。
お空を飛ぶ飛行機だってねぐせがしたい。
きゃあかわいい。
って、ゆるやかに降下中。
宇宙。
宇宙服のヘルメットをかぶるとさあ、
ねぐせがね、ぺたんこになるから。
そんな理由で、スペースシップ船外での活動は全て中止。
世界はねぐせに夢中した。
くるくるピョコ。
『おあよー……』
夢ちゃんがいつものように、おそようをする。
きゃあきゃあかわいい!
ショップの外にはたくさんの女の子達が朝早くから待機していて、夢ちゃんのおそようピョコを今かまだかと目をキラキラさせていて、
きゃあきゃあがすんごい事になっている。
『みんな、おあようー……』
夢ちゃんが、その女の子達に挨拶をする。
もはや爆発。
きゃあきゃあかわいいかわいいを原材料にした
大規模な爆発。
『これは……少し困っちゃいますね……』
あまりの熱狂ぶりに、夢ちゃんが日常生活を送れなくなるのでは?と心配した歌ちゃん。
そんな歌ちゃんをよそに夢ちゃんは、
愛され、くるくるピョコのまま、
普通に、琥珀糖を食べてる。甘い。
『んー。別に平気かも。』
なんて、その余裕はどこから?
夢ちゃんは知っているのだ。
この、ねぐせブームが一過性である事を。
だから、慌てない。調子にのらない。
ただ普通にあること。
琥珀糖がおいしい。
———
ある朝。
歌ちゃんが早起きをして、お店の外のお花たちにお水をあげていると、
何やら、女の子達がいて、
何やら、きゃあきゃあしている。
『わあ。きれい!』
『きゃあきゃあ本物だあ!』
『きゃあ黒髪ストレートさらさらロングヘア!』
その様子を、たまたま早起きして見ていた
夢ちゃん。
おだんごを食べながら、にこりと言いました。
『ほらね』




