ドリームシアター。1
ふわふわん。
あにゃにゃん…。
ぷかぷかん。
『…なんですか?』
とてもとても甘い空気の音で、
歌ちゃんは目が覚めた。
歌ちゃんは目覚めてすぐに、
頭のスイッチが入る子なので、
少しだけ眠い目をこすりながらも辺りを見渡す。
『…。』
息をしているだけでも空気がとても甘い。
『これは、ドリームですね。』
非現実的な空間演出に、
歌ちゃんは睡眠中に見るドリームだと推測した。
とりあえず立ち上がって、
念の為にオートナインを確認するために右脚の
太ももあたりに手を伸ばす…。
『あれ?』
いつも肌身離さず持ち歩いているはずの
オートナインがそこに無い。
どこにも見当たらない。
『これは、ドリームです。』
自分がオートナインと一緒にいないのは
ありえない。
以上の理由から歌ちゃんは、これが
ドリームだと判断した。
『変なドリームですね。
これが明晰夢ってやつなのかな?』
注意深く歩きながら、周囲をよく見てみる。
イロトリドリノセカイ…とはこの事か。
カラフルな風船がふわふわんと空を覆い、
空のあちこちには無秩序に13色のレインボーが
デタラメをしている。
遠くの方にはまるで巨大なマウンテンのように
ショートケーキ。
チョコレートケーキ、フルーツケーキ、
アップルパイ、モンブラン、マカロン、大福が
それぞれお誕生日みたいにそびえ立ち、
小刻みに揺れて踊っていた。
たまに風景の描写をしたのにコレか…。
プログレッシブロックの構築美とヘヴィメタルの攻撃性を融合させた、超絶技巧の演奏、
変拍子を多用する複雑な楽曲構成、
そしてエモーショナルなメロディが微かに聞こえてきた。
『誰かいるのかな?』
歌ちゃんは、その音楽の聞こえる方へと
歩き出す…。
やたらふにゃふにゃして歩きにくい地面を、
裸足で。
『…こんなに甘いお菓子のイイ匂いばかりだと、
お腹すいてきちゃいます…。』
ドリームから目が覚めたら
お菓子作りにでもチャレンジしようかな〜♪
歌ちゃんは、
なんだか少しずつ
ハッピーな気持ちになっていた…。




