真夜中のお客様。
「ポロポロポーンキラキラ♪」
真夜中にチャイムが鳴った。
『……こんな、夜中に誰だろう?』
あたたかなお布団の中で、
そろそろ曖昧の入り口まで来ていた歌ちゃん。
眠い目をこすりながら、玄関へ。
『はい。どちらさまですか?』
お日様の下だと、かわいらしい色のドア。
真夜中。
ゆっくり開けると、そこに立ってたのは、
とてもとても美しい女の子。
氷みたいに。
着ているものも、肌も、顔も、
全体に滲んだ白。
あまりに美しすぎて、この世のものでは無いみたい。
『夜分遅くすいません。
夢ちゃんは、ご在宅でしょうか?』
——声。
歌ちゃんの、背中に、冷たさ。が走った。
『あ。』
思考がうまく回らない。
そんな歌ちゃんの様子を、白は、
優しく微笑みながら見つめている。
『夢ちゃんは?』
『あ。はい……今、風邪で寝てて……』
身体中が痺れたような感覚。
歌ちゃんは自分の冷たい指先を、
きゅっと握った。
『そうですか。最後に会いたかったけれど……』
『眠っているなら、仕方ないですね。』
白い言葉は凍っているような気配さえ感じさせた。
空気が緊張している。
『あの……失礼ですが、
夢ちゃん先輩のお友達の方ですか?』
『お友達……そうですね。お友達です。』
白は、くすリと笑って見せた。
『明日、夢ちゃん先輩に伝えておきますね。
お名前を、伺っても……。』
歌ちゃんが、痺れたように動かしにくい唇で、
なんとか言葉を音にすると、
『ありがとう。と伝えてください。』
白はそれだけを答えた。
沈黙。
沈黙。
———沈黙。
その沈黙を破るように、
夜の闇の向こうから、ほんの少しだけ、
ふわり。と、
あたたかい風が吹いた。
歌ちゃんが瞬きをした一瞬。
目の前にいたはずの白の姿は、もうどこにも無かった。
歌ちゃんの指先は、体温を取り戻し始める。
空気の緊張は解けていた。




