ごめんなさい。1。
『ごめんなさい。を言いたい。』
《加害者》
の、女の子が来店した。
名前は、キキちゃん。
『誰かと仲直りしたいの?』
夢ちゃんが、聞いた。
『はい。お友達のララちゃん。』
———キキちゃんの話によると。
キキちゃんとララちゃんは、大仲良し。
いつも一緒で、歌ったり、絵を描いたり、
手をつないだり。
特にララちゃんは、お絵描きが大好きで、
かわいらしい、うさぎさんのスケッチブックに
いつも一生懸命にお絵描きをしていた。
そんなララちゃんのかわいい絵が
キキちゃんは世界で一番に大好きだった。
ふたりで、草原に寝転んで空の絵を描いたり、
透明の水の中を泳ぐお魚さんを描いたり。
ずっとずっと一緒だった。
ある日、どこかの街で硫黄の雨がふって、
ライブハウスの屋根に小さな穴を開けた。
硫黄の雨は、キキちゃんのおうちの屋根にも
小さな穴をあけて、その穴から雨漏れをして、
キキちゃんのかわいらしいコアラさんのスケッチブックを濡らした。
はしっこのほうが少しだけ
濡れてぐずぐずになった、
スケッチブック。
おかさあんからも、おうちが大変だから、
今日ははやく帰って来てね、と言われた。
なんだか、ぐちゃぐちゃした気持ち。
いつもと同じように、ララちゃんとお絵描きをするため、お花畑で待ち合わせ。
『かわいい絵を描こうねー。キキちゃん』
ニコニコと笑顔のララちゃん。
『うん。いっぱい描こうねー。ララちゃん。』
ぐちゃぐちゃのことなんか忘れて、
いつものように、仲良く座って楽しく
お絵描きを。
夕暮れの時間になって、
そろそろ小鳥さんも、空の雲も、スズムシさんも
お家に帰る時間。
『……お家に帰るの、いやだなあ……』
仲良しなララちゃんと、
お絵描きをして楽しかったキキちゃん。
おかあさんに、早く帰ってね、と言われたのに、楽しくて、ついつい遅くなっちゃった。
『…いやだなあ。』
ぐちゃぐちゃの気持ちを思い出したキキちゃん。帰り道、心の中は不安でいっぱい。
『キキちゃん、見て見てー。
私、こんなにかわいく描けたんだー』
ララちゃんは笑顔で、今日のお絵描きを
キキちゃんに見せっこしようとする。
『……』
『……どうしたの? キキちゃん。』
おかあさんに怒られちゃうかも。
おうちはたいへんなのかも。
コアラさんのスケッチブックは、
はしっこがぐずぐずになっちゃってる……
『そんなお絵描き、ぜんぜんかわいくないよ!』
ぐちゃぐちゃな気持ちが、
もっとぐちゃぐちゃになったから…
キキちゃんは、思わずそう言ってしまった。
『え?……』
ララちゃんが一瞬、悲しそうな顔をした。
『…っ。……ばいばい!』
キキちゃんは、そのまま走った。
その場から逃げ出すように。
———
『どうしてあの時、あんな事を
ララちゃんに言ってしまったんだろう……』
キキちゃんは静かに涙をこぼした。
『…まだ仲直りできてないんですか?』
歌ちゃん。
『はい。あれからなんだか気まずくて、
ララちゃんを避けるようになって……』
『……さみしいね』
夢ちゃん。
『しばらくして、ララちゃんは
おうちの都合で遠くへ引っ越してしまいました』
『じゃあそれからは……』
『もう何年もララちゃんには会ってません。』




