パール。2。
『物理法則に従って、コロコロするのなら、
物理法則に従わなければいーじゃん。』
重力制御装置の生みの親、ナズナちゃんは、
きのこの山を食べながら発言した。
もちろん冬季限定の、さかさまの、ね。
『ナズナちゃんの、
クレイジーダイヤモンドなら、物理法則をコントロールするのは、簡単にできると思うんですけど……』
歌ちゃんが、この作戦の唯一の問題点を
発言する。
『いつどこで、ロビンちゃんの
パールがぽろりするか、わからないので、
全てのパールにクレイジーを…
と、いうのが難しいかな、と思います。』
的確な発言。さすが歌ちゃん。
『確かに…』
ナズナちゃんが、難しい顔をした。
『クレイジーの射程距離は、
最大でも3メートルだし……』
困りましたね。
もはや物理法則を打破するのは、問題では無い。
広範囲、かつ無差別、にて
ぽろりされるパールを、
どうやってクレイジーするか。
いかに感受性を守るか、なのだ。
——
一方その頃、
お菓子屋さんでは。
冬季限定 さかさまのたけのこの里が
発売されていた。
——
『閃いた!』
夢ちゃんの頭の隣で、ピカッー。
『夢ちゃん? 起きてたの?』
ナズナちゃんが、言う。
『……起きてたよ。』
夢ちゃん、ちょっとだけ、ほっぺプー。
『夢ちゃん先輩、何かすごいアイデアが
閃いたんですか?』
『きのこの山。』
『はい。』
『たけのこの里。』
『はい。』
『山も、里も、全部をクレイジーしちゃおう!』
夢ちゃん……
それだ!!
パールが広範囲、かつ無差別であるならば、
その広範囲、かつ無差別を
「全部」
クレイジーしてしまえばいいのだ。
ヒーローに、不可能など無い!
——そうして、
「山も里も全部クレイジー作戦」
が始まった。
ナズナちゃんは、この世に1個しかなかった
重力制御装置を小型化。
射程距離やパワーは控えめになったけど、
ベビーチョコ一粒のサイズにまで
小さくする事に大成功。
続いてナズナちゃんは、
大量生産のための工場を建設した。
ベビークレイジー生産工場は
オートメーション・システムで、
朝も昼も夜もベビークレイジーを製造。
完成したベビークレイジーを、
お買い物袋に入れて
ロビンちゃん、ナズナちゃん、
夢ちゃん、歌ちゃんのみんなで手分けして設置。
山や里。
街やトンネル、湖、海岸、古本屋さん。
お花のまわり。
お魚さんのまわり。
など、
およそロビンちゃんが、
感受性しそうな場所を中心に。
もちろん、
この作戦中にも、ロビンちゃんのパールは
『ありがとう……』
って、ぽろぽろりとしちゃって、
行きの買い物袋には、
たくさんのベビークレイジー。
帰りの買い物袋には、
もっとたくさんのパール。
だった。
——
山。里。湖……
ていうか、途中から、
世界規模の作戦になったこのお話は、
今、ついに
世界中にベビークレイジー設置完了となり。
ヒーローたちはお山のてっぺんで、
おにぎりを食べた。




