ハサミ。6
あたたかーく。
包み込まれているような気持ちになれるお部屋が完成した。
『わあ!とっても安心するお部屋!
ありがとう、歌ちゃん。』
ビダルちゃんが、ヘレネーちゃんの
ヘアカットをしながらも感激している。
歌ちゃんは、一生懸命に心をこめて頑張った。
もともと頑張り屋さんだけど、
トンネルでのヘレネーちゃんのこと、
その時に凍ってしまった心の解凍。
を経験して、コーディネートには、
あふれるほどの優しい気持ちが込められていた。
『チョッキンっと。』
ヘレネーちゃんのヘアカットも終わりました。
長い前髪で隠れていたお顔、
すんごく美人さん!
例えるなら…
例えますよ?
ギリシャ神話に登場しそうで
「地上で最も美しい」
と称されそう。
『ヘレネーちゃん、かっこいい。』
夢ちゃんが、そんなヘレネーちゃんを
お姉さんに憧れる目で見つめる。
『ありがとう。夢ちゃん。
ありがとうビダルちゃん。』
美人さんが女神のように微笑んだ。
——
エピローグ。
女神のヘレネーちゃんは、
ヘアサロンの帰りのトンネルで、モデルさん事務所のスカウトさんにスカウトされて。
今はモデルのお勉強をしているみたい。
憧れのモデルさんは?
『モエソデお姉様です』
ヘレネーちゃんの伝説が始まるのは、
もう少し先のお話。
夜も眠れないほど、寂しかったビダルちゃん。
歌ちゃんの心のこもったお部屋で、
今はぐっすりと眠れているみたい。
『ぐー。ぐー。あ。寝坊しちゃった!』
すっかり、おねぼうさんになりました。
——
チョッキンチョッキン。
軽やかなハサミの音が聞こえてきたので、
歌ちゃんは、バスルームをのぞいてみた。
夢ちゃんが、鏡に向かって真剣な顔で、
前髪をセルフカットしている。
『できた。
歌ちゃん見て?かっこいい?』
夢ちゃんの前髪は
ぱっつーん。
『かっこいいですよ。夢ちゃん先輩』
歌ちゃんは、微笑みました。




