ハサミ。2
ブンブーン。
ビダルちゃんのそれは、お金持ちのそれで、
大きくてかっこよくて、はやい乗りもの、
でも外側は人にぶつかっても怪我しないように、柔らかいグミでできている、乗りもの。
『わあー。はやーい。』
『すごいですねー。』
グミものに初めて乗った、
夢ちゃんと歌ちゃんは、大喜び。
ふかふか座席のソファに座り、
窓から吹き込む風に、
髪の毛ふわふわ。髪の毛サラサラ。
街をぬけて、林をぬけて、トンネルをぬけて、
グミは進むよどこまでも。
——
『どうぞ。』
ビダルちゃんに案内されたお部屋は、
まるで映画館だった。
大きな大きな広い広いワンルーム。
「寂しくないない作戦」を成功に導くため、
歌ちゃんがお部屋の中を調査し始める。
えんぴつを左手にもって。
『天井がたかーい。』
夢ちゃんは、あいにく
お部屋コーディネーターの資格を
持っていないので
バンザイしてみたり、トコトコ歩き回ったりして、自由に過ごしてみた。
大きな窓の透明度や、光の入り具合。
カーテンの色、カーペットの色、
ベッドの配置、
ぬいぐるみの状況……
いろいろなものを調査する、歌ちゃん。
その様子を心配そうに見つめながらも、
ビダルちゃんはお仕事のアレで、忙しそうにしていた。
『…ありがとうございました。
お部屋の状況を確認できましたので、
調査内容を持ち帰って検討したいと思います。』
歌ちゃんの調査が終わったので、
どこまでもふかふかなソファで、ビダルちゃんの淹れてくれた、ミルクティーを飲みました。
——
『それでは。おじゃましました。』
『ミルクティーありがとうございました。』
ビダルちゃんはお仕事的な、急な用事的な
アレができたため、
帰りは送れない、となって。
『ごめんなさい。どうしても外せない用事が
できてしまって……』
『大丈夫です。そんな遠くないですし、
ゆっくりお散歩しながら帰ります。』
2人はそう言って、
エントランスホールを出ました。
シャンデリアの飾られたエントランスホール。
壁には、綺麗な絵画、綺麗な美術品。
あと、なぜか
ハサミが飾られていた。




