悪魔。3
——始まりは
合わせ鏡には悪魔が住んでいるという
ただの噂話だった。
噂話には、その瞬間に認識が発生する
人々の認識から、悪魔は生まれた。
みんな面白半分に合わせ鏡をして
実際に悪魔が近づいてくると恐怖して
鏡をふせたり壊したりする。
現れては消える迷宮の出口。
永遠に出られない合わせ鏡の、
無限のラビリンス。
無限に続く孤独。
——
『おだんごおいしー!』
『ねー!』
悪魔と夢ちゃんと歌ちゃん。
仲良くおだんご食べながら、
出口に向かってるよ。
手をつないで。
光のさす方へ。
ラビリンスから、ぴょこっと出てこれたのは
真夜中の12時。
時計を見た歌ちゃん。
『鏡の中は、時間がデタラメなんですね。』
『もう遅いから、眠ろっか。』
夢ちゃんがまたうとうとする。
『おやすみなさい。』
『おやすみなさい。』
『おやすみなさい。』
悪魔がさみしがるといけないから、
みんな一緒に眠った。
——
『……迷子だったんだ…』
翌朝、
ラビリンスでのお話を聞いたダンテちゃん。
『怖がらせてごめんなさい。』
悪魔がペコリとする。
『出口を閉じちゃって、ごめんね…
さみしかったね。』
ダンテちゃんが、悪魔を優しく抱きしめた。
『……あったかい。』
———
真夜中の12時。
ふたつの鏡。
ラビリンス。
チョコレート。
ホットミルク。
おだんご。
ラビリンスの向こうから、
はずむような足取りでこちらへ向かってくる
悪魔ちゃん。
ダンテちゃんは、そんな悪魔ちゃんを
見ながらワクワクの笑顔。
女子会の夜。
あ。
でも。
こんな真夜中に、おだんごなんか食べていいの?
いいよいいよ。
それは
悪魔の甘い囁き。




