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パンドラの箱。



——『パンドラの箱。

神様が、パンドラちゃんに、

ひとつの箱を渡します。

その際、「絶対に開けてはならない」

ときつく命令します。


しかし、パンドラちゃんは好奇心に勝てず、

ついつい箱を開けてしまいます。


箱の中からは、それまで世界になかった


「病気」「嫉妬」「怨み」「裏切り」

「悪意」「孤独」といった、

あらゆる「災い」が次々と飛び出してしまい、

世界中に広がってしまいました。


慌ててパンドラちゃんが箱の蓋を閉めると、

箱の底にはたった一つだけ


「希望」が残されていました。




納得いかないです!』



と、パンドラちゃんがおこりんぼする。




『続いて、神様、

それについて何か意見はありますか?』


司会の歌ちゃんが、神様に発言をうながす。


『だって、ぜったいに開けちゃダメだよ、

って言ったじゃん。わたし。』


神様も、ほっぺをぷくりとさせて、

あんまり穏やかじゃないみたい。



『神様、どうしてパンドラの箱を、

開けてはいけないのですか?』


歌ちゃん、眼鏡姿で司会がお似合い。



『開けるからです。』


『……つまり?』


『開けちゃダメと言えば開けるからです。』



どうにも神様の理論は、さすが神様神様していて

我々人間には、はかりしれない。

 

『そんなのイジワル哲学じゃん!』


パンドラちゃんが立ち上がる。

ついでに神様を指差す。


『パンドラちゃんが、

箱を開けなければ、よかったんだもん』


『うー。』


『ぷーん。』


『なるほどです。

両者一歩も譲らない構えですね。

ここで、ゲスト解説員である夢ちゃん先輩さん。

何かご意見はありますか?』


カメラが夢ちゃん解説員にパンした。


『僕、夢です。こんにちは。』


『はい。こんにちは。』


『………』


『…夢ちゃん先輩、

何か意見ありますかって質問したので、

なんでもいいので言ってみてくださいね。』


歌ちゃんが、そっと耳打ちした。



『僕は、箱が綺麗だなあ、と思います。』


『箱ですか?』


『はい。キラキラしてて。かわいいです。』


『はい。ありがとうございます、

大変参考になる意見ですね。

夢ちゃん先輩さん。』


 

『そーですよ。そんなキラキラかわいい箱、

誰だって、中に入ってるのは

どんなに素敵なものなんだろう……

って開けちゃいます。

これは罠です。神様の仕掛けた罠です!』


カメラは再びパンドラちゃん。


『罠なんかじゃないもん。ぷーん。』


神様はぷーんしてる。


『ところで、その飛び出した

様々な災いなんですが、その行方について、

みなさん気になっているだろうと思われます…』


ここで歌ちゃんはパネルを提示する。


『安心してくださいね。全ての災いは

番組のほうで安全に処分いたしました。』


パネルにはどら焼きと

ブラックホールのイラストが書かれていた。


『じゃあーもうぜんぜん大丈夫じゃーん。

希望だけ残ってるんだもん』


神様理論。


『なんか、そんなの災いを世界にばら撒いた

悪い子みたいじゃん、私。』


パンドラちゃんが納得できなくて

ぷんぷんするのは、もっともで、

神様ともあろうものが、

「開けてはいけない箱」

なんかを友達にプレゼントしちゃいけない。


だけども神様はずっと


『ぷーん。』


だし、


パンドラちゃんはずっと


『うー。』


だし。

これ時間内に終わるのかしら?


『議論は平行線ですね…

何かお互いが納得できるような解決策は無いものでしょうか、夢ちゃん先輩さん。』


歌ちゃんがどうにか解決策を見出そうと、

夢ちゃん解説員に話をふると、



『あれ?夢ちゃん先輩?』


そこに夢ちゃんはいなかった。


『あれあれ?どこですか?』


突然のハプニングに、スタジオがざわつく。


『どこいったんだろ?』


『私にもわかんない。』


パンドラちゃんも神様も、一時休戦して、

この異常事態にあたふた。



誰もが、

災い…

神の罠…

人の罪……とか、むずかしいこと考えていた、



その時、





箱がパーンっと開いた!




『じゃーん!』



中から飛び出してきたのは、



笑顔の夢ちゃんだった。

両手広げて







『かくれんぼに最適!』




そのあまりにもキラキラした

終わることのないイノセントに、



『ぷっ!』


『あはは!』


さっきまでぷんぷんやーん、としていた

パンドラちゃんも、神様も、

思わず吹き出してしまった。



『あ。』


2人の目が合った。



『…パンドラちゃん、ごめんね。』


『んーん。私もごめんなさい。』



照れ笑いしながら、仲直り!


コバルト色の空と海みたいに爽やか!



『ああ、良かったです。

パンドラちゃんも神様も、

仲直りできました。』



歌ちゃんが、司会っぽくない笑顔で笑う。





パンドラの箱の底に、



最後に残っていたもの。




——希望。

























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