おしいれのぼうけん。
『ルンルンっス!』
ドアバン。
「クララです。」
『う…。注射しないでね?』
『おはようございます。
ルンルンちゃん。クララちゃん。』
《死なない女の子》
と
《緊急救命高度医療速攻手術システム》
あ。
間違えた。
《緊急救命超高度医療“超″速攻手術システム》
が来店した。
——
『ルンルン、アルバイト始めたっス!』
『え?アルバイトを?すごいです』
『飴玉食べる?』
『飴玉食べるっス!』
『どんなアルバイトを始めたの?
ルンルンちゃん』
歌ちゃんが、聞いた。
『ブラックホールの管理っス!』
『…ええと?』
『大きな押入れっス!』
『……?』
飴玉でほっぺはコロコロ。
—『ブラックホール。
極めて強力な重力を持つため、光さえも抜け出すことができない宇宙空間の領域。
吸い込まれた物質や情報は、二度と外部に戻ることはできない。ブラックホールの中心には、密度と重力が無限大になる「特異点」が存在すると理論上はされています。
つまり、
よくわかんない、
大きな大きな押入れっス!』
『ふーん。』
夢ちゃん飴玉コロコロ。
『……押入れだったんですね…』
歌ちゃんは、この宇宙の真実に触れた。
——
『押入れに、もう使わなくなった惑星や、
流れ星、小さい頃に着てたパジャマなんかを収納するっス!』
『ルンルンちゃんは、ブラックホールに預けられた、思い出の品の管理をしているんですね?』
『そーっス!』
『すごいー。』
『えっへんっス!』
『でもそんな大きな大きな押入れ、
品物の数もたくさんで大変じゃないですか?』
『だから、こないだルンルン、
数えてみたっス!
そしたら、123456789101234567891012345678910123456789101234……』
『おだんご食べる?』
『おだんご食べるっス!』
『クララちゃんもおだんご食べる?』
「ありがとう。夢ちゃん。
ですが、私はシステムなので、
美味しいという味覚センサーはありません。」
『おいしいーっス!』
『おいしいね。』
「甘くて、すごくおいしいです!!」
みんなでニコニコしながら、
おだんご食べた。
『星座ピカピカしたり、
アルバイトしたり、
ルンルンちゃんすごいですね。』
歌ちゃんが微笑む。
『ルンルン元気っス!』
『今日は、アルバイトを始めたお話をしに
来てくれたんですか?』
歌ちゃんがそう聞くと、
ルンルンはハッ!と立ち上がり言った。
『夢ちゃん歌ちゃんも、
何か押入れに預けたいモノあるっスか?』
「今日はそれを伺いに来ました。」
ルンルンちゃんが目的を告げると、
クララちゃんのロボットアームが預かる品物を受け入れるスタンバイをした。
『…預けたいモノ……』
歌ちゃんは、腕を組みながら少し考えた。
夢ちゃんは、おだんご。
『あ。じゃあ——』
——
『毎度ありがとーっス!
次の夏まで大切に預かるっス!』
どら焼きに乗ったルンルンちゃんが
笑顔で手をふる。
『はーい。よろしくお願いしますー』
『またねー。ばいばーい。』
夢ちゃんと歌ちゃんも、
そんなどら焼きの2人に手をふる。
ぴゅーん。
マッハを遥かに超える激烈な速度で
どら焼きは空に消えた。
『歌ちゃん、押入れに何を預けたの?』
夢ちゃんが聞いた。
『扇風機です』
押入れがスッキリ。
歌ちゃんはニコニコ。




