戦場の天使。2
「クララです。よろしくお願いします。
私は、ルンルンちゃんの背中に
リュックサックとして組み込まれた、
緊急救命・超高度医療・超速攻手術システム。
三つ子座の激ハイテクノロジーが創り上げた、
人智を超えた獰猛な治療の化身です。」
と、クララが言う。
リュックサックからは、
13本のロボットアーム。
その全てに衛生的で、それでいて
優しさを感じるおててがついていた。
——
『クララっス!』
『………なるほど。わかりました。』
歌ちゃんは全てを理解した。
『—つまり…
クララ・バートン。
南北戦争中に危険な最前線で負傷兵の看護と物資供給を行い、「戦場の天使」と称されたアメリカの看護師。私財を投じて医療活動を行い、のちにアメリカ赤十字社を設立した、近代看護と人道支援のパイオニア。
「戦場の天使」の活動と功績。
それまで前線では行われていなかった直接的な負傷兵看護を実施しました。
——そのクララさんの名を冠した、
メディカルの極み、なんですね。』
と歌ちゃん。
『ふーん。すごいねー。』
夢ちゃんは途中から、よくわかんなくなって、
ぼんやりしてた。
『なんだかよくわかんないっスけど…』
よくわかってないのは、ルンルンも同じ。
『へび。かわいいね。』
わかってるのはそれだけだった。
「かわいいと言ってくれて、
ありがとう。夢ちゃん。」
クララのへびが笑顔になった。
「ですが、私には、皆さんのような
喜びや悲しみといった感情はありません。
あくまでシステムなので、かわいいに対する反応はプログラムです。」
クララのへびはニコニコしていた。
『ルンちゃんが
リュックサック作ってくれたっス!
これからもたくさんの命を救えるように—
っス!』
「私に外科、内科の方面で、
救えない命はありません。」
『とてもすごいことです!』
歌ちゃんは、クララのおててを両手で握って、
医療の超進化に感激した。
『じゃあ、さっそく
夢ちゃんを診察してみるっス!』
『わ。なんで?』
「ピーピー。
夢ちゃん。女の子。瞳は紫。
甘いもの大好き…足ちっちゃい。」
クララが夢ちゃんのカルテを作成し始める。
「…寝不足」
クララによる超ハイテク速攻診察。
夢ちゃんの寝不足が判明した。
「ビタミン剤を注射します」
クララの7本目のおててに、注射器がセット。
『え?なんでなんで?』
「痛くないですよー」
夢ちゃんに針がせまる。
『ぎゃー!注射やだやだ!』
夢ちゃんは走って逃げた。




