許されざる者。1
『これからお前にコンクリートを飲ませる』
なんて、とても非道い事を言う子がいて、
大変な予感がする。
非道い子の名前は、ディアボロちゃん。
コンクリートを飲まされそうな子は、
マフィンちゃん。
椅子に縛り付けられて、身動きができない。
これはもうダメじゃん。
なんでこんなふうになっちゃったのか——
マフィンちゃんは、
表向きはマフィン屋さんの店長さんだが、
本当はマフィアである。
『情熱』という組織に属し、
小さなビニールパッケージに小分けにした
小麦粉や粉砂糖の販売ルートをまかされていた。
だがある日、パケの売上金が消えた。
マフィンちゃんは必死に探したが見つからない、
その事が組織にバレてしまい、
ボスであるディアボロちゃんはぷんぷんした。
裏切り者は許さない。
組織の鉄の掟。
マフィンちゃんは捕らえられ、
マフィン屋さんの奥の秘密の部屋で、
今まさに、組織からの制裁を。
——
『マフィンちゃん。制裁は恐怖とセットだ。
これからお前に対して行われる、
残虐な行為をリストにしたから、見てみてね。』
そう言ってディアボロちゃんは、
ピンク色のメニュー表をマフィンちゃんの目の前
に広げてみせた。
「手や足の、指の爪を一本ずつ……」
「両目に……」
みたいに、「……」の先の、「どうする」
の部分が濁されているので、
それが逆に最悪の方へと想像させ恐怖になる。
これが裏の世界を生きる
「情熱」のやり方なのだ。
で、最後に
「コンクリートを飲ませる」
と、そこだけはしっかりと書いてあって、
ノワールすぎる。
『誤解です、ディアボロちゃん。
私は組織を裏切ったりなんかしない!』
マフィンちゃんは必死に命乞いをする。
『でももう、許さないって決めちゃったから
どうしようもできないもん。掟だもん。』
ボスとして、とても冷酷なディアボロちゃん。
『やだー。コンクリートなんか飲みたくなーい』
縛られたまま、なんとかこの場から逃げ出そうとジタバタするマフィンちゃん。
『無駄だよマフィンちゃん。もう逃げられない。あと、あまり暴れるとぶつけてケガしちゃうから気をつけてね。』
ディアボロちゃんは、
ゆっくりとマフィンちゃんの指を、一本握った
「ピンポロポーン」
絶体絶命のその時、お店のチャイムが鳴った。




