死なない女の子。5
『みんなで海に遊びに行こっか!』
帰ってくるなり夢ちゃんがそう言うものだから
わけもわからず只今、移動中です。
『海、楽しみッス!』
『そーだね!』
『お魚さん見たいッス!』
夢ちゃんとルンルンちゃんとルンちゃんは、
さっきまではしゃいでいたのに、
はしゃぎ疲れていつの間にか
眠っちゃったみたいで。
最初は戸惑っていた歌ちゃんも、
ゆるやかに流れゆく
窓の外の景色や雲やお花やピアノなんかを
ぼんやーり眺めていると、
ま、たまにはこんなのんびりした気分になるのもいいよね的な思考になっていた。
『夢ちゃん先輩ー。みんなー。
着きましたよー。起きてくださーい。』
海に着いた時にはすでに夕暮れの時間。
夕陽はサンセットの態勢に入っていて、
海は燃えていた。
もちろん燃えていたというのは文学的表現で、
たまーにしかそうしないものだから、
カッコつけてみたのだ。
『わあ!キレイッス!』
『キラキラしてるッスー!』
ルンルンちゃんとルンちゃんは波打ち際で
青春をしている。
『夢ちゃん先輩』
『なにー?』
『今日ってどこに行ってたんですか?
…いろいろと大変でしたよ。』
『海だよ』
『?…海って、もしかして、ここですか?』
『うん。やっと思い出せた事があってね、
同じ場所にあるかなー?って。確認してたの。』
『…思い出せた事?…同じ場所…?』
『ねえ、歌ちゃんのオートナインって、
破壊の力だよね?』
『はい。…いちおう第1話で
そう解説されています。』
『因果や、慈しみさえをも飛び越える、
破壊の力。…だよね?』
にわかに雲行き怪しく、
いつもみたいな凶悪な物語になりそうな
予感がして歌ちゃんは緊張した。
『んーとねー。あ、あっち。あっち撃って。』
『あっち…ですか?』
夢ちゃんの中指と薬指が指し示す先には海があった。当たり前だ。海だもの。
『何も無いですよ?』
『まーいーから。いーから。
大丈夫、僕を信じて。』
ーーー《歌ちゃんの能力発動》ーーー
オートナイン。それはかつて…以下略。
3点バーストの破壊の塊!
エレクトリックサーカス。
火花散らしてルルル。激しい波しぶき!
…やがて。
海が割れた。
『えぇー!?どーゆー事ですかーっ!?』
『やた!ありがと!』
割れた海から現れたモノがあった。
それは…。
どら焼き?
いや、どら焼きでは無い。
よく見ろ!
うつろ舟だ!
『わーい!どら焼きかわいいッスー!』
『…夢ちゃん先輩…』
『ん?』
まだポカンとしていた歌ちゃんだったが、
ある大変な事実に気づいていた。
『夢ちゃん先輩って…ボクっ娘だったんですね』




