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白面の者。1



暗黒より生まれいでる者がある。


まだこの世界が、形を成す前、


陽と陰の気の固まりであった頃。


澄んだ陽の気は上に。

濁った陰の気は下に。


やがて濁った陰の気は形を成す。


暗黒より生まれし者。


その姿は、九つの尾を持ち——



——


『九尾の狐ですか?』


夢ちゃんと歌ちゃんのもとへ

妖怪退治の依頼が来た。


尾が九つに分かれた狐が、

村に災いを招いているという。


被害は村のあちこちで発生。


卵。大豆。バナナ、など、

幸い人への被害は、まだ出ていないものの、


伝説の大妖怪 “九尾の狐″ である以上、

村人たちはさらなる災いを恐れていた。


——


みたいな感じで、妖怪ハンターとなった、

夢ちゃんと歌ちゃん。


『だけど、そもそも狐って…

警戒心がとても強いらしいので』


ゆるやかな山道を歩きながら歌ちゃん。


『そんな簡単に見つかるものかどうか、

ましてや大妖怪ともなると……』


『あ。見つけた!』


歌ちゃんが、狐探索のためのあれこれを考えるよりも早く、夢ちゃんが九尾の狐を見つけた。


見つけた、というよりは、

狐の方からこちらに歩いてくる。


『こんにちは。九尾の狐です。』


『あ、はい。こんにちは。歌です。』


『こんにちは。僕、夢。』


九尾の狐は暗黒の深淵を覗くような

眼差しをしていた。



『九尾の狐というのは、私の姿、形を表す言葉ですので、私個人の名前としては、白面の者…

白面ちゃんとお呼びください。』


『は、はい。わかりました。』


『かわいい名前だね。』



——


『白面ちゃん、おにぎり食べる?』


『おいしそうですね。

ひとついただいてもいい?』


夢ちゃんと歌ちゃんと白面ちゃん。


みんなで木陰に座って、おにぎりを食べたり、

草笛を吹いたりした。



『…白面ちゃん、私と夢ちゃん先輩は、

村の人達にあなたが災いをもたらそうとしている…と聞いてここに来ました。』


歌ちゃんが、ストレートな言葉で

白面ちゃんに聞いた。


『災いだなんて、とんでもない。

そんなものに私は興味が無いの。』


九つの尾がふわりと揺れる。


『じゃあどうして、村に被害を…?』


白面ちゃんは、じっと歌ちゃんを見つめた。


『…これよ。』


九つの尾がふわりと揺れる。


『これ…ですか?』


『しっぽ?』


白面ちゃんの目に悲しみが浮かぶ——
























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