34話
遥と一緒にフレンチトーストを食べ終えた伊達。
「ごちそうさまでしたー」
「美味しかった…?」
「遥の作ったやつが一番すき」
「…ふーん、そっか…」
「…(照れてる?)、洗い物するね」
鼻の頭をかいてる遥を横目に空いたお皿を取り上げる。
伊達は、何故かこちらをまだ椅子に座って見てる気がする遥に皿を洗いながら訊く。
「…そーだ今日バイト昼間なんだけど、いる…?」
「えーっと、一緒に出る」
「…わかった」
食器洗いを済ませると洗濯機をまわす。その間週明けの作り置きもする。遥に味見させて自分もつまみ食いしながら。出来たものを冷蔵庫にしまい、使った調理器具をお片付け。そして布団のシーツをはがし2度目の洗濯。遥と一緒に布団を干して掃除機をかける。
次々と家事をこなしていくうちにあっと言う間にバイトの時間だ。
…天気予報だとこのまま晴れだ
…三時ごろ帰ってくる計算でそのままでいっか
「遥、出るよ」
「今いくー」
遥と二人家を出る。
隣で鼻歌交じりに歩く遥に伊達は何気なく訊いた。
「一緒の方向…?」
「うん」
「ふーん…」
しばらく歩いて遠くを指して遥が言った。
「…あ、あれいーくん乗るバスじゃん」
「…ほんとだ、もう来た」
「ちょっと走る…?」
「うんっ…、て遥は」
乗らないから、と言う前に走り出した遥の後を伊達は追う。
「はやく」と伊達に手招きしながら先にバスに乗る遥。
「こっち」
と乗車した伊達に小さく手を振る遥の横に座る。
…同じバスに乗ったってことは
「どっか用事あるの…?」
「うん。方向、同じだから」
「…ふーん」
…何か遥と一緒にバイト先に向かうのって変な感じだ…と思いながら伊達は少しだけ目を瞑る。
……すこしだけ…
◇
しばらく経った後、いつも降りる一つ手前で伊達は目を覚ました。
遥を見ると、伊達の肩にもたれながら首を曲げて寝ていた。
…、…
「遥、俺次降りるから…」
「……ン、…」
「起きて」
「…」
「遥」
「…起きてる」
そう言うと閉じていた瞼をゆるゆると持ち上げて焦げちゃの瞳を眠そうにのぞかせた。
「頭おもいって」
「えーー…」
そう言ってなかなか頭を上げてくれない。
…む、かわいいとわかってるなコレ確実に…
……
「…なんか遥って、年上からモテそう」
……はっ、……うわ、
と伊達はなぜか狼狽える。口にするとやけに生々しく感じた。遥の知りたいようで知りたくない色恋沙汰。
あやうく想像してしまいそうになり無理やりそれらをかき消した。
しかし言葉は出てしまった。
「えー…?…確かに先輩達からは可愛がられてる…ような…。たぶん」
……それはどんな意味で…はっ
…いかん変な勘ぐりはよそう
結局、伊達が立ち上がる寸前に姿勢を直した遥。伊達に続いて降りるとそのまま伊達の後を付いてきた。
「遥…どこ、向かってる…?」
「えー、だからいーくんと同じだよ」
「…同じって何」
あくびを一つした遥が言う。
「…あー、いーくんアレ俺のダチ」
「はい…?」
遥の指した方向を辿る伊達。
ぶんぶんと、元気よく手を振る誰かもとい遥の友達が見えた。
……まめしば………?
伊達は本気で一瞬そう思った。




