宗教大国に行く前に
目が覚めて、隣にいるディルクを観察した。まつ毛長いなぁ。軽くほっぺにちゅーしました。私の旦那様、寝ててもカッコいい。うっとりして見つめていたら、ディルクの頬が赤らんできました。
「あの…朝から可愛いことしないでください。襲いたくなる」
「…………どうぞ?」
「だ、だから………もう!可愛いなぁ」
「ん…くすぐったい」
朝からいたしてしまいました。新婚だから仕方ない…よね?
身支度を整えるディルクの隣で私も手早く着替える。
「ディルク」
「何?」
「ディルクは全属性持ちになりました。おめでとう」
「………へ?」
神様達とのやりとりを説明しました。
「…ロザリンドはセインティアに行くの?」
「できれば今日中に行きます。クラリンがすぐ捕獲できればいいけど」
「仕事はなんとかする!俺も行くからね!」
昨日大半は私も手伝って片付いてるから、まあ大丈夫かな。来てもらうつもりではいた。
「頼りにしてます、旦那様。悪い虫を全力で叩き潰してくださいね」
「任せて」
とりあえずディルクをバートン侯爵邸に送り、やって来ました、魔法院。
「クラリンはどこかなぁ……」
「ロザリンド?」
「エルンスト!ちょうど良かった」
エルンストにお願いして飛行機魔具を借りることに。
「俺もそっち方面に用があるからついでだ」
「ありがとう。ところで、クラリン知らない?え?後ろ……………いたああああ!!」
クラリンは何故か私の背後にいた。気配!気配無かった!すごいわクラリン!恐ろしいじっちゃん!
「ロザリン、クラリンに何かご用?」
「一緒にセインティアに行ってほしいんです!」
「いや」
「クラリン?」
「クラリン、あの人たち嫌い」
あの人たちが誰かはわからないが、セインティアで嫌な思いをしたということなのかな?
「…クラリン、実は……」
私はクラリンに事情を話した。クラリンは黙って話を聞いていたのか寝てたのか…微妙だったが多分聞いていたらしい。
「オッケー、ロザリン!魔法少女蔵之助!緊急出動よ!」
ビシッとポーズを決めるクラリン。
「ありがとう、クラリン!」
「…俺も行くか?」
エルンストも心配そうだが…彼が人質にされたら正直困る。そう告げたら、彼は苦笑して無茶はするなよと言ってくれた。
ディルクはお義父様に不在中の仕事を任せてきたらしく、先にローゼンベルク邸で待っていた。
「待たせてごめんね?」
「いや、大丈夫だよ」
「もう少しだけ待っててくれる?」
「構わないけど…」
「いえ、どうせならディルクも飾ろう。ド派手に行こうかな!」
「……まあ、構わないよ。珍しいね」
「嫌いな相手に威嚇は必須です」
「………ろくでもないことをしにいくのはわかったよ」
「あはは…ろくでもないことを先にやらかしたのは向こうだけどね。クラリン、しばらくはおとなしくしててね?」
「うん、わかったわロザリン。クラリンお利口さんにする」
何事も、下準備が大事だよね?すでにできるメイドがいるし…腹黒い王子様にお手紙したら、了解いただきました。兄にもちゃんとお話ししましたよ。
というわけで、ロザリンド!いっきまぁぁす!




