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悪役令嬢になんかなりません。私は『普通』の公爵令嬢です!  作者: 明。
ロザリンド14歳・勇者と宗教大国編

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麗しき姫勇者

 第三者視点になります。

 宗教大国セインティア。教皇達は今回の神託に混乱していた。さらにそこへ1通の書状が届いた。その神託の張本人からである。


『此度の神託について、重要な話があります。急な話ではございますが、本日そちらにお伺いし、是非とも教皇様方とお話させていただきたいと考えております。こちらも急な依頼でございますし、すぐにご都合がつかないようであれば待たせていただくつもりです』


 丁寧な美しい字で書かれたその書状には、ロザリンド=バートンと署名されていた。

 しかし、クリスティアからセインティアへは船で半月はかかるはず。現実的にありえない…というのが教皇達の考えだったが、万が一もあるので歓待の準備だけはさせておいた。


「た、大変です!上空に巨大な白い鳥が!」


 慌てて教皇達の会議室に神官が走り込んできた。


「慌てずとも、神の加護でセインティアは守られております」


「その結界が効かないのです!」


「何!?」


「わはははははは!ならばワシが倒してくれようぞ!」


 脳みそが筋肉製な武の教皇が走り出した。


「武教皇様!?」


「お待ちください!」


 慌てて武装神官達が後を追う。仕方なく知、技、魔術の教皇達も外に向かった。






 それは神々しき、神の使いだった。慌てて武以外の教皇達は武装を解除するよう神官達に叫ぶ。ちなみに武の教皇は技の教皇に飛び蹴りされていたが、効かなかったようだ。


「あら、騒がせてしまったようですわね」


 その声は大きくなかったが、確かに場に響いた。涼しげで凛とした声。それは、神の遣わした鳥から聞こえた。


 ゆったりと降りる、その身のこなしだけで高貴な身の上と知れる美しい女性。女性は柔らかく光を放つ銀のドレスを身に付け、対になる意匠の漆黒の礼服を着た獣人にエスコートされていた。黒の混じった青銀の髪と、吸い込まれそうな深い紫水晶の瞳。やや気が強そうな面差しだが、まるで物語から抜け出したかのように美しく、身体も魔術の女神の彫像のごとく素晴らしい。


 誰もが輝かんばかりの美女に見とれていた。


 教皇達が全員美女に礼をとる。それは、神にかしづく最大級の敬意を表する礼だ。神官達は驚きつつも教皇達にならい、同じ礼をとった。


「急な来訪、申し訳ございません。神託の勇者、ロザリンド=バートンと申します。こちらは(わたくし)の夫、ディルク=バートンです。そして友人にして贈り人、蔵之助=村松ですわ」


 美男美女に隠れていたが、小柄な老人もいた。


「いえ、勇者様がこれほどまでにお美しいとは…神に選ばれし姫勇者様、ご来訪を心より歓迎いたします」


「クラリン、あのおっさん嫌い」


『……………………………』


 目立たぬじいさんの一言で、場が凍りついた。


「あら、そうですの?」


「うん。クラリン、あのおっさんに意地悪されたの」


「あら……私の友人にナニをなさいましたの?」





 こわあああああい!!


 美女から凍てつきそうな殺気が噴き出している!しかも彫像のごとく整っているから、神か悪魔のような存在感である。


「な、何か誤解があるのではないですか!?」


「そうですわね…クラリン、何かあったらいつでも(わたくし)に言ってくださいましね?友の敵は(わたくし)の敵。必ずや殲滅して差し上げますわ」


「うん。クラリン、いじわるされたらロザリンに言う」


 じじいはなんか幼児みたいだが、美女怖い!絶対誤解だと思ってないだろう!!


 是非ともお帰り願いたいが、相手は神託の勇者。神殿解体を願われたら従わねばならない。何せ、神が彼女に従えと言っているのだから。


 神官も、教皇も真っ青になりながら美しい勇者を歓待することとなった。


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