# **「魔法なしVS炎の魔女」**
# **『13人の魔女と、魔法が使えない最後の魔女』**
## エピソード3
# **「魔法なしVS炎の魔女」**
---
翌朝。
魔女の塔の訓練場には、大勢の魔女たちが集まっていた。
円形の闘技場。
中央には悠斗と炎の魔女・フレアが向かい合って立っている。
「始まるぞ。」
「人間が相手になるわけない。」
「三秒で終わりね。」
魔女たちは口々にささやく。
リリアだけは両手を胸の前で握りしめていた。
(お願い……悠斗さん……。)
フレアは杖を軽く振る。
「最後に聞くわ。」
「降参する?」
悠斗は頭をかきながら笑う。
「うーん……。」
「やっぱり怖い。」
「でしょうね。」
「でも。」
悠斗は真っすぐフレアを見た。
「怖いから逃げるんじゃ、一生後悔する。」
フレアの目が少しだけ揺れる。
「面白い。」
「なら行くわ!」
ドンッ!
炎が地面を走る。
巨大な火柱が悠斗へ迫った。
「危ない!」
リリアが叫ぶ。
悠斗はとっさに横へ転がる。
「熱っ! 熱っ!」
髪の毛が少し焦げる。
「うわぁ! 前髪が!」
その姿に、風の魔女シルフィが思わず吹き出した。
「ふふっ! この人、面白い!」
悠斗は立ち上がり、真剣な顔になる。
(勝てるわけない……。)
(でも、何か方法はあるはずだ。)
彼は周囲を見回した。
訓練場には、昨日の雨でできた小さな水たまりが残っている。
(あれだ。)
フレアが再び魔法を放つ。
「燃えなさい!」
巨大な炎の球が飛ぶ。
悠斗は真正面へ走った。
「自殺!?」
魔女たちが驚く。
だが次の瞬間。
悠斗は水たまりへ飛び込み、その水を勢いよくフレアの足元へ蹴り上げた。
「えっ?」
足元が濡れ、石畳が滑る。
フレアはバランスを崩した。
「きゃっ!」
炎の球は狙いを外れ、空高く飛んで消えていく。
場内が静まり返る。
「魔法じゃない……。」
「頭を使った……。」
「すごい。」
フレアは立ち上がる。
服は少し泥で汚れていた。
「……あなた。」
「戦い慣れてるの?」
「全然。」
悠斗は笑う。
「ゲームでよく考えるタイプだから。」
「ゲーム?」
「説明すると長い!」
シルフィは大笑いしていた。
「この人、本当に変!」
その笑い声につられ、他の魔女たちも少しずつ笑顔になる。
だがフレアは笑わなかった。
「まだ終わってない。」
彼女の杖が赤く輝く。
「本気で行く。」
ゴォォォォォ!!
今までとは比べものにならない炎が渦を巻く。
空気が熱で揺らぎ、訓練場全体が赤く染まる。
「上級魔法……!」
命の魔女エリスが顔色を変えた。
「フレア、やりすぎ!」
しかし、フレアは止まらない。
「これで終わりよ!」
巨大な炎の竜が悠斗へ襲いかかる。
逃げ場はない。
その時――
「やめてぇぇぇーーっ!!」
リリアの悲痛な叫びが響いた。
パリン――。
どこかでガラスが割れるような音がした。
リリアの胸元から、淡い銀色の光があふれ出す。
「え……?」
誰もが息をのんだ。
光は悠斗の前に広がり、透明な壁となって炎の竜を受け止める。
ドォォォン!!
激しい衝撃のあと、炎は静かに消え去った。
訓練場には静寂だけが残る。
「う、嘘……。」
水の魔女マリナが震える声でつぶやく。
「リリアが……魔法を……?」
リリア自身も、自分の両手を見つめていた。
「私……今……何を……?」
そして塔の最上階。
誰にも知られていない部屋で、一人の老魔女が静かに目を開く。
「封印が……揺らぎ始めた。」
「ついに、運命の日が来たのですね……。」
その瞳には、喜びと不安が入り混じっていた。
---
## 次回予告
### **エピソード4**
# **「目覚めた奇跡の魔法」**
リリアが放った、誰も見たことのない銀色の魔法。
驚く十二人の魔女たち。
一方、闇に潜む敵もその力の目覚めを感じ取り、ついに動き始める。
そして悠斗は、リリアに隠された「本当の力」の秘密を知ることになる――。




