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トルコ石  作者: 葉櫻
十、皇帝
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95/119

10-8

シーデが約束した時間は、とうに過ぎていた。


ラヴェニは言った。「攻めるしかないわ!」


最も慎重なマリリンまでもが賛同した。「計画は失敗したようですね」


全員の意見が一致し、ラヴェニは毒蛇の呪いの術式を整え、テイラロは魔力の供給者の一人となり、マリリンは戦力を持たない空(そら)と雪(ゆき)を守ることになった。


空(そら)は魔弾を取り出した。


その動きを見て、テイラロが尋ねた。「弾はあと何発残ってるの?」


「最後の二発」

「最後の一発は絶対に使っちゃだめ!忘れないで。あれは月神の気性のようにつかみどころがなくて、下手をすると自分に跳ね返ってくるのよ」


空(そら)は言った。「心の強い人に預ければいいんじゃないかな?」


テイラロは言った。「ラヴェニに渡してもだめ。今のラヴェニは復讐のことで頭がいっぱいだから、あれは扱いきれない」


「よく考えるよ」


これ以上議論している時間はなく、テイラロはラヴェニに引っ張られて扉を打ち破った。鍵の使者候補の二人の少女の力は、同じ黒魔法でありながら、まるで朝の光のように闇を貫き、真っ暗な部屋を照らし出した。


彼らが目にしたのは、エドウィンが弦羽(げんう)の首を絞めている光景だった。説得役のシーデは血だまりの中に倒れ、生死も分からない。


雪(ゆき)は理性を失い、すべての元素を呼び寄せて従わせようとした――だが、この部屋の中にあるのは、純粋な黒魔法の力だけだった。壁や花窓の魔法陣は、すべてこの瞬間のために用意されていたのだ。


エドウィンは悠然と王座に腰かけ、蔑むように彼らを眺めていた。


その瞬間、空(そら)の頭は高速で回転していた。エドウィンが弦羽(げんう)を殺すのは造作もないことだ。指一本動かさずとも、黒魔法を使えばそれで済む。それをわざわざ首を絞めているのは、こちらの動揺を誘うためだ。


この中で彼と同じ冷静な考えに至っていたのはマリリンで、彼女は皆に言った。「軽はずみな真似はしないでください。エドウィン少主に、四王子殿下を本当に手にかけるつもりはありません」


ラヴェニは鼻で笑い、テイラロと手のひらを重ね合わせた。あたりに硫黄の匂いが漂い、天井に淡い青黄色の蛇の影が浮かび上がる。


エドウィンは笑って言った。「君は結局、闇を選んだんだな」


ラヴェニは言った。「あなたはずっと勘違いしているわ。わたしが選んだのは手段であって、結末じゃない。あなたとは逆よ。殿下を放しなさい!」


エドウィンは淡々と言った。「君が彼の命を気にしないというなら、そのまま歩いてくるといい」


ラヴェニは言った。「こんなに見苦しい場面にして、これがあなたの望んだ勝利なの?」話しながら、彼女は黒魔法の力を汲み上げていた。


エドウィンは小さく笑った。「ここは僕の家の領地だ。君に細工はできないよ」


ラヴェニは言った。「家門の後ろに立つ以外に、あなたに何ができるの?」


エドウィンは言った。「君だって、クランシュ家の力を使って、ここまで来たんだろう」


「あなたは、わたしが陰でどれだけ努力してきたかを知らないでしょう」


エドウィンは言った。「どうせ僕と同じで、そう綺麗なことじゃないんだろう」


ラヴェニは答えなかった。毒蛇の呪いの発動に、それほど強い条件は要らない。彼女が指を動かしただけで、広間全体が蛇の巣と化した。エドウィンの返答は、数十、数百もの黒い半透明の騎士を召喚することだった。騎士たちは蛇の影を斬り払い、同時に空(そら)たち一行へ猛然と襲いかかってきた。


エドウィンの言った通り、彼の家が布いた陣地で彼と戦うのは、あまり現実的ではなかった。だがラヴェニの狙いも、一撃でエドウィンを倒すことではない。彼女が生み出した最も大きな蛇が、エドウィンが弦羽(げんう)の首を絞めていた腕に食らいつき、噛み切った。


エドウィンは何の反応も見せなかった。床に落ちたその腕が、まるで自分のものではないかのように。次の瞬間、切断された腕は黒い煙となって消え、エドウィンの切り口から新しい腕が生えた。彼はもう弦羽(げんう)には構わず、他の侵入者への攻撃に集中した。


空(そら)の拙い剣術も魔法も、この激戦では何の役にも立たなかった。ラヴェニとテイラロはかろうじてエドウィンと魔力を奪い合い、毒蛇の呪いを維持している。黒騎士を直接斬り伏せられるのはマリリンだけだが、彼女一人の力では、エドウィンの黒魔法陣全体を突破することはできなかった。


ふいに、雪(ゆき)が言った。「彼をあの王座から離れさせないと。あそこが魔法陣の中心かもしれない」


マリリンは少し考えてから言った。「その可能性はあります。ですが、彼はすでに先手を取っています。こちらから、彼を動かさなければなりません」


空(そら)がどうするのかと尋ねようとしたとき、マリリンは何もない空中から金色の弓を引き出し、床に倒れたシーデに向けて、光魔法の矢を放った。


矢は、シーデの心臓のわずか上に突き刺さった。彼女の声は、冬の氷柱が折れる澄んだ音のようだった。


「結局、あなたは殿下を傷つけられない。ですがわたしはフェラキオ家の者、従うべきは王族だけです。あなたが最も大切にしているところから、手をかけさせていただきます」


続けて、彼女の魔法は縄に変わり、シーデの傷口に突き刺さった矢と繋がって、彼の体を引きずり寄せた。


エドウィンは魔法を使う間もなく、立ち上がって手を伸ばすしかなかった。彼はシーデを抱きとめたが、そのせいで魔法陣が乱れた。


その隙に、空(そら)はスリングショットに魔弾をつがえた。


最後の一発の魔弾は月神の力。自分が何者であるかを知っている者だけが、この不安定な力を制御できる。だが裏を返せば、この力は、前の六発とは比べものにならない。アンバール迷宮のミノタウロスでさえ、七発目の魔弾の力には敗れるだろう。文献を調べたうえで、弦羽(げんう)と雪(ゆき)はそう見積もっていた。


空(そら)は弦羽(げんう)に向かって走った。道中は仲間たちの魔法に援護され、さらに六発目の魔弾も使った。


彼は七発目の魔弾とスリングショットを、弦羽(げんう)の手に渡すことに成功した。


空(そら)は、毒蛇の呪いがついに黒騎士を押し切り、エドウィンの体に絡みつくのを見つめていた。つい先ほどまで、王座で孤高の王のように振る舞っていたエドウィンが、苦痛の表情を浮かべる。


毒蛇が噛みつく前に、弦羽(げんう)はスリングショットを構え、最後の魔弾を放った。


その弾は、寸分の狂いもなく、エドウィンの心臓のある場所へ食い込んだ。まるで、真の王が誰なのかを示すかのように。


黒騎士は瞬く間に消え、エドウィンは床に座り込んだ。今や、彼の立場は弦羽(げんう)と完全に入れ替わっていた。


弦羽(げんう)は上から見下ろして、エドウィンに言った。「お前の負けだ」


エドウィンは笑い、血を吐きながら言った。「君……こそ……僕に勝ちたいという……欲望に……負けたんだ」


弦羽(げんう)は言った。「夜落の地の魔法で勝つことを、僕は恥だとは思わない。僕もラヴェニと同じで、選んだのは道筋だ。だがお前は、道を終着点だと思い込んだ。聞きたい。お前は、本当に王位が欲しかったのか?」


エドウィンは言った。「本物の王座に座ってみなければ、僕には分からない」


弦羽(げんう)は首を振った。「僕は、自分でも望んでいるかどうか分からない未来のために、すべてを賭けたりはしない。僕たちは決して分かり合えない。これ以上話しても無駄だ」


エドウィンは手の甲で口元の血を拭い、もう無駄に力を使って言葉を発することはなく、やがて最後の息を引き取った。


王座は、彼の背後にある。彼はもう、あそこに座ることはできない。


だが、黒魔法陣は完全には止まらず、低い唸りを上げ続けていた。


「危ない!」テイラロは叫び、ラヴェニの前に立ちはだかった。


魔法陣は、死の間際に最後の力を振り絞る者のように、最後の攻撃の段階を起動した。その光がラヴェニに向かって放たれる。だが彼女に届く前に、最もラヴェニの近くにいたテイラロが、自分の肉体と残っていた魔力で受け止めた。


テイラロの顔の血管が黒く変色して浮き上がり、両目は飛び出しそうなほど見開かれた。典型的な黒魔法中毒の症状だ。


「だめ!」ラヴェニは駆け寄って、テイラロを抱きとめた。


弦羽(げんう)も駆け寄り、すぐに御触(みふれ)を使った。だが、御触(みふれ)の治癒の速度が、黒魔法の侵蝕の速度に追いつかない。テイラロの蝋のように白い顔はすでに屍のようで、生命力が急速に失われていく。


「どうしてこんなことに!」ラヴェニが突然叫んだ。


空(そら)は、初めて取り乱したラヴェニを驚きの目で見つめた。叫んだあと、ラヴェニは自分の髪を掴んでうずくまった。それほど打ちひしがれていても、彼女は泣かなかった。その顔に浮かんでいたのは、むしろ憤りの表情だった。


すべてが、まるで現実感がなかった。空(そら)はテイラロを見つめた。再会してからずっと抱えていた、言葉では言い尽くせない気まずさ、心残りと懐かしさ、さまざまな切ない想いが、冷たい距離感へと凍りついていく。


かつて一緒に星を見たときも、それよりさらに前、第一界でのあの日も、そこには何の打算もなかった。


テイラロは自分の願いのために、その思い出を強制的に消してしまった。空(そら)はそれを残念に思った。今の彼には、もう同じ振る舞いをすることができないのだから。


あのとき時間が止まっていたら、どんなによかっただろう。これほど複雑な事情がなければ、二人はただの友人でいられたのに――だがテイラロの一族がエドウィンに滅ぼされたあの日から、つまり空(そら)とテイラロが出会うより前に、その純粋な可能性はとうに消えていたのだ。


空(そら)は跪き、王座の上に掛けられた黒女神の肖像画を見つめた。


「黒女神、お願いです。あなたの娘に、どうか慈悲をお与えください」


肖像画の黒女神の緑の瞳が、生きているかのように輝いた。一瞬にして、空(そら)はその目に引き込まれ、別の世界へと連れ去られた。


そこには何もなかった。意図的に作り出された苦痛の光景も、美しく見えて実は胸を痛ませる思い出もない。虚空の中で、黒女神プロセルネが空(そら)の前に立っていた。肖像画と同じ灰色の長いドレスをまとい、さまざまな宝飾品を身につけている。不思議なことに、神らしい威厳は、まるで感じさせなかった。


沈黙が二人の間に横たわった。黒女神が口を開かない以上、空(そら)が不敬にも先に話し出すわけにはいかない。ここの時間は現実とは違い、現実ではおそらく一秒も経っていないだろうが、それでも空(そら)は焦らずにいられなかった。


ついに、黒女神が言った。「ここはアクミリン家の黒魔法の貯蔵地。わたしは力を使えるわ。あの小娘の命を引き止めておくくらい、簡単なことよ」


「お願いします。テイラロは、人生の後半のほとんどを、あなたに認めてもらうために費やしてきました。あなたが彼女を選んだのにも、理由があったはずです」


「あの子はここで死ぬわ」空(そら)が食い下がろうとしたとき、黒女神が先に続けた。「鍵の使者候補として死ぬの。その後は、もうその肩書きを背負わなくていい」


空(そら)は呆気にとられた。黒女神は言った。「お礼は?」

「ありがとうございます!」


黒女神の表情は読み取りにくかったが、初めて夢の中で会ったとき、黒女神は顔さえ直接見せてくれなかったことを思えば、今はずっとましだった。もっと「人」に近い。


黒女神は言った。「わたしは実は息子を取ったこともあるけれど、あなたを息子にするつもりはないわ。あなたには、わたしの娘たちがどのように自分の道を歩んでいくのかを、見届けてほしいの」


空(そら)が改めて礼をすると、黒女神は姿を消した。

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