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空には一つ問題があった。婚礼の披露宴に新郎の友人として出席するか、新婦の友人として出席するかだ。
ラヴェニが大笑いして言った。「弦羽とあなたの関係を知られるわけにいかないから、悪いけど、わたしの友人として来てもらうしかないわね」
空はラヴェニを見た。咲き誇る花を刺繍したピンク色の礼服に、花蔓をかたどった銀の髪飾りで髪をまとめていた。アイセンティアには花嫁の衣裳の色に決まりはなく、好きな色を選べる。ラヴェニが最も好む色はピンクではないが、今日はピンクにした。おとぎ話のお姫様のように見せるためだ。
そういった計算をいったん脇に置いて、空が素直に言った。「本当に綺麗だ」
ラヴェニが言った。「もう感動で泣きそうな顔してる」
「友達の結婚式に出るのが初めてなんだから!」
「イナータも結婚したじゃない?」
「イナータは大人って感じがするけど、ラヴェニはわたしと同い年で、もう結婚するなんて……」
「見て」
ラヴェニが突然礼服の胸元を引き下げて、空は反射的に目を閉じたが、ラヴェニに目を開けるよう言われて見ると、礼服の下にもう一枚軟甲を着込んでいた。
ラヴェニが言った。「この礼服自体に魔法攻撃への防護がかかっている、王族が特別に誂えてくれたもの。婚礼で暗殺が起きることは珍しくないから、これを着ていても不自然じゃない」
空が心から言った。「今やっていることは全部婚礼で証拠を暴くためで、本当の結婚じゃないのはわかってる。でもラヴェニは本当に、本当に綺麗だよ」
「弦羽が礼服を着てるのを見たら、また泣くんじゃないの?」
「泣いてないから!」
「ははは、後で感情を抑えてよね」
空が迷いながら聞いた。「この婚礼、本当に大丈夫? 自分自身をすごく危険な場所に置いてるよ」
「フェラキオ家の精靈があなたを守ってくれるから」
「わたしの心配じゃなくて、ラヴェニのことが心配なんだ」
「自分のことは自分で守れる。あなたも着替えに行って、こっちはまだかなり時間がかかるから」
ラヴェニのもとを離れてから、扉の外で待っていたマリリンと合流した。
二人は侍従と護衛の装いに着替えて、他の賓客に混じって会場に入った。
急ごしらえの婚礼で、三王子の婚礼に比べると規模はずっと小さかった。ラヴェニはロゼン家の養女に過ぎないから、派手な飾りつけも使えない。全体として、王室が四王子と一介の紅血貴族の結婚に不満を抱きつつも仕方なく開いた、小さな婚礼という印象だった。
それでも重要な貴族たちはほぼ全員が代理を送っていた。アクミリン家からは若様エドウィン本人が出席していた。
これはラヴェニたちの予想外だった。ウィスラ城塞の件があった後、エドウィンが婚礼に自ら出席して罠に飛び込んでくる可能性は低いと見ていたからだ。
マリリンが言った。「エドウィン様はまだ余力があると確信しているということです。まだ別の手を持っている」
空が聞いた。「この状況でまだどんな手が?」
マリリンが言った。「クランシュ家と互いの負の情報を暴き合う可能性があります。両家はお互いの弱みを握り合っていますから」
空は考えてから言った。「なんか不安だ。リアンドラヤは絶対に安全だよね? まさかリアンドラヤの件を持ち出してくるんじゃ」
「族長が聖女様をしっかりお守りしていますので、ご心配なく」
パイプオルガンの音が鳴り響いて、空はあれこれの心配から現実に引き戻された。礼堂の扉が開き、弦羽が入ってきた。純白の袍、遠くて細かくは見えないが、慣習通り金縁を施した精靈の正式な儀礼服のはずだ。
この瞬間から、誰もが弦羽が四王子だと知ることになる。弦羽が王室の責任を担わずに済んでいた、かつての日常にはもう戻れない。
空は重要な賓客ではないから三階から遠目に見るしかなかったが、周りの人間が腹を空かせた野獣が新鮮な肉を見るように弦羽に目を向けているのはわかった。みんな弦羽から何かを奪い取ろうとしている。エドウィンの姿も見えた。会場で最も目立つ黒一色の人物だ。
あの瞬間、エドウィンの顔にはどんな表情が浮かんでいるだろう。おそらくいつも通り、泰然としているだろう。
国王・王后をはじめとした王族や重臣の顔も、遠くてよく見えなかった。すぐ隣に座る人々が耳打ちし合うのが聞こえた。
「四王子殿下のお顔、見えますか? わたし実はサイフィ学院でお見かけしたことがあって!」
「本当に? 王子だとわかりましたか?」
「当時から気になっていたんですけど、まさか王族がサイフィ学院で学ぶとは思わなくて。だからこそ下位貴族に混じっていたせいで、紅血貴族とご結婚するしかなくなったのでは、なんて」
「花嫁はとても美しいと聞きましたよ? やはりサイフィ学院出身で」
「花嫁は存じ上げなくて。舞踏会で一目惚れされるほど美しいなら、近くで拝見してみたいものですね」
「やはり精靈も見た目は重視するのね」
「それを言ったら、将来花嫁が老いたらどうするのかしら? 精靈が人間を選ぶべきではないのよ。若すぎる二人、もしかしたら精靈王族初の離婚が見られるかも!」
空はそんな無礼な野次馬たちを睨みつけるのをこらえた。
彼女たちは知らない。ラヴェニが美しい婚礼衣裳の下に軟甲を着込んでいることも、どれほど深い謀略を張り巡らせてここまで歩んできたかも。
一つだけ彼女たちが間違えていないことがあるとすれば、この婚姻が大衆の祝福を受けていないということだけだ。婚礼はもとから策略であり罠なのだから、それはその通りだ。しかし友人が事情を知らない者たちの口で笑い者にされるのを聞いて、空の気持ちは穏やかでなかった。
新婦の入場になると、それまで囁き合っていた人々も爪先立ちして首を伸ばし、噂の絶世の美人を見ようとした。
しかし扉から現れたのは、ラヴェニ一人ではなかった。ラヴェニとヤンの二人だった。
音楽がぴたりと止まった。
続いてヤンがラヴェニと共に礼をして、空のいる三階まで届く声量で言った。「陛下、一つの罪をこの場でお訴え申し上げます!」
ヤンの指示のもと、帳簿と証人たちが次々と引き出された。ヤンがもう一度片膝をついて言った。「陛下、アクミリン家族は長年にわたり人身売買を行ってまいりました。その証拠の一切をここに持参しました。最近では、なんと我が娘まで拉致しようとする暴挙に出ました。これほどの大罪、どうか厳しくお調べいただきますよう、伏してお願い申し上げます」
ラヴェニも続いて片膝をついた。
すべての視線が、婚礼に出席していたアクミリン家の代表者、エドウィンへと集中した。
エドウィンはずっとラヴェニを見ていた。自分が場の中心となっても微塵も動じず、ラヴェニに向かって聞いた。「本当にそれでいいのか?」
ラヴェニが頭を上げて言った。「わたしはもう決めた」
エドウィンは衛兵に囲まれながら、少しも動揺した様子なく国王に言った。「ご調査を賜りますよう——お時間があればの話ですが」
彼の指先が空中に優雅にいくつかの呪文を描いた。次の瞬間、礼堂全体が激しく震えた。若返りの泉が地底から崩壊したときよりも激しい揺れで、精靈の手で丁寧に建てられた殿堂でさえ煉瓦に亀裂が走り、まるで世界の終わりが来たかのようだった。
黒い蜘蛛の巣状の魔法陣が浮かび上がった。その瞬間初めて、空は悟った。かつてラヴェニと決闘したとき、エドウィンは本気を出していなかったのだと。
黒魔法がどれほどの力を持つか、誰よりもわかっている。カワ先生が言っていた、黒魔法の唯一の弱点は持続力のなさで、短時間に爆発させるエネルギーは千歳の魔法師でも容易には防げないと。エドウィンが放った黒魔法は、上質の晶石のように「純粋」で、不純物が一切混じっていなかった。空も周りの人間も全員、身動きが取れないほど圧迫された。
爆発の瞬間、一切が瞬く間に起きたのに、時間だけがゆっくりと引き伸ばされた。
目を開けると、マリリンの腕の中にいた。
マリリンは空が意識を取り戻したのを見ても安堵する表情は見せず、焦った声で言った。「四王子殿下が連れ去られました!」
「弦羽!」空はマリリンに支えてもらいながら立ち上がり、辺りを見回した。周囲は一面の混乱だった。
礼堂はすでに廃墟と化して、あちこちから悲鳴と傷者の呻き声が聞こえた。マリリンが守ってくれたおかげで空は無事だった。
弦羽は本当にそこにいなかった。
ラヴェニの姿も消えていた。
地面にはラヴェニのブーケだけが残っていた。何者かに踏み荒らされて、ばらばらになっていた。




