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それ以降、空が雪のもとを訪ねるたびに、雪は少しずつ接しやすくなっていった。ルイーズから借りてきた貴重な書物も、大きな助けになった。空が本を持っていくと、二人は黙って並んで読んで、互いの邪魔をしない。不思議な穏やかさがあった。
空が雪に言った。「秘密基地ってこういう感じなんだ。そこでみんなにご飯も作るよ。わたしの料理、結構うまいから!何が好きですか?」
雪が言った。「あるものなら何でも」
そこで空は毎回違うものを持っていくことにした。観察してみると、雪がいつも食べているのはパン、バター、焼いた肉といったシンプルなものばかりで、毎食だいたい同じだった。
空は得意料理を総動員した。洋食も、中華炒め物も、和食も。かつてわがままな妹のためにお弁当を作っていたときのように、毎食かぶらないよう、しかも回を重ねるごとに丁寧に。
雪の食欲はとても小さかったが、最初は数口しか食べなかったのに、やがて小さめのお弁当をきれいに食べてくれるようになった。空としては、それだけで十分すぎる成果だった。
ある日、空はブルーベリーパイを焼いた。パイ生地の焼き加減が完璧で、切ると崩れるくらいサクサクだった。試食して、これまで食べた中で一番うまいと思った。
雪のもとへ持っていってから、弦羽から耳飾り越しに連絡が来て、空は部屋の外に出た。
耳飾りの向こうで、弦羽が言った。「最近は大丈夫ですか?」
空が言った。「順調です。そちらは?」
「うまくいっていない。三日後が雪の誕生日の宴なんだけど、一緒に来てくれますか?」
「プレゼントは何を用意すればいいですか?」
「アイセンティアの特産品をいくつか持ってきた。あと二人で子どもの頃に好きだった小さなもの。実は用意しすぎてしまって、毎年プレゼントを贈ろうと思っていたのが積み重なって、山みたいな量になった」
「わかりました、何か準備します」
雪の部屋に戻ると、皿が空っぽになっていた。空はぽかんとして聞いた。「残りのパイはどこ?」
雪はばつの悪い顔をした。空はようやく察した。八インチのブルーベリーパイを、雪一人で全部平らげていたのだ。
空が聞いた。「甘いもの、好き?」
雪は顔をそらして言った。「……嫌いじゃない」
「弦羽はさっぱりした味の酢の物とか冷たいスープが好きなんだ。好みがあれば直接言ってください、その方が作り甲斐があって」
「わたしはアイセンティアには行かない。宮廷の大臣たちも反対している」
「弦羽が何とかすると思う。大事なのは、あなた自身がどうしたいかです」
「わたしの意見は関係ない」
「弦羽にとって、あなたの意見が一番大切なんです」
雪はまた黙り込んだ。
空が皿を片付けながら、思わず笑いをこらえ切れなかった。雪がぶすっとして言った。「笑うなよ」
空は笑いながら言った。「全部食べてくれたのが、純粋に嬉しくて。料理人にとって、それが一番の褒め言葉だから。それとあなた、痩せすぎです、もっと食べて。三日後があなたの誕生日だって聞いた」
部屋の空気が一瞬で変わった。雪の顔が冷え冷えとした。
空は慌てて聞いた。「どうかしましたか?」
雪が言った。「誕生日は好きじゃない」
「なぜ?」
「胃の調子が悪い。先に帰って」
空が言った。「わかりました。明日は何か食べたいものありますか?」
「いらない」雪は少し間を置いてから言った。「あなたを拒否しているわけじゃない。誕生日のことを考えると食欲がなくなるし、人にも会いたくなくなる。しばらく、一人にしておいてください」
空はそれ以上は言わず、雪に告げた。「誕生日当日は、弦羽と一緒に行きます」
三日後、王子の誕生日宴には、一部の貴族が招待されていた。
弦羽が用意してきたプレゼントが多すぎて、まず雪の部屋に人を遣わして届けさせた。一つだけ、弦羽が内緒にして教えてくれないものがあった。
会場に来ると、イグルーサの貴族たちがすでに揃っていた。氷・雪エルフは生まれつき感情表現が少ないせいか、これは空が見た中で最も盛り上がりのない宴会だった。音楽師が明るい曲を演奏して、装飾には赤がちらほら使われている、ただそれだけで、弦羽一行を出迎えた宴会よりも寂しかった。お祝いの意を示すために、来た貴族たちは皆、赤い胸飾りや頭飾りをつけていた。貴族の女性たちが誰かのルビーのネックレスについて話しているのが聞こえた。傍の男性貴族たちは狩りの話をしていて、年配の貴族は昔話に花を咲かせていた。
誰も誕生日の話をしていなかった。
雪は長テーブルの上座に座り、表情のない顔をしていた。楽しそうに誕生日を過ごしている主役には、とても見えなかった。
長テーブルの中央には、白い長方形のケーキが置かれていて、赤い果実で飾られていた。来賓たちがケーキを切り分けて、最初の一切れを雪に渡してから、形ばかりの「お誕生日おめでとう」を言うと、もう雪を無視して、まるで空気のようにふるまった。
空にも一切れ配られた。食欲は全くなかった。
仕方なくケーキに手をつけようとしたとき、会場の入り口がざわめいた。権威のある老貴族がやってきて、雪に贈り物をしに来たのだ。
多くの貴族が雪のそばに集まって、プレゼントを開けるのを見物した。
雪は無表情のまま飾り紐を解いて、箱の中から出てきたのは一本の簪だった。
老貴族の下人が、この簪には水神に祝福された宝石が使われていて、神様に愛された美しい雪エルフに贈るのにふさわしいと吹聴するのを聞きながら、雪は下を向いたまま、何も言わなかった。お礼の言葉もなかった。
何人かの若い貴族が雪の周りを取り囲んで言った。「これほど高価な贈り物なのに、喜ばないの?」
雪はまるでもてあそばれるように、貴族たちに押しやられたり引っ張られたりされながら、目には何の光もなかった。
突然、弦羽がイグルーサの貴族たちをかき分けて、真っすぐ雪に向かって歩いていった。雪の手を掴んで、座席から引き離した。雪は一瞬驚いた顔をしたが、振り解かず、弦羽について会場を出た。
弦羽が雪を連れて簡易な空間転移術を使うのを見て、ユーリも空を連れて追いかけた。
他の貴族たちは誰も動かなかった。雪の誕生日宴のはずなのに、雪がいなくなっても、誰も気にしていなかった。
ユーリの魔法の腕は確かで、弦羽が雪に話しかける前に追いついた。少し気まずそうな弦羽に向かって、ユーリは一言だけ言った。「三人で話して」それだけ言って、自分は転移してどこかへ行ってしまった。
弦羽はやっと雪の手を離して言った。「さっきの雰囲気は本当にひどかった」
雪は淡々と言った。「いつものことよ」
弦羽が言った。「もうここにいなくていい。アイセンティアに来て。必ず、誰もあなたを見下さない環境を作る」
「一群の人の保護から、別の一群の保護に移るだけ。何が違うの」
弦羽は力を込めて言った。「ちゃんとお祝いする。でも絶対にあんな侮辱的な形じゃない。君の誕生日が、生まれてきてよかったと思えるものだと、信じさせてみせる」
雪が言った。「誕生日は特別なことじゃない。一つ年を取っても、誇れることは何もない」
弦羽が言った。「君の誕生はきっと祝福されている。君のお父様とお母様が……」
空が言った。「すみません、少しいいですか?」
弦羽の言葉を初めて遮った。
弦羽は空を見て、信頼と確認が入り混じった目で頷いた。
空は一歩前に出て、雪に聞いた。「誕生日は好きじゃないんですか?」
雪が言った。「誕生日は一年の中の一日に過ぎない」
空が言った。「お祝いする意味は、他の人が贈るものですよね。みんながどう思っているかはわからないけど、弦羽だけは、心から祝福してくれています」
雪が言った。「それはわかってる。ただ、祝うこと自体に意味がない」
空が言った。「他人の期待より、自分の納得の方が大切だという考え方は、わたしも同じです。あなたはどう思いますか?」
雪は少し皮肉っぽく言った。「そう言うなら、自分には価値がないと思っているわたしは、本当に意味がないということになる」
「なぜ意味がないと思うんですか?」
雪が言った。「すべての命に意味があるとすれば、わたしは何のために生まれたの? 十六年経っても、まだ答えが見つからない」
空が言った。「命の意味は、一生をかけて自分で探していくことだと思っています。わたしの指導教員が教えてくれた言葉があって、すべての命には自分だけの旅があって、今はまだその最初の一歩。先の景色がどんなものか、まだ誰にもわからない」
雪は顔をそらして言った。「わかってる。わたしはただ、もうこれ以上歩きたくないというだけ」
空は引き下がらず聞いた。「歩きたくないにも理由があります。あなたの理由は何ですか?」
雪はついに少しだけ声を大きくして言った。「さっきの貴族たちを見たでしょう。あれがわたしが育ってきた環境よ。アイセンティアに行ったからといって、わたしの血統が変わるわけじゃない」
空が言った。「アイセンティアにいる間は、少なくとも今よりはいい。わたしと同じ療養院に住めるし、一緒に学校に通えるし、休みには二人で秘密基地に行ける」
雪が聞いた。「その時間はどのくらい続くの? 一年? 二年? 刺客の心配もある。もう疲れた」
空が言った。「コール療養院には希望の樹があって、防護が非常に強い。各国の貴族が素性を隠して使う場所でもあるから、絶対に安全です」
雪が言った。「子どもの頃も、大人たちはそう言った」
空が言った。「今の弦羽は昔とは違う。一国の代表としてイグルーサへ出使できるまでになっている、それが一番の証拠です。わたしも証拠の一つです、弦羽の力があってこそ、ここに立てている。弦羽はあなたのために毎年ずっとプレゼントを用意していた、多すぎて今は全部持ってこられなかったけど」
弦羽が言った。「今年のプレゼントは持ってきた」彼は小さな箱を取り出して雪に渡した。
空と弦羽の視線を感じながら、雪は箱を開けた。中から出てきたのは、磨かれた氷のスピネルだった。扁平な六角形で、外側には雪の結晶の模様が刻まれていて、金属線が蔓草のように巻きついていた。
弦羽が言った。「城下の市場で見つけた。宝石の細工は得意じゃないから、これが精一杯だった。十七歳の誕生日プレゼントです。これは閲読石で、ラファ文字を読める」
雪の目の色が変わった。しかし石を押し返して言った。「ラファ文字はどんな方法でも翻訳できないはず」
弦羽は受け取らずに言った。「あなたは王族だから、ラファ文字を学ぶ資格がある。それをイグルーサの宮廷が学ばせなかっただけ。あなたが使うのは何も問題ない。ただ完全じゃなくて、わたしが知っている語彙と文法しか入っていないけど」
雪が空を見て聞いた。「あなたもラファ文字を知っている?」
空が答えた。「ちゃんとルールを守って、貴族しか学べないのでわたしは学んでいない。わたしもプレゼントを用意しました」魔法で保温してきたワイルドベリーパイを取り出して言った。「宴会にケーキがあったから、ケーキは作ってこなかった。ろうそくは十七本で合っていますか?」
雪が聞いた。「ろうそく?」
空が言った。「わたしの世界では、誕生日はケーキを食べながら、ろうそくに火を灯して、三つの願い事をしてから吹き消す。最初の二つは声に出してもいい。三つ目は心の中にしまって、誰にも言わないと叶うって言われている」
雪は顔をそらして言った。「プレゼントはいらない」
弦羽が慌てて言った。「何が欲しいか言えば、何でも探してくる!」
雪が言った。「〝プレゼント〟という言葉が嫌い」
弦羽が聞いた。「どういうこと?」
雪が言った。「父王と母后はわたしに、この王国へのプレゼントとして生まれてきたと言った。プレゼントにはなりたくない。わたしは物じゃない」
弦羽は困った顔で空を見た。空は頷いて言った。「その通り、あなたは誰かのプレゼントである必要はない。同じ王子として、弦羽にも似たような経験があると思う。ただ周りがそこまで敵意を持っていなかっただけで」
弦羽が言った。「その言葉が悪意になり得るとは、考えたことがなかった」
雪が言った。「誕生日が好きじゃない理由を話す」
空と弦羽は静かになって、雪がこれまでの話を語るのを聞いた。




