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トルコ石  作者: 葉櫻
五、戦車
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45/46

5-2

その午後、蕾が略奪に出かけている間に、彼女のテントに招かれざる客が現れた。


そらと同じくらいの年頃の、見知らぬ男の子だった。テントに入ってきた少年は聞いた。「大丈夫?」


そらは警戒して相手を見た。


少年は両手を上げて、危害を加えないことを示してから、そらにエネルギーを注いだ。温かい金色の光が安定して体に流れ込んできて、傷がたちまち回復した。


そらが言った。「ありがとう」


少年は慎重にそらの手の手錠を切った。「このまま蕾のそばにいたら、そのうち殺される。早く逃げないと」


「助けてくれるの?」


「もちろん。みんなの食べ物に薬を混ぜておいた。酔ったと思って眠るはずだ」


立ち去る前に、そらは蕾に奪われていた持ち物を取り戻した。魔弾のスリングショットも含まれていた。蕾は面白そうだと興味を持っていたが、実際の使い方がわからず、宝箱の中にしまっておいたのだ。


二人は身をひそめながら野営地を渡り抜けた。少年の言った通り、盗賊たちは薬で眠っているか、略奪に出かけているかのどちらかだった。


立ち去る前に、そらは聞いた。「名前を聞いてもいい?」


少年は強く首を横に振った。


「わかった。でも機会があれば、必ずお礼をする」


「いらない」少年は小さな声で言った。


「悪い人には見えないけど、なんで盗賊団にいるの?」


「小さい頃に拾われたんだ。前は路上で物乞いするしかなかった。今は少なくとも食べられるから」


最初に思っていたほど無害な子ではない。それでも今、少年が自分を逃がそうとしているのは事実だ。ここは信じるしかなかった。


「使い切り転送魔法の巻物がある。これで逃げて」


少年がそれを差し出したとき、そらはひどく違和感を覚えた。


この盗賊団は確かに裕福だった。蕾の鞭には宝石が埋め込まれているほどだ。しかし特定の場所と繋がった転送魔法の巻物は高価な品で、少年がわざわざそれを自分のために使う理由がわからなかった。以前の他の人質たちは皆、奴隸として売られていった。自分がそれほど特別な理由もないのに。


疑うそらを見て、少年が言った。「蕾があなたのことをこんなに気に入るのは初めてなんだ。このまま置いておいたら、そのうち仲間に誘うかもしれない」


「蕾のことが好きなの?」


少年は顔を赤くして、巻物をそらに押しつけた。「とにかく、早く行って!」


考える暇もなく、そらは巻物を受け取り、起動魔法を使い始めた。


転送される一秒前、少年が悪意のある笑みを浮かべているのが見えた。



転送先の都市は、砂塵が舞い上がっていた。数歩歩くたびに立ち止まって、目に入った異物を拭わなければならなかった。


この辺りの建物も住人も、皆やけに大きかった。人間でさえ、身長が二メートルを超えている。


そらは塀の影に沿って、一歩一歩慎重に進んだ。


このあたりは貧民窟のようで、やせ細った住人が多く、手や足がない者もいた。家の外に座ったり横になったりしている。影の中を歩くそらはそれほど目立たなかったが、ふと日なたに出た瞬間、すぐに何本もの視線が向いた。しかも居心地の悪い目つきだった。だから彼はできる限り影の中を歩き続けた。


突然、見慣れた袍が目に入った。アイセンティア特有の翠緑色で、遠目にもはっきりわかった。駆け寄って確認すると、何人かの壮年の男たちが列をなして刺青を受けていて、刺されているのはアイセンティアの国章だった。


そらは列の最後尾の人に聞いた。「ここはどこですか?」


その人は一瞥をくれただけで、何も答えなかった。


そらは続けた。「アイセンティアの方ですよね?」同じアイセンティア出身なら、言語変換の魔法でもうまく通じるはずだった。


しつこさに耐えられなくなったのか、その人はそらが全く聞いたことのない言葉で何かを怒鳴った。どう考えてもアイセンティアで使われる言語ではなかった。


(なのに、なぜアイセンティアの服を着て、アイセンティアの国章の刺青を入れているんだろう)


この人たちとの会話は諦め、そらは動物に話しかけることにした。汚れた市場で一羽のオウムを買い、聞いてみた。するとオウムは答えた。「ここの人はみんな、捨てられたペットだよ」


「どういうこと?貴族の奴隷ということ?」ラグマンは奴隷の売買を禁止している。ということはここはラグマンではないはずだ。


オウムはそれ以上喋らず、自分を放してくれとうるさく言い続けた。そらは心が痛んで、結局籠を開けた。


砂塵の舞う空へ飛んでいくオウムを見送りながら、逃げ出す手立てはまた振り出しに戻ったと思った。


それでも、盗賊団にいるよりはましだ。今の自分は自由だ。


そう思った瞬間、かすかな振動を感じた。


地震?


揺れはどんどん大きくなり、人々が逃げ出して、ぼろぼろの扉を閉め始めた。市場の日よけが片付けられ、身を隠す場所がなくなったそらは、それ故に目の前に聳え立つ圧倒的な存在を直視することになった。


一つ目の巨人だった。身長にして七メートルほどある。


恐怖で体が凍りついた。動けないまま、巨人が近づいてくるのを見ていることしかできなかった。巨人の大きな指がそらをつまみ上げ、鉄の檻の中へ放り込んだ。



天井の低い鉄の檻の中では、まっすぐ立つこともできず、座るか跪くしかなかった。狭さで気分が悪くなった。横になってもましにはならなかった。目を閉じて、広大な草原を想像しようとした。療養院の裏山で花を眺め、風を感じる場面を。


(今度こそ、もう友達には会えないかもしれない)


テイラロがどれほど追跡が得意でも、盗賊団の動きを辿ってここまで来ることはできないだろう。まさか数日の間に国境を越えるなんて、誰にも思いつかない。


狭い檻の中で、そらはこれまでにないほど、死を身近に感じていた。いつも人を信じてきた。でも今、自分を助けに来る人間はどこにもいない。所持品はすべて没収された。魔法も、この檻をこじ開けるほど強くない。外には見張りが幾重にも立っている。


しかし、それほど長くは待たされなかった。一時間ほどで、檻の錠が外された。


開錠したのは、歯がほとんど抜け落ちた老人だった。老人は彼に向かってにやりと笑い、息が臭かった。「もうすぐ出番だ!思いっきりやれよ、あまり早く死ぬなよ」


そらが聞いた。「どういうことですか?」


老人は笑い出した。もうすっかり正気ではないようだったが、話せる相手はこの人だけだった。そらは何とか話しかけ続けたが、すぐに老人に平手打ちをくらわされ、小部屋に突き飛ばされた。


部屋の中には小さな電球が一つと、刀、剣、長槍、ハンマー、槍など、あらゆる武器が並んでいた。鉄柵の向こうから地鳴りのような雄叫びが聞こえてくる。そらは、持てるかどうかはともかく、武器を持った方がいいと判断した。最も軽そうな刃物を選んだが、それでも重すぎて引きずるしかなかった。


部屋の反対側の柵が開くと、そらがいた壁から一斉に棘が飛び出して、彼の方へ向かって迫ってきた。否応なく外へ出るしかなかった。


目の前に現れたのは、広大な円形の闘技場だった。床に棘のついた木の杭が数多く立てられていた。観客席を埋め尽くしているのは、さらに大きな一つ目の巨人たちだった。その中に立つそらは、全身を震わせながら、やっとのことで足を動かした。


歓声が上がり、反対側の門から、そらの倍はあろうかという大男が現れた。片手に投網、もう片手に巨大で重そうな三叉槍を持っている。人間と怪物の混血らしく、体には獣の毛が生え、足はひづめだったが、全体的な形は人間のものだった。


大男はまるで大スターのように、観客の歓声を浴びながら悠々と場内を歩き、三叉槍を掲げて場を盛り上げた。それからそらを見た。跛足の子犬でも見るような目だった。彼はそらに向かって親指を下に向けるジェスチャーをした。観客席からどっと嘲笑が起きた。


そらは持ち上げることさえできない重い刃物を捨てた。


向こうの大男が怒号を上げ、大股で近づいてきた。


(逃げる)それだけがそらの頭にあった。


大男が投げた網をかろうじてかわした。剣闘士の映画は見たことがある、網に絡まれたら終わりだと知っていた。実際にやってみると想像よりずっと難しかった。網の端が足をかすったが、なんとかかわしきった。


大男は全く気にしない様子で、小さなネズミをもてあそぶかのような余裕の態度だった。


その余裕のおかげでそらには少し時間が稼げた。しかし次の瞬間、大男が一跳びで前に出て、突きを繰り出した。


剣術の授業にはそれなりに真剣に取り組んでいたそらはなんとか転がって攻撃をかわした。しかし相手が本気を出した瞬間、自分は一瞬で串刺しにされると理解していた。


逃げ続けることに未来はない。いつかは追いつかれる。


そらは場内の高い木の杭に登った。上に生えた棘を足がかりにして、一番てっぺんまで登り切った。観客席からは逃げの一手を嫌う野次が飛んだ。


てっぺんでなんとか踏ん張り、スリングショットを取り出した。同じく登ってこようとする大男に、狙いをつけた。


相手がほとんど頂点まで登ってきたぎりぎりのところで、そらは引き金を引いた。魔弾は命中した瞬間に槍の形に変わり、大男の心臓を貫いた。


大男は目を見開いた。人間の目がそこまで大きくなれるのかと疑いたくなるほどの驚きの表情で。


落下していくのを見ながら、そらはある事実を理解した。


(自分は人を殺した)


血の匂いが広がり、観客たちはさらに沸き立った。誰が生き残っても死んでも、この人たちには関係ない。ただ血が流れればそれでいいのだ。


スリングショットを握る手が、少し震えていた。そらは大男の遺体を見つめたまま、次にどうすればいいかわからなかった。


闘技場の係員たちが代わりに決断してくれた。司会者が何か叫ぶと、観客から賛同の声が上がり、遺体を片付ける者がやってきた。


しかし幸運は長くは続かなかった。間もなく、次の対戦相手が闘技場に足を踏み入れた。


今度出てきたのは、本物の一つ目の巨人だった。背中には両刃の大斧を背負っている。


(さっきの戦いは、矮人同士の戦いだったと同然だったのか)


明らかに、この巨人の方が観客の支持は圧倒的だった。波のような歓声が場を揺さぶり、小柄なそらは飲み込まれそうだった。


そらはまたスリングショットに魔弾をセットした。このままでは続かないとわかっていながら。巨人が両刃の斧を振り上げ、近くの木の杭をまとめて叩き割った。そらがスリングショットで狙いをつけた。


突然、鋭く大きな笛の音が響いた。


笛の音に続いて、巨人はなんと斧を地面に置いた。そしてそらの方へ歩いてきた。


状況が飲み込めなかったが、残りの魔弾はあと四発しかない。相手に今すぐ殺す気がないようなら、撃つのは待った方がいい。


巨人は手を伸ばしてそらの脇腹をつまみ、高台の上に置いた。そらにとっては高台でも、他の巨人たちにとっては普通のテーブルほどの高さだろう。


さっき檻から出してくれた老人が現れ、二人の人間の壮漢を連れていた。彼らは長槍を持ってそらを檻の中へ追い込み、老人が鍵をかけた。剣闘士の巨人は鉄の檻を持ち上げて、観客席の方へ向かった。


そらは、籠ごと一人の一つ目の巨人の観客に引き渡された。大人の巨人は係員に代金を支払い、檻を隣の背の低い巨人に渡した。その巨人は小さな女の子だった。顔の稚さからすると、人間に換算して五、六歳くらいだろう。


檻を開けてそらを手のひらに乗せた女の子は、一つしかない濁った黄色の目、だんご鼻に厚い唇を持ち、顔が少し左に歪んでいた。そんな表現は申し訳なかったが、エルフの整った顔に慣れた目には、こんな至近距離で巨人を見るのは正直ぞっとした。


女の子はそらをじっと見つめていた。まるで世界で一番珍しい宝物を目にしたかのような表情で。


女の子が鉄の檻を抱きかかえ、父親らしい一つ目の巨人についていく姿を見て、そらはようやく事態を把握した。


(ペットとして売られてしまった)

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