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トルコ石  作者: 葉櫻
十一、運命の輪
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103/119

11-4

踊り死ぬ事件を無事に解決したあと、空(そら)はルイーズを訪ねた。


空(そら)はまず切り出した。「ルイーズ、舞踏会のあと、僕がシーデに近づかないでほしいって頼んだこと、覚えてる?あのときのやり方は……」


ルイーズは言った。「あとでミシアに話したの。彼女が、あなたがどうしてああしたのか、教えてくれたわ」


「ごめん。うまくやれなかった」


ルイーズは言った。「他の貴族がどんなふうに物事を進めるか知っていたら、こんな些細なことで謝ったりしないでしょうね。でも、本当は一言文句を言うつもりだったのよ。ミシアには、あなたが自分から謝ってこなかったら怒るって言っておいたの」


空(そら)は言った。「言っておいてよかった。君が怒ったところなんて、とても見られないよ」


ルイーズはわざと恐ろしい顔を作ってみせたが、それでも十分可愛らしかった。続けて、彼女はテイラロの話に触れ、表情を曇らせて言った。「わたしにも、彼女に何をしてあげられるのか、分からないの。最初は、ラヴェニにとても腹を立ててた。彼女が仕組んだことは、他の人の気持ちをまるで考えていなかった。子供まで巻き込んでしまったし」


「でも、彼女の立場を考えると、遅くとも二十歳までには結婚相手を決められてしまう。そうなれば、もう生まれた家のことに口を出せなくなるかもしれない。だから、早く動くしかなかったんだ。この過程で、誰も傷つけないなんて、ほとんど不可能だったと思う」


ルイーズは言った。「わたしは、恵まれすぎた暮らしをしてきたのね。よく考えてみたら、全部をラヴェニのせいにはできないと思う。少なくとも、最後にはみんな無事だった。それでも、かつての同級生が閉じ込められているのを見ると、やっぱり複雑な気持ちになるわ。深淵に追放された人のことは、なおさらね。夫人には何度か会ったことがあるの。親しかったわけじゃないけど、彼女が罰を受けているのを見ると、やっぱりやるせない気持ちになる」


空(そら)は言った。「彼女は公爵を殺したんだ。彼女の行き着く先は、追放しかない」


「そうね、いい人じゃなかった。ところで、どうして急に、鍵の使者のことを知りたくなったの?」


空(そら)は踊り死ぬ事件のことを話した。ルイーズは聞いているうちに、「セグ」という人物に興味を持ち、資料を調べてみると約束してくれた。


無理をしすぎないようにと空(そら)は言ったが、案の定、数日後、彼が目にしたのは、すっかり疲れきったルイーズの姿だった。


「調べ……当てたわ」


ルイーズは弱々しくも、待ちきれない様子で話し始めた。



庭園を歩いていると、温泉を楽しんでいる魅魔たちの姿が見えた。セグはすぐに、彼らの反応を予想できた。


案の定、魅魔たちは彼を見るなり、口々に騒ぎ立てた。「セグ、新しいドレスが欲しいわ!」


「わたしのペットが死んじゃったの。また捕まえてきて」


「この街の食事にはもう飽きたわ。料理人を変えて!」


セグはそっと深呼吸をしてから、魅魔たちに言った。「言っただろう、お前たちはここを離れるべきだ」


「どうして?」


「とぼけるなよ。お前たちの最後の望みを叶えたら、罪悪の街を出ていく。そう約束したはずだ」


「そうだったかしら?」


「そうだ」


「もう一つだけ、やってくれればいいの。それだけよ」


「はっきり言ったはずだ。お前たちは俺との関係を笠に着て、あちこちで強請たかりや脅しをしてきた。全部、知ってるんだからな。もうこれ以上は……」


魅魔の一人が笑いながら、セグに水をかけた。


セグの怒りが、突然爆発した。


「いい加減にしろ!これ以上出ていかないなら、殺すぞ!」


騒ぎが、一瞬で止まった。


魅魔たちは呆然と、セグを見つめた。


セグ自身も、自分がそんな言葉を口にするとは思っていなかった。だが今回は、神に操られたわけではなく、自分自身の意志で発した言葉だった。


彼は、何でも要求してくる昔の「家族」に、殺意を抱いたのだ。


目がまた赤くなっていたに違いない。魅魔たちは皆、悲鳴を上げて庭園から逃げ去った。


セグはため息をつき、誰もいなくなった庭園に腰を下ろした。


かつて、本物の鍵の使者になるための試練――多羅阿神廟(たらあしんびょう)への道のりも、彼をそこまで導いてくれたのは、この「家族」たちだった。だから彼は、どんなことがあっても彼らに良くしてやろうと思っていた。だが、力というものは人を腐らせる。彼自身より先に腐っていったのは、他でもない、彼の一番近くにいた者たちだった。


鍵の使者となってからは、罪悪の街の門は彼のために開かれ、黒女神の忠実な信徒たちが彼に仕えた。それでも彼はいつも、誰も攻め落とせないと言われるこの堅固な城が、実は海風と砂だけで築かれた、触れればたちまち崩れ去るものだという気がしてならなかった。


「城主?」


こんなふうに、セグの機嫌が悪いときに近づいてこられるのは、こいつくらいのものだ。


侍従のサティが、壁の陰からひょっこりと顔を覗かせた。セグが不機嫌な顔をしているのを見ると、怯えたような鳴き声を上げた。


セグは、それが自分を笑わせるためだと分かっていながら、それでも、わずかに笑みをこぼした。


サティは言った。「どこかへ遊びに行かれませんか?」


セグは沈んだ声で言った。「どこへ行けと言うんだ」


サティは目配せをした。セグが疑わしげな、いくらか呆れたような目で見つめると、サティは言った。「極楽の城なんて、いかがです?行かれたことがないと、おっしゃってたでしょう」


セグは言った。「もう魅魔と向き合うのは御免だ」


「どの種族にも、それぞれの本性というものがあります。極楽の城へ一度行ってみれば、心身が晴れるだけじゃなく、魅魔の習性についてもっとよく知ることができるかもしれません。そうすれば、いくつかのことも、あまり気にならなくなるのでは」


「一理あるかもな」


「行ってらっしゃいませ。ここは、私たちが守っておきますので」


セグは言った。「このどさくさに紛れて、金を持って逃げるなよ」


「メエッ!そんなことしません!」


「分かってる。冗談だ」


魅魔についてもっと理解したいという思いを抱いて、セグは極楽の城へ向かった。



極楽の城は、セグが想像していた通り、俗っぽい場所だった。


魅魔の「兄」や「姉」たちのことを思い出すと、いっそう気分が沈んだ。結局、魅魔の「本性」とは、こういうものなのだろうか。


けたたましい呼び込みの声や光が溢れる店々の中で、彼はふと、一つだけ、他とは違う音色の音楽を耳にした。


朗々として力強い女性の歌声は、魅魔にありがちな甘えた声や、誘惑めいた声とはまるで違っていた。セグには、歌詞の内容までは分からなかったが、どうやら、ある人の孤独について歌っているようだった。おそらく、ラグマンの言葉だろう。泣きたくなるような衝動を覚えた。


彼はその吟遊詩人のもとへ歩み寄った。黒髪に緑の瞳をした、人間の少女だった。傍らには、使い古された背嚢が置かれ、その上にはコウモリの木彫りが下げられている。セグがその木彫りを眺めていると、一人の子供が駆け寄ってきて、その木彫りに触れようとした。


歌手の少女は、一瞬で顔つきを変え、素早くその子の手を払いのけた。おかげで、投げ銭をしようとしていた子供の母親は、手を引っ込め、少女を激しく罵った。


少女も負けじと、別の言葉で言い返し、二人は激しく言い争いになった。


セグは前に出て、少女の投げ銭箱に金貨を一枚入れた。少女はたちまち笑顔になり、セグに礼を言うと、先ほどの一幕にはもう構わなくなった。


子供と母親が不満げに立ち去ったあと、セグは少女に尋ねた。「今のは、ラグマンの歌かい?」


少女は驚き喜んで尋ねた。「ラグマンの言葉が分かるの?」


「少しだけ」


「嘘。こんなに発音がきれいな外国人、初めて見たわ」


セグは言った。「俺の程度なんて、人の言葉をだいぶ理解できる犬くらいのものさ。意味がかろうじて分かる程度だよ」


少女は笑い、セグはそこでようやく気づいた。自分が、冗談を言っていたことに。


冗談を言う気分になれるとは。


彼は尋ねた。「さっき歌っていたのは、何の曲だい?」


少女は言った。「わたしが自分で書いた曲よ。『惑星組曲・その三』っていうの」


「歌詞の内容は?」


「生まれながらにして人は孤独だけど、心を開けば、宇宙全体があなたと共にある。あなたは一人じゃない、っていう歌よ」


セグは微笑んだ。少女は言った。「空虚に聞こえるかもしれないけど、これはわたし自身の経験なの」


「どういう意味?」


少女は弦を弾きながら尋ねた。「時間があるなら、わたしの話を聞いてくれる?わたし、ノエルっていうの」


「セグだ」


「少し前に、鍵の使者が代わったでしょう?今の鍵の使者は、まだ悪いことをしていないわ」


「鍵の使者」という言葉が、セグの胸に突き刺さった。


ノエルは言った。「ほとんどの人にとって、鍵の使者が代わったところで、何も変わらないでしょうね。でも、わたしの故郷は、前の鍵の使者に村ごと滅ぼされたの。『村ごと滅ぼす』っていうのが、どれだけの人に理解できるのか分からない。わたし自身にも、よく分かっていないもの。わたしはただ、都会に出て学校に通っていただけ。それで、平和を祝うお祭りの会場に、前任の鍵の使者の部隊が現れて、その場にいた人たちを無差別に襲ったの。近くの家々に押し入って、みんなを引きずり出して殺して、大勢を捕虜として連れ去った」


その襲撃の惨状を詳しく語る彼女の話を聞きながら、セグはひどく遠いことのように感じていた。


彼が経験してきた戦いは、大きなものなら火精霊の王国での戦争のように、双方がおおむね対等な軍事力を持つものだったし、小さなものなら、彼個人と誰かとの一対一の勝負だった。たいていは、相手を簡単には殺さなかった。身代金に換えられるからだ。


ノエルの語る襲撃は、純粋な悪意そのものだった。


ノエルは言った。「あの事件のあと、わたしは家族全員を失った。親しかった隣人たちも、誰一人、あの惨事を逃れられなかった。だからわたしは、ずっと辛い時期を過ごしたの。生き残った自分も、死ぬべきなんじゃないかって思うくらいに」


「絶対に、そんなことはない」ノエルにじっと見つめられて、セグはもう一度繰り返した。「絶対に、そんなことはない」


ノエルは言った。「今のわたしも、そう思う。他の生存者たちにも、そう伝えてる。苦しみを受けずに済んだからって、申し訳なく思う必要なんてないって。実際、それは奇跡が起きたからなの」彼女は微笑みを浮かべて言った。「つまり、新しい鍵の使者が、あちこちで悪事を働いていた前任の鍵の使者を排除して、かつての捕虜たちを解放してくれたのよ。混沌とした闇の中に、まるで光が差したみたいだった。夜空に突然、星の光が現れたみたいに。その光を見て、わたしの人生にも、もう一度希望が燃え上がった気がしたの。自分でも、信じられないくらいに。だから、この惑星組曲を書いて、この気持ちを分かち合いたいと思ったの。吟遊詩人として、あちこちで資料を集めて、この新しい鍵の使者についてもっと知ろうとしたわ。それで分かったの。彼は本当に、前任の鍵の使者とは違うって。彼の存在そのものが、わたしにとっての救いなの。わたしは一人じゃないんだって、感じさせてくれる」


セグは言った。「でも、彼だって結局は鍵の使者だ。みんな言うだろう。まだ力の使い方が分かっていないだけで、いずれ学んでしまえば、これまでの、力に呑まれた鍵の使者たちと同じになるって」


「彼はならないわ。みんなは、彼がこれまで歩んできた道を見ていないけど、わたしは見てきたもの」


セグ自身、自分がこの先どうなるのか確信が持てずにいるというのに、ノエルにいったい何の根拠があって、セグが悪人にはならないと言い切れるのだろう。


けれど、この根拠のない信頼は、ノエルの言う通り、まるで夜空に突然現れた光のようだった。


迷えるセグを、救い出した。


それからというもの、セグは毎日ノエルのもとを訪れ、彼女がさまざまな歌を歌うのを聴いた。ノエルは以前、学校で声楽を専攻していたといい、音域は広く、セグの耳を存分に楽しませてくれた。


そんなある日、ノエルは、極楽の城から追い出されそうになっていると話した。「ここは魅魔が稼ぐための場所だもの。人間のわたしは、歓迎されないの」


セグはためらったあと言った。「罪悪の街に来ないか?」


ノエルは目を瞬かせ、驚いた様子でセグを見つめた。


セグは言った。「城主に憧れてるんだろう。罪悪の街に行けば、彼に会える機会があるかもしれない」


ノエルは笑って言った。「まさか、そんなこと」


「実は俺、罪悪の街から来たんだ」


「本当に!」


「俺は城主の侍従なんだ」酒場の雰囲気のせいか、セグの頭にまず浮かんだのは、いつも酒臭いサティのことだった。「一番の側近というわけじゃない。俺は血魔族だから、戦うのが得意で、侍従と護衛の中間くらいの立場なんだ」


「城主を、直接見たことがあるの!」


セグは慎重に言った。「暗殺を避けるために、いつも顔を隠してる。俺も、彼がどんな顔をしてるのか知らないんだ。顔が見えないことは、気にならないか?」


「まったく気にならないわ!同じ場所にいられて、同じ空気を吸えるだけで、それで十分よ!」


ノエルの興奮しきった様子を見て、セグは少し、このことを話したのを後悔した。もっとも、ノエルが何か度を越したことをしたら、そのときはサティに始末してもらえばいい。彼女は脅威にはならない。


そう思いながら、彼はノエルを連れて罪悪の街へ向かった。



セグの後押しもあって、ノエルの歌は罪悪の街の大通り小路にまで広がっていった。あっという間に、セグでさえ、彼女の歌を聴くには列に並ばなければならないほどになった。


そこでノエルは、夜だけ舞台に立つようになり、昼間はセグとあちこち歩いて回った。幸い、皆が知っているのは吟遊詩人「ノエル」の名前であって、その顔ではなかったので、二人は自由に過ごすことができた。


ノエルの快活でよくしゃべる性格に触れているうちに、セグは、かつての自分に近い姿を取り戻していった。彼はでたらめなことを次々と口にしては、ノエルを笑わせた。ノエルが笑いながら彼の手を握ると、セグはますます、自分自身が分からなくなっていった。


ノエルと一緒にいると、楽しかった。もう長いこと、彼が鍵の使者だと知らない相手、彼の過去のすべてを知らず、気にもせず、ただ今このときを一緒に過ごすことだけに向き合ってくれる相手がいなかった。二人は一日中公園に寝そべり、レジャーシートの上で雲の形が変わっていくのを眺めた。ノエルは気だるげに歌を口ずさみ、通りかかる犬とその飼い主に挨拶をした。一緒に新鮮な食材を買いに行き、セグがノエルのために借りた小さな家で、料理をした。


これこそ、セグが望んでいたすべてだった。


そうだろうか?


あんなことがあったあとでも、彼は過去に戻れるのだろうか。


その一方で、彼はいつしか、愚かな城主になっていた。ノエルと過ごしているあいだ、街を治める権限は魅魔たちの手に渡っていた。魅魔たちの本性は、それほど悪くはない――より正確に言えば、大それた犯罪や戦争を起こすほどの度胸は、彼らにはなかった。せいぜい、税を重くしたり、よそ者の金を奪ったりする程度だ。罪悪の街の基準からすれば、それでも「まだましなほう」に入る。だからノエルの中で、今の鍵の使者への幻想は、まだ壊れずに済んでいた。


そんなのどかな日々は、ある日、サティが慌ててセグのもとへ駆け込んでくるまで続いた。


ノエルは、羊男の姿にひどく驚いていた。だが、それは今は問題ではない。問題は、セグがサティに、邪魔をしに来るなと言い含めていたのに、そのサティが約束を破ってしまったことだった。


セグが不機嫌な顔でサティを見ると、サティは謝る間も惜しんで、慌ただしく言った。「火精霊王国の軍が、こちらへ向かっています!」


セグは尋ねた。「どういうことだ」


「魅魔たちが、火精霊の商隊を襲ったんです。今、あちらの国が説明を求めてきています」


セグはノエルとの約束を急遽切り上げ、城へと戻った。


城のあちこちには、酒と山海の珍味、そして露出の多い衣装で歌い踊る芸人たちの姿があった。かつては魅魔が人に見せる側だったのに、今は彼らが見物する側になっていた。


セグの中に、また苛立ちが湧き上がった。権力を魅魔に渡したのは、他でもない自分自身なのだから、この結果には、自分が最も大きな責任を負うべきだと分かっていながら、それでも彼は、剣を抜いて魅魔たちの体をまとめて斬り裂けば、すべて解決するのではないかと考えてしまった。


彼はすぐに自分の考えを打ち消した。何を考えているんだ!彼らは、彼を育ててくれた家族も同然の存在ではないか!こんな自分になったのは、すべて黒魔法のせいだ。ぐらぐらと揺れ動く、これまでにないほど激しい暴力の衝動。もしかすると、黒女神が彼の心を支配し、頭の中に入り込んでいるのかもしれない。すべては黒女神のせいだ。


「何をしている」


その声を聞き、それを発したのがオーレンだと分かった瞬間、セグは冷水を浴びせられたように、はっと我に返った。


彼は気づいた。オーレンは、なんと……大人びたことか。


以前の、少し早熟でありながら、どこか背伸びした子供のような雰囲気とは違う。今のオーレンは、正真正銘の大人で、華やかな衣装に身を包み、権力の象徴を手にし、王位を継ぐ準備を整えていた。罪悪の街への訪問は、オーレンにとっての最初の功績なのだろう。


オーレンは怒りに満ちた目で――片方しか残っていない目で――セグを睨みつけた。彼は、この光景に怯えて震える魅魔たちを指さし、セグに問いただした。「これが、君の街の治め方なのか?」


セグは言った。「君には関係ない」


オーレンは一言一句、区切るように言った。「罪悪の街が火精霊に手を出した以上、必ず代償を払わせる」


セグは思わず口走った。「僕がやったんじゃない」


オーレンは言った。「部下をかばうというなら、それは君がやったも同然だ」


くそ、セグにも分かっていた。オーレンの言うことは、間違っていない。


オーレンは尋ねた。「君は、どんな人間になるつもりだ?」


セグは冷笑して言った。「僕の本性なんて、とっくに知ってるだろう」


だがオーレンは言った。「あれは、君本来の意志じゃなかったと分かってる。今の君こそが、腐り始めているんだ」


セグは膝から力が抜けそうになったが、幸い、サティが素早く彼を支えた。


オーレンは、あのとき手を下したのが、本当の自分ではなかったことを知っていた。


オーレンは、今もまだ、彼を信じてくれている。


「エレアが、君をとても恋しがっているよ」オーレンは続けた。


この一言が、セグにさらに重い一撃を与えた。


セグはふと、この間、自分は本当に迷い込んでいたのだと感じた。きちんと謝りたいと思った。心の衝動に従い、セグは言った。「こちらの魅魔は全員、火精霊王国に引き渡す。それでいいか?」


オーレンはセグをじっと見据えて言った。「これから先、ちゃんとここを治めると誓えるか?」


セグは自分を落ち着かせて言った。「精一杯やると誓うよ」


「セグ!助けて!」


「オーレン王子、わたしたちはあなたの恩人よ!」


セグは、哀れっぽく叫ぶ魅魔たちに言った。「火精霊は情け深い。せいぜい閉じ込められるくらいで済むんだ。何を不満に思うことがある」


魅魔は言った。「わたしたちのせいじゃないわ。あなたが罪悪の街をちゃんと治めなかったからよ。全部あなたのせいよ!」


近くにいた別の魅魔も加勢して言った。「そうよ!こんなことなら、あの日あなたを家に連れ帰らなければよかった!わたしたちの味方をしてくれないなんて」


セグは、恨みに満ちたその顔ぶれを見つめた。この上なく見知らぬ顔に映った。


火精霊が魅魔たちを連行したあと、オーレンは一言だけ残していった。「今の彼らの状況を作ったのは、君だ」そして立ち去った。


セグが沈んだ気持ちでノエルのもとへ戻ったとき、ノエルは、サティが何者なのかも、何をそんなに急いでいたのかも、セグの表情が何を意味するのかも、何も尋ねなかった。


彼女はただ、こう尋ねた。「何の歌が聴きたい?」


歌いながら、彼女はゆっくりと頭を、セグの肩へと傾けた。


美しい少女と恋に落ちる。それはとても簡単で、とても幸せなことだった。


この間ずっと、ノエルの気持ちには気づいていながら、セグは一度も、彼女に愛の言葉をかけたことはなかったし、彼女の探るような態度に応えたこともなかった。


だが今回、セグは避けようとせず、彼女がそのまま、自分に寄りかかるのを許した。



しばらくして、ノエルは見たい展覧会があると言い、セグを連れて罪悪の街を離れた。


それは、パンプローナ王国の名だたる画家による代表作で、十二年ぶりに、夜魔族のノーシア王国へと貸し出され、展示されることになったものだった。今月、パンプローナ王国でもともとその絵を収蔵していた美術館が改修中だったため、この珍しい協力展が実現したのだという。


セグは以前なら、入場料を払ってまで「芸術品」を見に行くようなことはしなかっただろう。だが、ノエルはこの手のものにとても熱心だった。彼女が好きなら、彼はついていった。


夜魔族の美術館は人でごった返し、長い列に並んで、ようやく一枚の小さな絵を目にした。


絵の中の少女が振り返る、純粋で美しい姿だった。


だが、この絵の主人公は、実はある有名な密偵だった。表向きは社交界の花という肩書きだったが、実際には、当時パンプローナ王国の反対勢力のために働き、王室の転覆を目論んでいた。そして最終的に、彼女は本当にそれを成し遂げた。歴史には、彼女の本当の名前は残っていない。人々が知っているのは、この絵の名前――『緑の瞳の少女』だけだった。


ノエルが理路整然と語るのを聞きながらも、セグはやはり、あまり興味を持てなかった。むしろ、絵の中のあの緑の瞳が黒女神を思い出させ、いっそう気分を悪くさせた。


「もう帰ろうか?」


ノエルは言った。「来たばかりよ」


うっとりとしているノエルを見つめながら、セグはふと気づいた。ノエルと一緒に出かけるのは、確かに気は休まるけれど、それほど楽しいわけではないのだと。彼はほとんどの場合、ノエルがやりたいことに付き合っているだけで、彼女の歌にも、もう飽きてしまっていた。


ノエルは何度も、二人の関係をはっきりさせようとしたが、セグは友人の一線を保ったまま、決して正式にそれを越えさせなかった。


展覧会を見終えると、すでに夜になっていた。ノエルはさらに、芸術村へ行こうと言った。夜には点灯のイベントがあるらしい。


セグはやはり、そのままついていった。


芸術作品の灯りが次々と点されていくのを眺め、周りから歓声が上がる中、セグは何も感じなかった。


人の少ない一角まで来ると、ノエルは七弦琴を取り出した。「セグ、横になって」


セグは言われた通り、レジャーシートの上に横になった。


「目を閉じて」


いつもなら、これから彼女が歌を歌い始める合図だった。


だが今度、彼に向かって伸びてきたのは、短剣だった。


セグはその刃をつかみ、ゆっくりと目を開けると、無表情のまま、全身の力を込めているノエルを見つめた。


ノエルの表情は険しく歪み、セグが軽々と攻撃を受け止めたのを見て、絶望したように両手の力を抜いた。


彼女は尋ねた。「最初から、気づいてたの?」


セグは言った。「俺は鍵の使者だ。数え切れないほどの暗殺に遭ってきた」


ああ、だからこそ、魅魔たちに際限なく求められるままにしていたのだ。魅魔がどれほど強欲でも、彼に手をかけることだけはないと分かっていたから。


セグはさらに言った。「それに俺は血魔族だ。戦いは俺の本能だ。刃に毒を塗ったところで意味はない。血魔族の皮膚は分厚いんでね」


ノエルは物悲しく笑って言った。「わたしが間違ってた」


セグは尋ねた。「黒女神に唆されたのか?あなたのどんな願いでも叶えてやるとでも言われたのか?」


ノエルは言った。「黒女神は、日夜わたしの耳元で囁いていたわ。村の人たち全員を生き返らせる力があるって。嘘かもしれないと分かっていても、それだけで諦めることはできなかった。あなたに直接助けてって頼もうかとも思ったの。でも黒女神は、新しい鍵の使者は一つだけ願いを叶えられる、それができるのはそのときだけで、あなたには力を貸してもらえないって言ったわ」


「英雄の神話にさえ、死神の門の向こうから、亡くなった人を連れ戻せた者はいないと言われている。ましてや、村一つ分の人間だ。鍵の使者になれば何でも叶うというなら、俺はとっくに世界平和を願っていた。あなたは研究者なんだから、この願いに限度があることくらい、知らないはずがないだろう」


「分かってる。でも……」


セグは尋ねた。「あなたは最初から、俺が鍵の使者だと知ってたんだろう。コウモリは血魔族の象徴だ。鍵の使者が血魔族だってことも、とっくに知ってたはずだ」


「そうよ。わたしは毎日、噂に聞く、魅魔たちと一緒に行動している血魔族の少年を見つけられますようにって願ってた。それで極楽の城へ行って、本当にそういう人に出会えたの」


セグは言った。「あなたはずっと、俺の心を和らげようとしていたんだな」


「でも、無駄だった。あなたの心は、わたしには開かなかった」


「俺の心は、もう別の誰かに忠実だからだ」


セグが、からかうように刃を少しずつ押し返していくのを見ながら、ノエルは懇願するように言った。「わたしが調べた限り、あなたは、むやみに人を殺したりしない」


「あなたのおかげで、一つ分かったことがある」


セグは続けた。「俺は、本当に変わったんだな」


今の彼には、この裏切り者を殺してしまいたいという、抑えきれない衝動があった。あとになって、そのことで苦しむだろうことも分かっていたが、それでも、うずうずするような気持ちを抑えられず、彼女を殺すことを考えると、笑いさえこみ上げてきた。


「君は、どんな人間になるつもりだ?」


セグはふと、オーレンのその一言を思い出し、あやうく手を止めそうになった。


ほんのわずかなところで。


そして彼は、オーレンの片目のことを思い出した。


そうだ、自分はもう、これだけの悪事を重ねてきた。どのみち、引き返す道などない。


「さよならだ」セグは呟いた。


短剣が押し込まれ、ノエルの胸に突き刺さった。

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