11-2
村人たちは皆、踊り疲れてまともに話もできない有様だったので、空は動物のほうへ目を向けた。
牛や羊のような、とりわけ囲われて飼われている動物たちは、愚かというわけではなく、周りの世界にあまり関心がないだけで、交流を試みても、大した情報は引き出せなかった。そこで空は、飼い犬に目を付けた。
一軒一軒尋ねて回った。人懐こく愛想のいい犬もいれば、何本も先の通りまで彼を追いかけてくる犬もいた。そしてようやく、一匹の牧羊犬に望みを見出した。この牧羊犬は特別に賢く、空が交流している最中、いっそのこと言葉で直接尋ねたら、この犬なら答えてくれるのではないかと思ったほどだった。
黄色と白の混じった毛並みのその牧羊犬は、よそ者が入ってこなかったかと空に尋ねられると、首をかしげ、いたことを伝えてきた。
「主人が追い払わせなかった羊が一匹いる」
空は尋ねた。「どういうこと?」
牧羊犬は言った。「二本足で立つ羊が、主人のところに来た」
「その羊は、赤い靴を持ってた?」
「持ってない。でも、みんな踊り出した。羊が靴を持っていった」
牧羊犬の主人は留守だったので、空は牧羊犬に、その相手のところまで案内してもらうことにした。牧羊犬はふさふさの尻尾を振りながら、空を森の中へ導き、やがて、人目につかない洞窟の前まで連れていった。
空が肉の干し物を取り出して与えると、牧羊犬はそれを食べ、空に頼まれるまま、一声吠えてから走り去った。
「シーシー?」
牧羊犬の名を呼びながら出てきた牧羊者は、空を見るなり、真っ先に踵を返して逃げ出そうとした。
空はゴマの背に飛び乗ると、あっという間に牧羊者に追いつき、威嚇の矢を一本放った。
牧羊者は立ち止まり、両手を上げて言った。「降参だ!降参する!」
空は馬から降りて尋ねた。「その羊の男は、どこにいる?」
牧羊者は怯えきった顔で尋ねた。「どうして知ってるんだ?」
「どこにいる?僕はアイセンティア王室から遣わされた者だ。これが最後の機会だ」
「あそこの中にいる!」
空は水魔法で氷の枷を作り、牧羊者の手足を拘束すると、洞窟の中へ駆け込んだ。
これが、彼が初めて直接目にする、羊男の姿だった。言い伝えによれば、財富の神、刻壬斯を崇める、貪欲な生き物だという。羊男の横長の瞳孔には、感情らしきものが感じられず、頭部はほとんど白い山羊そのもので、体毛の濃い人間の体に、蹄の形をした手、そして血の滲んだ包帯を巻いた脚をしていた。
空は不安を抑え込み、羊男に言った。「僕は王室から遣わされた者だ。この村に呪いの品を持ち込んだのは、お前だな!」
羊男は空より頭二つ分も背が高く、空は、突進してきて殴りかかられるのではないかと恐れていたが、意外にも、羊男の度胸は身長に反比例しているらしく、「王室」という言葉を聞くなり、すぐにしゃがみ込んで頭を庇い、言った。「認めます!殺さないで!」
「呪いの品を差し出せば、命だけは助けてやる」
「ここです!ここに!」羊男は慌てて寝台の前の大きな箱を開けようとしたが、あまりに動転していて、鍵を何度も落としてしまう。最後には見かねた空が、鍵を拾って箱を開けてやった。
羊男は赤い靴を取り出すと、媚びるように埃を払う仕草をしてから、空に差し出した。
空は靴に触れず、疑いの目で言った。「僕にまで呪いをかけるつもりか?」
「メエッ!違います!足に履かなければ何も起きません!」
「じゃあ、どうして村中の人間が踊り出して、死ぬまで踊り続ける者まで出たんだ?まさか全員が、あの靴を履いたわけじゃないだろう」
「人間が弱すぎるんです!俺のせいじゃない!」
空は我慢して尋ねた。「いったい、何があったんだ?」
羊男はようやく、ぽつりぽつりと語り始めた。
罪悪の街に入って以来、サティは水を得た魚のような暮らしを送っていた。羊男である彼は、その外見のせいで、世界の三大種族――人間、魔族、エルフのどこからも歓迎されず、出身は夜落の地でありながら、夜落の地でさえ排斥されていた。ただ罪悪の街、この極度に混沌として、法も秩序もない場所でだけ、彼は自分を恐ろしい怪物のふりをすることができ、しかめっ面をするだけで人々に恐れられた。もちろん、それは城主――つまり現任の鍵の使者が、彼のことをある程度信頼してくれていたからでもある。
「城主様、ご所望のリボンができました」
王座に座る罪悪の街の城主は、薔薇色のリボンを受け取ると、指先で軽く撫でながら言った。「いい仕事だ」
サティは急いで言った。「一番いいものをとおっしゃったでしょう。これは街で一番のリボンです!どれくらいいいかって?城主様の戦う颯爽としたお姿くらいです!」
「黙れ」
「はい、黙ります、黙ります」
城主はまだ年若く、少年からようやく青年になったばかりだった。もう少し威厳を出そうとしているのが見て取れるが、それでも、あの覇気というものは、いつまでも身についていなかった。
サティは、自分は人を見抜くのが得意なほうではないと思っていたが、それでも彼にさえ分かった。城主はきっと、貴族の出ではない。城主には骨の髄からの気品というものが備わっていないし、時折、どこかいたずらっぽい一面を覗かせることもある――もっとも、たいていの時間は、鬱々とした様子で窓の外を眺めているのだが。
サティは城主の侍従だった。もっとも、同僚たちの多くは、彼のことを道化と呼んでいたが。呼び名がどうであれ、城主について大金を稼げることこそが大事で、サティもそれ以上は気にしていなかった。とにかく外では、彼は威風堂々たる侍従で、城主から信頼を受けている。それに城主は、サティの外見をからかったことなど一度もなく、せいぜい、金を愛しすぎると咎める程度だった。
「そのリボン、何にお使いになるんですか?」
ちょうど今のように、サティは気軽に城主と世間話をすることができた。
城主は言った。「靴を一足作るんだ。今のところ、これくらいできた」そう言って、彼は一足の赤い女物の靴を取り出した。
サティは訝しげに靴を見て、それから城主を見た。
「何だ」
サティは言った。「城主様は鍵の使者でいらっしゃるのに、こんな靴を……まさか、実は女性でいらっしゃるとか?」
城主は黙り込んだ。
サティは慌てふためき、思わずメエッと声を漏らしてしまい、それでようやく城主は笑い出したが、すぐにまた冷たい顔に戻って言った。「くだらないことを言うな」
「はい!」
城主が物思いにふけっている様子を見て、サティは推測した。「どなたかに贈るおつもりで……まさか、想い人でもいらっしゃるんですか?」
城主は彼を睨んで言った。「勝手に決めつけるな。これは秘密だ。誰にも漏らすなよ」
サティは自分の忠誠心を誇りに思っていた。主人を裏切ることなど、絶対にありえない。
だが、酒に酔ってしまえば、話は別だった。
「知ってるか?城主様は、城一つ分の値打ちがある靴を作ったんだぞ。それも……女物の靴だ!」
周りの者たちが盛り上がり、サティも酔いが回って、自分がすっかり人気者になったような気分になっていた。
酔いが覚めると、彼は自分の頬を張りたくなるほど後悔した。
結局、彼は正直に城主にこのことを打ち明けた。
城主は怒るどころか、出来上がった靴を彼に見せてくれた。
サティは目をむいて言った。「宝石だ!」
「馬鹿、そこが大事なんじゃない」
サティは欲しげに言った。「それ、外して俺にくれませんか?」城主の顔がまた曇るのを見て、サティは慌てて言った。「冗談ですよ!その靴、どなたかに贈るんですか?」
「とても大切な人に贈るんだ。変な顔をするな。……妹だ。妹みたいな存在に」
「どなたです?どこまでも走っていきますよ!」
城主は首を振って言った。「遠すぎる」
「どんなに遠くても、俺は走っていきます!」
城主は彼を相手にせず、独り言のように続けた。「彼女の足の大きさが分からないし、これからも大きくなっていくだろう。だから、この靴はどんな大きさの足にも合うように作った。ただし、履けるのは彼女だけだ」
「どういう意味です?」
「この靴には呪いをかけた。彼女以外の人間が履くと、踊り続けることになる」
「それはそれで、楽しそうじゃないですか!」
城主は呆れたように、また首を振り、それ以上は何も言わなかった。
その靴のことは、ただの一幕にすぎなかった。サティは結局、金に目がくらんで、宝石を本当に外してしまうような真似はできなかった。どれほど金を愛していても、城主の持ち物には手を出さない。彼は変わらず、この若い城主を笑わせようと努め、良き侍従としての務めを果たし続けた。
そしてある日、城主と共に出かけていたとき、敵の襲撃に遭った。彼は戦いの最中に殴り倒されて気を失い、一命を取り留めたが、城主はそれきり、消息が途絶えた。
やがて、新たな鍵の使者が就任したという知らせが流れ、それが間接的に、前の城主の死を証明することになった。
かろうじて生き延びたサティは、来る日も来る日も魂の抜けたようになり、どこへ行けばいいのかも分からなかった。
行き着く先は、酒場しかなかった。
そうして荒れた暮らしを続けるうち、彼はついに、羊男が本来いるべき場所へと戻っていった――森の中へ。旅人が通りかかれば襲いかかり、酒と金を奪う。彼の暮らしの中で、理性が占める割合はごくわずかで、残りは半分が野性、半分が酔いだった。
そんなある日、森で待ち伏せをしていたとき、通りかかった隊商の者たちの話し声が聞こえてきた。火エルフの王女が木エルフの王子と結婚し、婚礼の場で、彼女は炎の口づけと呼ばれる紅玉をあしらった靴を履いていたという。
炎の口づけ――それはまさに、かつて城主が作った赤い靴に使われていた、あの宝石だった。この世に、二つとない品だ。
その瞬間、サティは決めた。
あの靴を、奪い返す。
城主は魔族だった。エルフに、あの靴を履く資格などない。
空は信じられないという顔で言った。「それで、君は靴を直接盗んだのか?」
サティは得意げに言った。「これでも俺は、罪悪の街の城主直属の侍従だったんですからね」そう言って、酒臭いげっぷを一つした。
空は言った。「じゃあ、どうして今、村の人間がその靴と関わることになったんだ?」
「泥棒に盗まれたんです」
空は尋ねた。「そもそも、君はその靴をそんなに大事にしてなかったんじゃないか?」
空に問い詰められて、サティはとうとう言った。「最初は、大事に守るつもりだったんですよ。でも、あんたも知っての通り、俺たち羊男ってのは、金と酒が大好きな生き物なんでね」
空は、自分の生まれを言い訳に使う者が嫌いだった。彼は交流術を使い、サティの表情を観察して、嘘をついていないことを確かめると、サティも縛り上げた。瑪瑞琳が赤い靴を封印したあと、空と瑪瑞琳は、罪人を連れて王城へ戻った。
すぐに、空を三王妃に引き合わせるという話が持ち上がった。
火神アメロティの気性は激しく奔放だと言われていたので、空は先入観から、火エルフである三王妃も、火の元素そのもののように、気性が激しく豪放な人物だろうと思い込んでいた。ところが、彼の前に現れたのは、物静かな女性だった。
彼女は言った。「エレアと呼んでください。事の経緯を聞かせていただけますか」
空は、サティの口から聞いた話を語った。聞いているうちに、エレア妃はその靴をじっと見つめ、目元が赤らんでいった。
空は気づかないふりをしたが、エレアのほうから口を開いた。「これを作ったのが誰か、わたしには分かるわ。わたしはずっと、彼をわたしの兄だと思っていた。世界は少しずつ変わっている。彼にも功績はあったのに、今の人たちが彼について語るときは、ただ『そこまで悪事を働かなかった鍵の使者』と、その一言で終わってしまう。彼の命は、本来ならもっと長く、わたしたちと同じくらい続くはずだった。それなのに、鍵の使者になったばかりに、間もなく誰かに殺され、次の鍵の使者争いが続いていく。終わりのないことよ」
空は尋ねた。「彼は、どうして鍵の使者になったんですか?」
「わたしたちを守るために、先代の鍵の使者を殺したの。きっと、それが理由だと思う。彼は弁解しなかったし、黒女神も、彼に弁解の機会など与えなかった」
「いい人だったみたいですね」
「そうよ」
「でも、どうして呪いの靴なんて作ったんですか?」
「力というものは、人を制御できなくさせるものよ。彼はもともととても優しくて、いい人だった。でも、黒魔法の力に浸り続ければ、性格も多かれ少なかれ影響を受ける。それに、黒女神からどんな圧力を受けていたかも分からないし」
空は尋ねた。「鍵の使者は、みんなそうなるんですか?」
エレアは逆に尋ねた。「あなたの周りに、鍵の使者候補はいる?いいのよ、わたしもかつて候補の一人だったの。わたし自身の意志とは何の関係もなく、黒女神がただ、わたしを気に入っただけ。あの、まだ八歳で何も分かっていなかった小さな女の子の、どこが気に入られたのかは、わたし自身にも分からない。でも、国にとってはいいことだった。エルフの王女が黒女神に見初められるなんて、そうそうあることじゃないもの。黒女神のお心は、誰にも推し量れない。わたしが選ばれるだろうと皆が思っていたのに、最後の瞬間に、黒女神が選んだのは彼だった。わたしのもう一人の兄。男性であったにもかかわらず」
空は言った。「僕にも、とても大切な人がいます。その人も、黒女神にとても気に入られています。でも、それとは少し違うんです。僕はこの国で、鍵の使者候補になったエルフを見たことがあります。彼女は一日中、黒女神にいじめられていて、黒女神は彼女が苦しみながら選択するのを見て楽しんでいました。僕のその友人に対する黒女神の気に入り方は、彼女を自由にすることの上に成り立っているんです。まるで……母親によって、子供への接し方が違うみたいに。それに、こんな話も聞いたことがあります。黒女神が鍵の使者を選ぶということの本質は、まるで、娘が一生をかけて母親の承認を求め続けるようなものなんじゃないか、って」
エレアは言った。「わたしも、あなたのそのお友達に似ているわ。特別なことは何もしていないのに、黒女神の寵愛を受けた。あなたも、そのお友達の未来をあまり心配しなくていいと思う。もしかしたら、彼女は、彼女自身でいるだけで、もう十分なのかもしれない。わたしも、彼女のために祈るわ」
祈りを捧げたあと、エレアは本当の用件を切り出した。
「この靴自体の呪いは、伝染するほど強力なものじゃないわ。誰かがその呪いを強めた。おそらく、わたしを打撃するためでしょう。この靴とわたしの関係が明らかになれば、わたしのアイセンティアでの立場は、必ず打撃を受ける。あなたが、靴を先にわたしのもとへ返してくれて、本当に助かったわ。だから、誰の仕業か調べるのを、手伝ってもらいたいの」
空は尋ねた。「心当たりはあるんですか?」
「多すぎて、数えきれないくらい」
火エルフとして、木エルフの宮廷にいるのは、さぞ大変なのだろう。
空は言った。「分かりました。調べてみます」
エレアは言った。「待って」彼女は一振りの長剣を取り出した。
空が目を見張ると、エレアは言った。「これは火エルフの剣よ。強い力を持っていて、扱いに不慣れな使い手のことも、ある程度導いてくれる。これを持っていれば、あなたも少しは安全になるわ」
「ありがとうございます!」




