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VRMMOでものづくり始めました  作者: SAK


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万華鏡

「鏡……鏡かあ……」


 俺は万華鏡のつくり方を調べて頭を抱えている。

 現代なら簡単に手に入る鏡ではあるけど、ワールドクリエイターズではどうやって入手したらいいのだろうか……。

 一応、武器防具を装備した外見を確認するために姿見があるから、どこかで手に入るとは思うんだけど……今度フリーマーケットに行って確認してみるか。出品しているNPCがいれば話を聞いてみよう。


 もしくは、鉱石を磨いて鏡面仕上げにするとかでもできそうかな? 面を平らにするにはチェンジオーアが有効だし、そこから磨いていけば……って、今度は研磨剤が必要になるか……。


 ううむ、意外と素材探しが難航するな……。どこかに鏡みたいな鉱石があればいいのに。


「……ま、とりあえずログインしてものづくりを始めようか」


 ランさんの鱗、牙、爪はまだあるし、これらを加工してランさん対策の装備が造れたらいいな。

 ちなみにアテナさんやアトラスさんが加工した装備はこんな感じだ。


【嵐竜のブローチ:ランクC、火属性<防御>-30、風属性<防御>+30、生命力+32、魔防+54、ストームドラゴンの鱗で造られたブローチ。風属性とドラゴンの生命力が宿っているため、守備面でも頼れる防具となっている。ただし、キラキラしているためモンスターのヘイトを稼ぎやすいので注意! 光り物に寄ってくるモンスターって、虫か何かなのだろうか……】


【嵐竜のジャマダハル:ランクB、竜特効、火属性<攻撃>-80、風属性<攻撃>+80、攻撃+125、生命力+40、ストームドラゴンの爪から造られたジャマダハル。持ち手を鱗で守っているため、防御面もステータスが上がる良武器。短剣タイプの武器なので、両手に持って連撃を叩き込むのもいい。風属性のため、若干重量が軽い気がする。これがプラシーボ効果ってやつかな? ちなみにカタールではない】


 ……カタールじゃないんだコレ。ってなった説明文である。アトラスさんも驚いていたようだ。

 それにしてもアイテム説明文さんは相変わらずだなあ。



 さて、アクセサリーの方は属性でランさんの攻撃を軽減できるし、守備面もアクセサリーにしては高いので、ランさん戦ではかなり有用なものとなるだろう。アクセサリーの補正は2個まで有効だし、2個装備すれば風属性の補正も高くなる。


 武器の方はやはり風属性の補正値が高いのだが、ランさんは風属性だからかなりダメージが軽減されてしまう。竜特効があって攻撃力も短剣タイプとはいえ高いのだが、風属性という点がネックだ。どうにかして属性が変更できればなあ……。


「あれ? そういえば最近、属性を変更した武器があったよな……」


 そう、ブラウニーさんだ。

 風属性は苦手属性だから+にはできないけど、地属性を+にしたら風属性が-になって、風属性の補正を消せるのでは……? そうすれば竜特効だけが残った武器が造れる……?

 また、火属性を+にできれば火と風が+になるから、相殺される可能性もあるかもしれない。

 どこまで補正を修正できるか分からないが、頼んでみる価値はありそうだ。


 ……まあ、おとなしく火属性の武器を使えって言われるかもしれないけどね。




**********




「……属性鉱石の次はドラゴンの素材か……お前さんはまた……」


 ブラウニーさんが「なんでそんな貴重な素材をホイホイと持ってこられるんだ?」みたいな表情をしている。確かに俺もそう思う。


「この素材で武器を造ると風属性が+80、火属性が-80になるのですが、火属性の補正を上げることは可能ですか?」

「いや、儂のスキルでできるのは『+を別の属性に移し替える』だから、風属性は動かせないな……」

「なるほど……ドラゴンの素材単体だと無理そうですね。ですが……」


 そう、火水の鉱石と合わせれば……。

 俺は火水の鉱石を取り出し、ブラウニーさんにランさんの爪と鉱石を加工してもらうことに。


「ふむ……確かにこの組み合わせなら……よし、少々時間をおいてから来るといい」

「それでは属性の組み合わせを何パターンか試せるように、いくらか素材を置いていきますね」

「……貴重な素材だから1つだけと思っていたが……そんなに持っていたのか」

「いろいろありまして……」


 まあ、俺みたいにランさんに勝てない人間が、貴重なドラゴンの素材を大量に持っていたら不思議に思うよなあ……。俺だってそう思う。

 とりあえず、「スキルを使わずそのまま」「水属性の補正を火属性に移動」の2つをお願いし、他に何か思いついたら追加で作製してもらうことにした。


 その間、俺はノームさんたちの村へ行き、遊具の設置などをして過ごすことにした。




「……あら、コウさん。お久しぶりですわね」

「ノッカーさん、こちらに来られていたのですね」

「ええ、先日こちらに来た時に、ノームさんたちがやっている遊びが気になっていましたので……」


 ああ、確かにここに遊具とかトランプとかを置いて行ったし、気になるのも分かる。

 ……そして、向こうでトランプで白熱しているノッカーとノームたちを見れば、ドハマりしてしまったということも。あ、ノームさんまた負けてる……。


 ……そうだ、鉱石に詳しいノッカーなら何か知ってるかもしれない。


「こう……自分の顔が反射して見えるぐらい、綺麗な鉱石などはありますか?」

「そうですわねえ……あまり産出されない鉱石ですけど、光を反射するものがありますわね」

「それはこの辺りで採れるものなのですか?」

「この辺では採れないですわね……どうしてそのような鉱石をお探しなのです?」

「実は──」


 俺は万華鏡というものを作りたくて、鏡のようなものを探しているとノッカーさんに話す。


「なるほど、それでしたらわたくしが鉱石を磨き上げてさしあげますわ」

「えっと……よろしいのですか?」

「ええ、もちろん代金は頂きますが……」


 ……ん? ちょっと涎が口から垂れているような……。


「……フェアリーシロップですね?」

「ふふ、勘がいいコウさんはお好きですわよ」


 いや、涎を見たらね? と言ったら恥ずかしがるだろうから、合わせてあげることに。


「それでは、こちらが用意した鉱石を板状にしたものを3つ、お願いできますか?」

「もちろんですわ!」

「では前払いとして瓶詰めしたものを差し上げますね」


 今回はちゃんとノッカーさんサイズの瓶だ。瓶が大きいとノッカーさんがフェアリーシロップを取り出すのに苦労するしね……。


「ありがとうございますわ! ……ところで、問題なければこの鉱石を使って頂けますの?」

「これは……」


 ノッカーさんが取り出したのは、銀色をした光沢のある鉱石。赤鉄鉱(ヘマタイト)みたいなものだろうか?


「よろしいのですか?」

「もちろんですわ。板状にできたら持ってきてくださいな」

「あ、それでしたら……」


 俺はチェンジオーアを使い、鉱石を板状にするのを試みる。

 ……うん、やっぱり鉱石だからチェンジオーアが有効なんだな。


「あら、珍しいスキルをお持ちですわね」

「はい、とある方に教えて頂いたスキルなのですが……とても重宝しています」

「ふふ、これでしたらすぐにわたくしの出番になりそうですわね。……そうすればフェアリーシロップもすぐに……」


 最後の方、小声で言ったつもりだと思うんですけど、丸聞こえですよ。欲望がダダ洩れしている……。


 でも、早くできあがるならライアたちにもそれだけ早く楽しんでもらえるわけだ。

 万華鏡ではしゃぐうちの子たちを想像すると、思わず口元が緩んでしまいそうになる。


「……よし、と。それではこれをお願いしますね」


 俺ははやる気持ちを抑えつつ、しっかりと同一のサイズに加工した鉱石をノッカーさんに渡す。

 現状でもある程度の鏡面ではあるけど、これが更に進化するのかな? その辺りも楽しみだ。


「それでは2日後ぐらいにまた来てくださいませ。きっと驚きますわよ」

「ありがとうございます。それではよろしくお願いしますね」


 ……そうだ、俺もノッカーさんを驚かせたいな。

 いつものフェアリーシロップだけでなく、クイーンビーのハチミツや、クイーンドリアードさんの樹液を使ったフェアリーシロップも用意してみよう。ふふ、当日が楽しみだな。


「……あ、そろそろブラウニーさんの作業が終わってるころですかね。それでは失礼します」

「いってらっしゃいまし」




**********




「おお、来たか。2本できあがっているぞ」

「ステータスを拝見してもよろしいですか?」

「うむ。もし気に入らないのであれば、造りなおすぞ」

「え、造りなおしができるんですか?」

「ああ。ただ、鉱石はともかく、ストームドラゴンの素材は難しいかもしれんが……」


 俺たち人間は一度製作を完了したら、再作製はできないんだよなあ……。

 ……そういえば、ブラウンは俺の作った橋を改修してたし、もしかしてブラウニー特有のスキルなんだろうか?


「なるほど、それでしたら造りなおしはしない方向でいきます。それでは武器の方を……」


【嵐竜のジャマダハル:ランクB、竜特効、地属性<攻撃>-105、水属性<攻撃>+30、火属性<攻撃>-5、風属性<攻撃>+80、攻撃+145】


「これがそのまま造ったものですね」

「そうだな。爪全体に鉱石を馴染ませた感じだ」


【嵐竜のジャマダハル:ランクB、竜特効、地属性<攻撃>-105、火属性<攻撃>+25、風属性<攻撃>+80、攻撃+148】


「そしてこちらが水属性の補正を火属性に移し替えたものですか」

「ああ。火属性が+ではあるが、風属性の+の方が大きいため、実際には軽減されるダメージの方が大きいだろう」

「あとは竜特効がどれだけダメージを増加させるかによりますが……普通のものよりは使いやすそうですね」


 ダメージ計算式がどうなっているかは分からないが、攻撃に属性補正を掛けて、更にそこから竜特効の倍率を掛けて……とかだろうか。

 こればっかりは実際に試してみるしかなさそうだが……俺たちもランさんに挑戦してみるか? 言われっぱなしじゃ悔しいし、できればわからせたいというのもある。

 アトラスさんたちからはダメージランキングにも挑戦したいと言われているし、準備ができたら玉砕覚悟でやってみるかな。ランさんに罵られそうだけど。


「ブラウニーさん、ありがとうございました。また案を練って素材をお持ちしますので、その時はよろしくお願いします」

「ああ、こちらこそだ。まさか貴重なドラゴンの素材を加工できるとはな……いい経験を積ませてもらった」


 ブラウニーさんが手を差し出す。それを見て俺も手を差し出し、握手を交わす。

 ……ブラウニーさん、普通にいい人だよなあ……どうして人間嫌いになったのか気になるが、こういうのは向こうが話したくなったら話してくれるだろう。関係を壊したくないので、深くは聞かないで置いた方がいいだろうな。


「それでは加工のお礼として、ストームドラゴンの素材をどうぞ」

「おいおい……さすがに釣り合わなさすぎるぞ……」

「いえ、これでブラウニーさんが経験を積まれることで、後々俺にも益があるんですよ……ということにしておきましょう」

「……まあ、お前さんが良ければそうしよう。またいつでも来てくれ」


 こうして、ランさんとの戦闘で使えそうな武器を手に入れることができたのだった。




**********




「それではコウさん、こちらをどうぞ」

「おお……これは……!」


 後日、ノッカーさんに依頼をしていた鉱石を引き取りに来たのだが、予想以上に綺麗な鏡面仕上げをされていた。覗き込むと自分の顔がくっきり映るぐらいに。


「これでお望みのものは作れそうですの?」

「もちろんです! それはでこちらがお礼のフェアリーシロップになります」

「あぁ……なんて綺麗な色……ってあら? これ、前のよりも透き通っているような……」

「実は作り方を変えたフェアリーシロップなんです。お気に召したら幸いです」

「作り方を変えた……き、気になりますわね……」


 今回は違いが分かりやすいように、ビーのハチミツとクイーンビーのハチミツから作ったものを用意した。クイーンドリアードさんの樹液を使ったものはまた今度にしておこう。樹液自体が残り少ないというのもある。

 果たして喜んでくれるだろうか……?


「あ、あの……すぐに試してもよろしいですの?」

「はい。ではすぐに用意しますね」


 俺はいつも通りチェンジプラントで木の器2つとスプーンを作り、器にそれぞれのフェアリーシロップを入れていく。

 そしてノッカーさんに提供して、まずはビーのハチミツの方から試してもらうことに。


「これは……以前のものよりも甘みが引き立っていて……とても美味しいですわ……。……それでは、次は……」


 ノッカーさんは今度はクイーンビーのハチミツから作られたフェアリーシロップを食す。


「……! 先ほどのより更に甘みが増して……ああ……今までに食べたどのようなものよりも、甘くて美味しいですわ……」

「お気に召しましたか?」

「もちろんですわ! こ、このフェアリーシロップ、まだありますの……?」

「はい。またお仕事を依頼した時に提供しましょうか?」

「よ、よろしくお願いしますわ! いつでも……いえ、今からでも大丈夫ですので、何なりとどうぞですの!」


 ……よっぽど気に入ったんだろうなあ……。

 ただ、万華鏡は1つだけだとケンカが起きかねないので、増産するならノッカーさんがいる今の内か。


「……それでは、無事に万華鏡が作れましたら、また依頼に来ますね」

「分かりましたわ! いつでもお待ちしておりますわ……」




 その後、俺はホームに戻って万華鏡を作っていく。

 鏡3枚を△の形に並べて貼り合わせていくのだがテープなどがないので、チェンジプラントで溝を入れた木を作っていく。そして、その溝に鏡をはめ込んで上下から固定する。

 そして筒はチェンジプラントでうすーく伸ばした木材を使用することに。

 また、内部で反射させるのは♡の形などに切ったランさんの鱗。これを大量に散りばめて……っと。


 そうして、どんどん工程を進めていき、10分後に万華鏡が完成する。


「どれどれ……と」


 俺はのぞき窓から万華鏡の内部を覗くと、ランさんの鱗が鏡に反射されて綺麗に輝いていた。


「おお……」


 思わず感嘆の声が出る。万華鏡は小さい頃にちょっと触ったぐらいだったのだが、大人になった今でも感動するものなんだな。



「ねーねーコウ、何を見てるのー?」


 少しの間、万華鏡に夢中になっていると、ライアに声を掛けられる。


「ライア。……それじゃ、ライアも見てみる?」

「うん!」


 俺は場所を変わってライアに万華鏡を覗いてもらう。


「わぁ……すごいすごいすごーい! 何これ?! きれーい!!」


「ライアちゃん、なんで叫んでるの……?」

「ふぇ?」


 そして、その声にみんなが集まってくる。


「えへへ、これを見たら分かると思うよー」

「……? それってどういう……?」

「ほらほら、見て見てー」

「……! わぁ……凄くキラキラしてて、綺麗……」

「ふぇ! ふぇー!」


 どうやらニアも気になるらしく、レイの花びらを引っ張って、交代して欲しい素振りを見せる。


「……ふふ、思った以上に人気になりそうだな……」




 その後、ランさんも見られるサイズの万華鏡を作ってプレゼントしたら、大量の素材をもらえることになってしまった。


 ……これだけ素材があれば、俺たちも対ランさん専用の装備を造って、ランさんと戦えそうだな。

 後日、装備を整えてダメ元でランさんに挑んでみよう。そう思うのだった。

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ドラゴンならワンチャンでパイルバンカーとか一撃必殺できそうじゃない? 爪と肉の間にパイルバンカー
ランさん、敵に塩以上の物を送ってますよ。その意図は無いでしょうけれど、結果的にコウさんはランさんに一太刀入れられるかもしれない武器を手にいれてますしね。自分の鱗だとは思わないでしょう。コウさんが説明し…
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