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24話 父侯爵との会話 ~その3

婚前準備の描写があったのですが、読み返すと、もっさりしていたので、投稿寸前に削除しました。少し短くなりました。



 「王命である。サグランティーノ侯爵家長女ロザンナ 。勇者リオことリオトゥーロー・ユレイブの嫡子、フォーリオ・ユレイブ辺境伯に嫁ぎなさい。これは形式上、王都を追放されるという形となる。親として不甲斐ない限りだが、許してくれ」


 神妙に娘ロザンナへ頭を下げる父侯爵。次期王である王太子の破廉恥な行動を揉み消す為、ロザンナは――悪役令嬢――として、王都を追放されていくのであった。それを救ってあげられない親としては、忸怩たる思いなのだろう。


 「承りました。問題ありません」

 それにロザンナはあっけらかんと答える。別に強がっている風にも見えない。


 「しかし、おまえは何でそんなに暢気なんだ?」

 そんなロザンナの態度をみて、呆れる父侯爵。


 「そうですか? しかし、あの王太子殿下の妻となって、毎日体を貪られることを考えると……」

 ロザンナは体中に鳥肌が立ち、ブルリと体を震わす。


 「全然、マシです。追放、大歓迎ですわ」


 父侯爵は苦笑いしながらも、納得したように頷く。どこかホッとしているような顔でもあった。


 それから父侯爵は、必要事項を淡々と説明した。


 ――フォーリオ・ユレイブは書類上、勇者リオの跡を継いで、すでに辺境伯であること――

 ――領主であり、街と森の主であること――

 ――またそれを彼自身が認識していないこと――

 ――今も狩人を続けていること――


 まるで補足であるかのように続けられた話は、勇者の昔話などより、ロザンナにとって余っ程重要な話だった。それを父侯爵はさらりと流すように話した。もはや父侯爵に、勇者の話をしていた時のような熱量はない。


 「……」

 ロザンナは、父が大切にしている勇者コレクションを壊したい衝動に駆られるが、父侯爵の話はまだ続いていたのもあって、溜息をついて耳を傾けた。


 「フォーリオ様がどんな方なのか、私は知らない。ただ陛下も、また王国民も、勇者リオ様への感謝を忘れたことはない。その御子息であるフォーリオ 様への気持ちも同等だ。陛下は――もし彼が望むならこの国を差し出しても構わない――とまで仰っている。ただ彼が、今の生活を続けたいのなら、それでも構わないとも仰られている。すべてはフォーリオ 様のお心のままにとのことだ。おまえは、妻として、彼が思うままに生きられるよう、それを助けなさい」


 そして一つの書類が手渡された。


 結婚承諾書であった。


 新婦側の欄は白紙であったが、新郎側当主の欄には「フォーリオ・ユレイブ」のサインがあり、また夫の欄にも同じ字で「フォーリオ・ユレイブ」のサインが入っていた。


 卒業式の騒動の後、父侯爵はすぐにユレイブの街のフォーリオへ向けて、ロザリオとの婚約の打診をしていた。それは父侯爵が以前から考えていたことであったが、国王へそれを上申する前に、突然始まった王太子の新妃選びで有耶無耶になってしまっていたことだったと、ロザンナに言う。


 ユレイブからは、すぐに結婚承諾書を添えた了承の手紙が届き、また国王もそれに賛同し、ロザンナを守る意味でも王命という形にすることにしたのだと、父侯爵は言う。


 「そもそもわたくしはフォーリオ様と結婚するはずだったのですね」


 つまりは、フォーリオも結婚のことを認知しているということだ。いきなり押しかける形になると思っていたロザンナは少しホッとした。


 父侯爵は、新婦側当主の欄に自分の名前をサラサラと書いて、書類をロザンナに渡した。


 受け取ったロザンナも躊躇うことなく自身の名前を書き込んだ。


 「これは、私が貴族院に届けておこう。おまえはひと月以内にユレイブへ旅立ちなさい」


 「かしこまりました。お父様、ここまで育てて頂き、本当にありがとうございました。ロザンナは幸せになります」

 

 父侯爵は号泣していた。




評価、よろしくお願いします。

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