第1363話 六本足の鳥
鳥ばかり食う男がいた。
翼をなくした鳥がいた。
鳥は疲れ果てていた。散々追いかけ回されて、翼を折られて、果ては地を這い、藪に紛れて、じっと隠れて耐え忍ぶ日々。
そんな姿を憐れに思った神さまが、翼のない鳥に、素早く駈けれる足をたくさん授けてくれた。
いままで二本だったのが、馬の四本足より多い、六本足になった鳥。
かけっこ自慢のどんな動物をも追い抜いて、野原を疾走することができる。
六本足の鳥は神さまに感謝して、自由な気分でそれからは過ごした。
緩やかな丘で風を浴びながら散歩をしていたときのこと。
鳥食い男が、六本足の鳥を見つけた。
猛然と迫る鳥食い男。
しかし、六本足の鳥の走りは、それをあっさり振り切った。
もう、鳥食い男に怯える必要はなさそうだなと、六本足の鳥が安心していると、引き離したと思った男が、木立の隙間から顔を出す。
なんて諦めの悪いやつ。
鳥はさらに遠くへ逃げるが、男の執念はすさまじい。
どこまでいっても付け狙って、ついには六本足の走りよりも速い猟銃の弾丸で、鳥を撃ち抜いたのであった。
「やっと仕留めたぜ」
鳥食い男は満足気。
倒れた鳥を抱え上げて、足の本数をたしかめる。
「……四……五……六。六本。やっぱり、六本足だ。すばらしい。おれの大好物の鳥もも肉のから揚げが、普通の鳥の三倍も作れるじゃないか。頑張って追いかけて本当によかった」




