第791話 自己愛の怪物と緑髪の精霊(5) 精霊の逆鱗
メセアの必殺技イメージ
⭐︎ シーズ・バレット(種子の弾丸)
↓↘︎→ + 弱パンチ
⭐︎ シーズ・ショット(種子の砲丸)
↓↘︎→ + 強パンチ
⭐︎ タイラップ・アイビィ(結束の蔓性植物)
←↙︎↓↘︎→ + キック
⭐︎ プランツ・ネット
↓↙︎← + パンチ (押しっぱなしでトラップになる)
⭐︎⭐︎ノー・マーシー!!(慈悲は無い)(怒りモード時限定)
↓↘︎→↓↘︎→ + 弱パンチ&強パンチ
さて、元ネタのキャラ…
想像つきますでしょうか?
メセアさんの放った手加減はしたという飛び道具…シーズ・ショット(種子の砲丸)の威力は凄まじいものだった。
「うわあああっ!!」
ドガアアアッ!!!
悲鳴を上げて吹っ飛んでいったヴァルグロはヒョイさんが営む社交場の外壁…、その二階部分のあたりに激突した。建物はレンガ作りのしっかりとしたものだからかなり痛いはずだ。
「オイ…、アイツ顔面から突っ込んでいったぞ…」
「ああ、あれじゃ鼻の骨…ヤベえんじゃねえか…?」
ガンさんとショーンさんがそんな話をしている。
「って、いうかよぉ。アイツ、壁にぶつかったまま落ちてこねえな。蛾みてえに壁に張り付いたままだぜ?」
「そうだな…。いや、違う!よく見てみろ、ヤツは鉤爪をレンガの隙間に引っ掛けて張り付いているんだ」
ケイさんとハンさんのやりとりを聞いて視線を鉤爪に向けてみれば確かにその通り。鉤爪を壁に…、さらには壁面のわずかな凹凸がある部分に指先や足先を引っ掛けて張り付いている。
「ぬぐぐぐぐ…」
そのヴァルグロが張り付いたまま顔だけを後ろに向ける。少しばかり出血をしている。
「か、顔を…」
歯を強く噛み憎悪に染まった顔、それを肩越しに見せながらヴァルグロがこちらを睨みつける。
「私の顔を…よくもっ!!美しきこの顔をォォーッ!!!」
「怒る…で、あるか…。だか、汝はそこに倒れた男の頭を踏みつていた。当然、顔も踏み潰される。何の躊躇いもなかったてあろうが、それが汝に回ってきただけである」
「…ッ!!このッ…、この私の顔は別なのだァーッ!!ゆ、許さんぞ、貴様の…貴様の…ハァッ!!」
壁に張り付いた状態から両手両足を使って跳躍した。その先には別の建物がありヴァルグロは三角飛びのようにその壁を蹴った。
「ヒャオッ!ヒャオッ、ヒヤァアォッ!!」
さらにその先の壁、さらにその次とヴァルグロは周囲の壁を蹴って飛ぶ。再び姿がいくつにも見える、しかも先程地上でやった時には地面の上を包囲するような形だったが今は地上にも高い場所にも…さらに数を増して包囲する。
「クククッ!これならどうだ!単に前後左右だけではないぞ、高低差もつければ最早どこから狙われるか想像もつくまいッ!」
激しく移動しているからだろう、ヤツの声があちこちから聞こえる。
「後悔するがいい、私を本気で怒らせた事を!貴様には最悪な結末を与えてやる!!ヒャオオオウッ!!最大奥義!!」
ヴァルグロの姿をした幻影がさらに数を増した。
「麗しの百分身ッ!!さあッ、なす術などあるまいっ!!」
たくさんのヴァルグロが四方八方から襲いかかってくる。どれが本物なのか…、あるいは全てが本物で見えている瞬間は確かにそこにいるのか…それは分からない。いずれにせよありとあらゆる方向から無数のヴァルグロが一斉に飛びかかってくる。そして次の瞬間、僕とメセアさんの周囲にツル状の植物が隙間なく現れる
それは見る人が見れば日本の公園で見かける球状の遊具…、地球儀のようであった。その半径はおよそ5メートルほど、僕を中心点のようにして広がっている。先程もヴァルグロの飛び込みを防いだツタで出来た網…、それがわずかなスキもなく周囲を囲み飛び込んでくる無数のヴァルグロを止めた。
「くっ…!こ、これはっ…!?」
声がした、それは僕の真上…。視線をやればヴァルグロが片膝立ちの姿勢でメセアさんが一瞬で展開したネットに触れて捕えられている。その姿はどこか蜘蛛の巣に捕まった蝶の姿を連想させた。しかしその手には鈍く輝く鉤爪がある、真下に…僕に向けて切り刻もうと構えられている。
「汝…、ゲンタを狙うたな…?身共のゲンタを…」
いつになく低い声、それだけで分かる。メセアさんは怒っているのだと…、そして短く断じるように呟いた。
「許さぬ」
次の瞬間、僕たちの周囲を覆っていた植物の網が変化した。網がくるんと裏返り無数のヴァルグロたちという雑魚を一気に捕える巨大な魚網のようになる。その大きさは半径二十メートルほどの巨大な球形、新緑の色をしたツタが絡まるようにして出来た網の檻のようだ?
今までは僕たちを守る網、それが今では無数の雑魚を捕える魚網。一瞬の変化…、まるで垂れ下がるほどに大きく広げた花びらを急にバクンと閉じる食虫植物のようだ。
「慈悲など与えぬ!!」
初めて聞くメセアさんの憤怒の声。
「汝はその球状の網の中に捕えられた窮鼠に過ぎぬわ!何匹いようと打ち据えるのみ!」
ツタ状の植物はの先端やら先端の丸まった箇所や葉の裏側から大きな種子がヴァルグロたちに放たれた。360度全ての方向から次々と放たれた種子の弾丸はヴァルグロたち全てを幻も本体も関係なく打ち倒したす。
「相手にならぬわ」
メセアさんがそう言うと植物の檻が消えた。幻影が消え一人になったヴァルグロがそのまま落ちてきた。
ドサッ…。
「うわ…、ひでえツラ…」
落ちてきたヴァルグロを見てガンさんが呟いた。そこには種子の弾丸をくらって顔面が葡萄の身のように腫らしたかつての美男がいた。
「安心せい、手加減はした。命に別状はない。命を生む世界樹が人を殺してはのう…」
メセアさんが静かに呟いた。




