第26話 相手は用意周到に
こんにちは!
明日葉の晴です!
野球に限らず、団体競技は色んなものが同時に動きます。
ですが、文章中は一つ一つしか動かせません。
なので同時に、しかも瞬時に動いてるように見せるのがとても難しいです。
そんな感じですが、本編をどうぞ。
前回のあらすじ
野球決勝!若干押され気味。
決勝戦、一回裏。三年生チームの攻撃。先頭バッターは部長さんだ。
「あれ?ホームラン生産機はキャッチャーでいいの?なら楽勝だな」
「青井君も球速は速いですよ。甘く見ない方がいいと思いますけど」
「知ってるよ。アイツは運動神経いいからな。サッカー部の次期エースとして期待もしてる。でも、俺が打てる、打てないは別だ」
ふざけてるように見えるけど、自分も他人も正しく判断してる。多分この人はそういう人なんだろう。
そうしてる間に、青井君が構えた。
第一球目。
スパァン!
綺麗な速球。部長さんは見逃した。けれど、驚きの表情は見えない。それどころか、余裕そうにすら見える。
「ホームラン生産機。お前名前なんての?」
「江東 海ですけど」
「じゃあ、えっちゃんだな。えっちゃん、青井の欠点ってわかるか?」
チラリと見た後にそんなことを言われた。部長さんの呼び方は気になるけど、それよりも気になることを聞かれた。青井君の欠点?完璧人間にしか見えないけど…
「えっと…わかりません」
「そっか。じゃあ宿題。そのうち答えて見てくれ」
私が返事する前にボールが投げられる。
カキン!
ファールすれすれに転がり、ボールはライトの後方へ。ボールが拾われる頃に、部長さんは二塁を蹴って三塁に向かっていた。二塁をカバーしていたショートにボールが渡り、部長さんは三塁で止まる。スリーベースヒットとなった。
「タイム!」
私は一度仕切り直すことにした。
「青井君、ドンマイ。気にしないで!」
「ありがとう。でも流石部長だ。一筋縄じゃいかないか」
「どういうこと?」
「打たれてから気付いたけど、多分あれは狙ってやられた。バッターボックスに立ったときから全部仕組まれてたんだと思う」
そう聞いて、部長さんの方を向いた。笑いを浮かべていた。
「じゃあ私としゃべったのも作戦のうちなのかな」
「話してたの?なんて?」
「私をえっちゃんとか言ったり、どうでもいいこと。一回こっち見たしそっちが本命だったのかも」
青井君にこれ以上負担を掛けたくなかったから、欠点の話は黙ることにした。
部長さんが、ただ私を惑わせる為の話なのかもしれないし。
「なるほど。とりあえず、今まで以上に警戒しよう」
「了解」
試合再開。二番の人は問題なく三振に押さえた。どうやら青井君は、部長さんのことを引きずってはいないみたいだ。
三番。ツーストライクで追い込み、第三球目。
カツッ!
詰まった音で、ボールは少し転がる。ピッチャーゴロだ。青井君は素早く補給してファーストに投げようとしたその時、部長さんが走り出す。青井君はすぐ切り替え、私にボールを投げた。 が、部長さんはすでに三塁に戻っていた。ファーストの方を見たけど、三番はすでに一塁を駆け抜けた後だった。
「やられたっ…」
気付いたらボールを強く握り締めていた。
状況見てやったのか。それとも最初から作戦だったのか。
深く考えるほど、深みに嵌まっている。そんな感覚を感じ、ふと、最近似た感覚があったと思い、気付いた。
生徒会長さんと同じ感覚だ。だとすると、最初から相手のペースだったんだ。
結論を自分の中で出し、改めて部長さんを睨む。相変わらず余裕のありそうな笑みを浮かべていた。
「タイム!江東さんごめん!一点取られてでもアウトを取るべきだった。部長ばかり警戒したから最悪の結果になってしまったね。ごめん」
「いや、いい判断だと思うよ。私も青井君も簡単に点が取れない状況で、リードされるのは不味いから。それよりこの後はどうする?」
「そうだね…そしたら、敬遠して満塁策を取ろう。迷うから部長の策に嵌まる。なら、迷わない状況にすればいい」
「なるほど。ホーム一択にするんだね。それなら大丈夫か。よし、じゃあやろう!」
四番を敬遠し、満塁に。これならホーム一択で済む。 続く五番。初球をライト方向に打ち上げた。
これは不味い…
ボールの軌道から落ちる位置を予想して、そう思った。
「ボール取ったらすぐに投げるんだ!」
青井君も気付いたのか叫ぶ。ライトがボールを深い位置でキャッチした瞬間、部長が走り出し、一瞬、間を置いて一、二塁が走り出す。
慌てた様子でライトがボールを中継に来たセカンドに投げる。セカンドは一番アウトに出来そうな一塁ランナー狙いを付けたようだ。
けど多分、その判断は誘導されたものだ。
「ホーム!」
私は叫んだが、セカンドの反応は間に合わず、二塁にいるショートへ投げた。その間に一塁ランナーは一塁へと戻る。
ショートは私の意図に気付いて、一瞬迷った様子だったがファーストへボールを戻し、一塁ランナーを挟み打ちにすることにしたようだ。
そして、その間に部長さんはホームを踏んだ。それを見届けた一塁ランナーは止まり、大人しくアウトとなった。
どこまで計画通りなんだ…
攻守交代となったけど、一点を先制されることになった。不安が募る展開で、私達は攻撃へと移るのだった。
25話を読んで頂き、とても嬉しく思います。
私は自称引きこもりです。
なので、スポーツの経験はほぼないです。
それでも、経験者の皆さんに何か感じるものがあればとても嬉しいです。
今後ともお付き合い頂ければ幸いです。




